瞳をとじて | 3代目大村屋

3代目大村屋

映画・ダンス・旅行を中心に、日々感じた事を…

監督:ビクトル・エリセ
出演:マノロ・ソロ ホセ・コロナド

 

 エリセ監督31年ぶりの長編。映画監督と失踪した人気俳優の記憶をめぐって繰り広げられる物語を描いたヒューマンミステリー。ミゲルの監督作「別れのまなざし」を撮影中、主演俳優フリオが突然、失踪した。22年後、人気俳優の失踪を追跡するテレビ番組への出演を依頼され、ミゲルは親友でもあったフリオと過ごした青春時代や自らの半生を追想していく。そして番組終了後、フリオに似た男が海辺の施設にいるとの情報が寄せられる。

 

 映画撮影中に突然、主演俳優が行方不明になり、映画は未完のまま。22年後、事件を検証する番組への出演をきっかけに、監督のミゲルは当時に思いをはせる。日本でもこの手の番組はあったよね。今でも結構放送されているのかな。「情報をお寄せください」って呼びかけて実際に見つかったケースもあった。

 

 今作でも、番組を見た人から「うちの施設にいる」と連絡が来る。フリオは記憶喪失になっていたが、持ち物や顔つきから本人に間違いなさそう。少しでも記憶を思い出してもらいたいと、ミゲルは未完のままだった映画をフリオに見せる。最後、記憶がどうなったのかは分からないけど、何となく、一安心するエンディングだった。映画は未完のままだけど、自分の中のもやもやや、「なぜ消えた?」という疑問が少しだけ解消された。何より生きていたことにホッとしたんじゃないかな。
☆☆☆(T)