土用の捉え方は、漢方と鍼灸で異なります | 温故道日誌

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愛知県名古屋市千種区
訪問鍼灸マッサージ院
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4月20日「穀雨」を迎えました。

4月17日には春土用に入り、
4月20日には穀雨の節がわり。

季節や気候の変化の影響を受けやすい人は
大変な時期ですね。


昔の暦に従う農業では

「土用に土いじるな」

って云われてます。


前漢時代の
素問(そもん)霊枢(れいすう)難経(なんぎょう)
という東洋医学の古典を重視する

《後世(ごせい)の鍼灸》では

土用は
「脾土」(消化)が旺気するから
王様を抑えちゃいけないっていうことで
「肝木」は使っちゃいけないと云われてます。

つまり土用は

肝経のツボも使わないし
胆経のツボも使わないし
井木穴(せいもくけつ)という
指先のツボも触らない。

後ろうなじにも鍼しないし
頸椎もいじっちゃダメ。

ダメダメだらけだから、
すぐに新入りさんが
勉強会やめちゃってました。

肝木の行に属する鶏肉も
元々ブロイラーは薬漬けだからダメって
先生は仰っていて

土用の時期は特に沢山その話が出ていた上

実際にスジが緊張してしまう人もいたので

スジが固い人には念のために
土用に鶏肉は特に控えるようにお話します。


対して

後漢時代の
傷寒雑病論(しょうかんざっぴょうろん)

のちの
傷寒論(しょうかんろん)
金匱要略(きんきようりゃく)
という東洋医学の古典を重視する

《古方(こほう)の漢方》では

土用は「脾」は虚さない

「脾」が「腎」を抑えてしまうといけないので、

土用に浮腫むなど「腎」の症状が出る人は

「八味地黄丸」という

「腎」の系統の漢方を飲んで
「腎」を守ることが多いんだそうです。

もちろん
必ずそうと決めつけることなんて出来ず、

食欲がない人などは
八味地黄丸はやめて他の処方が勧められます。


「漢方」「鍼灸」は
ひとくくりに東洋医学の治療法として
捉えられていますが

もとになっている「古典」の成立した
時代と時代背景は違います。

《古方》と《後世》では

治療の優先順位は真逆ですし、

治療終了地点の定義
つまり「目的」が全く違います。


《先表後裏(せんぴょうこうり)》といって

第一主訴
つまり表だった症状から順番に
タマネギの薄皮を外側から剥ぐように、、、

「病の原因」を問診中心に探り
「病症」を理論的にしっかり捉えて
「症状」を順に寛解させていくのが

《古方の漢方》です。


《標(ひょう)より本(ほん)を求む》といって

表面の症状にはあまり囚われず

脈診・腹診・経絡診を通して
その時の
「季節」と「人体」との調和を読み図りながら

「五臓の正氣(抵抗力)」を高め
「陰陽の精氣(生命力)」を充実させていく

というのが

《後世の鍼灸》です。

(症状は五臓の正気が高まった時点で
 自然に取れていく)

症状が無くなったら治療終了ではなく、

季節の変化に
柔軟に対応できるようになるまで

という長い道のりです。

「飲食」や「運動」など生活習慣にも
季節や体質にあった養生が求められ、

私自身も出産や引越など
生活環境が一変する事態の際には
立て直しが本当に大変でした。

今は臨床でも生活でも
「鍼灸」だけでなく
「漢方」に随分助けられています。


ちなみに

「陰陽の精氣(生命力)」

「精」にも
「氣」にも

「米」が入っていますよね。

だから鍼の先生はよく
「米食え!」って叫んでました。

ということで移動中の空腹には
江戸川区 篠崎の「穀倉やまざき」さんが
私の緊急避難先です。

おむすび、美味しいですよ(^^)

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