多文化共生の現状と今後の展望

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 一般財団法人自治体国際化協会(クレア)の多文化共生部多文化共生課課長の佐藤雄一郎さんと主査の永原達朗さんに、多文化共生に関する政策の現状やこれからの展望についてお話をお伺いしました。


Q.まず自治体国際化協会はどのようなことをされているか教えてください。

 まず一つはJETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme 語学指導等を行う外国青年招致事業)のハンドリングや取りまとめをしています。JETプログラムで代表的なのは、学校のALT(Assistant Language Teacher 外国語指導助手)ですね。

 JETプログラムについて詳しくはコチラをご覧ください。

 

 次に、自治体の姉妹都市交流や経済交流、海外での経済活動などのサポートをしています。そして今回のテーマである多文化共生のまちづくりの支援ですが、具体的には以下のような事業をしています。

 

1.多言語情報やマニュアルなど共通ツールを提供

 在留資格、労働と研修、医療、教育、交通、緊急・災害時といった、外国人住民が日本で生活するために必要な生活情報17分野について15の言語で、ウェブサイトやスマートフォンのアプリで提供しています。(スマートフォンは14言語対応)

スマートフォンアプリ「多言語生活情報」
 

2.先進的な多文化共生に対する助成による政策推進

 自治体、地域国際化協会が行う多文化共生事業のうち、特に重要性・必要性の高い事業を「多文化共生のまちづくり促進事業」として助成し、事例集をウェブサイトで公開しています。

 

3.先進事例などの紹介による多文化共生政策立案の支援

 国や自治体における多文化共生に関する施策や取り組みを集約し、一元的に提供する「多文化共生ポータルサイト」を運営するとともに、外国人集住都市会議との連携や、外国人コミュニティ全国会議の開催などをしています。

 昨年度の全国会議には、4月に起きた熊本地震を受けて、「災害時に必要な情報とは何か」をテーマに熊本地震や東日本大震災の被災地で活動した外国人コミュニティ4団体の方に来ていただきました。そこでも震災時に、外国人コミュニティの中の相互扶助が外国人住民にとって大きな支えとなったことが分かりました。

 

4.多文化共生に関する専門的な知識を備えた人材の育成と活用

 多文化共生施策を担う人材の育成を支援するため、全国市町村国際文化研究所(JIAM)と共催で多文化共生についての専門的な研修を実施するとともに、多文化共生マネージャーを認定しています。多文化共生マネージャーになるのは、行政関係や国際交流協会などの方が多いですね。

 その他にも、自治体職員や住民の理解の促進、意識啓発を図るため、各地域での研修会や講演会などに地域国際化推進アドバイザーを派遣しています。

 

5.自治体、地域国際化協会、NGO・NPO、クレアの連携・協働の推進

 総務大臣の認定を受けた全国62の地域国際化協会による地域国際化協会連絡協議会の事務局を担当し、地域国際化協会間の情報の共有化及び情報交換を促進しています。

また、地域における国際協力・多文化共生等の活動の推進と、自治体・地域国際化協会とNGO/NPO等との連携・協働をサポートするため、特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)と協働して、市民国際プラザを運営しています。

 

Q.現在、多文化共生の政策の柱となっているのは何ですか?

 一つは災害対応ですが、まだ道半ばといったところです。大地震などの災害が発生した際に、日本語が十分理解できないために行政機関等が発信する情報を享受できない外国人住民を支援するために昨年度、災害時多言語表示シートの内容をリニューアルするとともに、同シートの作成ツールをホームページに公開しました

 外国人住民は情報さえきちんと共有できれば、防災や災害時対応の担い手になる力を持っていると考えています。

 もう一つ、多くの地域で取り組まれているのが外国人の子どもの教育です。日本語教育に代表されますが、やはり次世代の育成という意味でも重要です。

 やはりこの二つが柱となっていて、多文化共生のまちづくり促進事業の事例集でも多く出てきます。

 

Q.今後の多文化共生のポイントはどのようなところですか?

 外国人住民支援が今後も必要なのは言うまでもありませんが、「多文化共生2.0」という言葉があるように、今後は外国人がもたらす多様性を生かしたまちづくりが求められてくるでしょう。実際、総務省は外国人住民が地域活性化やグローバル化へ貢献した事例も含めた事例集を今年の3月に発表しました。

 これから直面する外国人住民の高齢化という問題に対しても、外国人住民同士の相互扶助がますます求められてくるでしょう。

 

 もう一点は、全国の多文化共生マネージャーのネットワーク化です。私たちとしては、災害が起きた時は、多文化共生マネージャーに現地に入ってもらって情報の集約や通訳の差配などをしてもらいたいのですが、各自が所属している組織の事情もあり、簡単なことではありません。

 ですので、ネットワークを強化し、もう少し組織的に動けるようにする基盤を整えたいと考えています。

 

ありがとうございました!

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