次の日の午前中は、ゆっくりと部屋で過ごそうということにして、お昼ご飯からの市内観光をはじめた。

 

5人がまとまって移動するのに必要だからとこの日もレンタカーを借り、だいぶハワイの運転事情に慣れたトキムネのお父さんが運転を引き受けた。

 

ハワイに来てすぐに、父親のキヨシさんが食料品店で買ったおにぎりと味噌汁をうまそうに食べていた姿を見ていたので、トキムネのお母さんはラーメン屋がいいと思ってへ車を店まで誘導した。

 

「天下一品のホノルル店じゃないの。ハワイにテンイチがあるって聞いたことあったけど、これか。」

駐車場に車を停めてやってきたトキムネのお父さんは、喜んで真っ先に店の中へと入って行った。

 

みんなテーブル席に座ると、見慣れたものが並んでいるメニューからそれぞれ注文した。

 

「ハワイまで来て、ラーメン食うだな。」 と言いながらキヨシさんは食べていたけど、いちばんチャーハンをうまそうに食べているのはあなたじゃないですかと、トキムネのお母さんは心の中で思っていた。

 

そして、お昼ごはんを食べたあとトキムネのお母さんは、運転するトキムネのお父さんのナビをして、"ポリネシア カルチャー センター" へ向かった。

 

Van Gogh - Rhonebarken
フィンセント・ファン・ゴッホ 作成: 1888-08(Wikipediaより)

 

 

 場所は、ワイキキからだいぶ離れていた。

トキムネのお父さんは、途中からずっと一本道だと聞いて気が楽になり、ハワイ郊外の景色を楽しむドライブになった。

 

一時間ちょっと走ったくらいで到着し、トキムネのお父さんは駐車場に車を停めた。

トキムネのお母さんたちは入場券を買って中に入り、間もなくカヌーのショーが始まるということを知ってよく見える場所へ急いで行った。

 

トキムネのお母さんたちは、木と木の間から見える場所に腰を下ろし、遠くから流れてくるカヌーを見ていた。しばらくすると、にこやかなダンサーたちのパフォーマンスが見えはじめ、それから次々と多彩なパフォーマンスのカヌーが流れてきた。

 

・・・"イッツ ア スモール ワールド" の舟の上から踊りを見るのとは逆で、丘の上から船の上の踊りを見るという位置の転換もおもしろいけど、緩やかな川の流れとともにやってくるダンサーたちを乗せたカヌーは、まるで回転寿司の寿司が流れてくるのを見ているようで、妙にツボるんですけど・・・。

とトキムネのお父さんは、ひとりでニヤニヤして流れてくるカヌーを見いた。

 

その姿を横で見ていたトキムネのお母さんは、また変なこと考えて見ているなと思って、そのままにしておいた。

 

大分長いこと流れてくるカヌーのパフォーマンスは続いた。それでも、いろいろな変化にとんだパフォーマンスだったので、トキムネのお母さんたちは最後まで飽きることなく見続けていた。