『正論』2019年11月号(私は10月10日に入手した)に、元海将(自衛艦隊司令官)・香田洋二氏、元空将(航空支援集団司令官)・織田邦男氏、元陸上幕僚長・岩田清文氏の鼎談が載っている。「『第二の李承晩ライン』の悪夢、三正面に備えよ」のタイトルが付いている。中国とロシアの連携、朝鮮半島に核を持った統一朝鮮国家の出現、そして中国・ロシア・統一朝鮮の「三正面」が連携して、日本・米国に対抗すると主張されている。3氏とも退官しているから自由に発言できるが、安倍首相を名指しした批判はない。理論や思想と政治主張は一体不可分である。最高権力者や政府の政策の誤りを認識できている人は、日本国家と国民のために勇気を持って名指しして、安倍首相と政府の誤りを明確に糾弾していく責務がある。識者のそういう糾弾、政治主張によってこそ、国民の多くが参加する政治運動が形成されて現実の政治が変革されていきうる。日本の安全と存立が守られていきうるのである。

 

●「真のエリート」は国家・国民のために、反日政策を推進する安倍首相を糾弾しなければならない

 

 (1)岩田氏は、「日本はロシア極東地域の軍事情勢に対しては、安倍首相が北方領土の返還に向けて交渉していることもあって、メディアも含めて非常に能天気です。しかしロシアによるオホーツク海の聖域化が、冷戦時代以上に進んでいます。オホーツク海に核の『第二撃戦力』として戦略原子力潜水艦を配備しておき(中略)、『バスチオン』『バル』といった最新鋭の地対艦ミサイルをマトゥワ(松輪)島を始めとする島々に配置して、守りを固めている。その千島列島の一番南にあるのが国後、択捉島で、この軍事要衝をロシアが日本に返すわけがないのです。そんなロシアとの最悪の事態も想定してしっかり抑止しながら、中国への対応、南西諸島の守りを強化する必要があります。そして新たに最悪の事態になりつつある朝鮮半島にどう対峙するか。この三正面を常に念頭に置いておく必要があります。ロシアの脅威は決して軽視できません」と述べている(34頁)。3氏の中では岩田氏の主張が一番良かった。「ロシアの中国観」に関する香田氏の考えは全く誤りである。

 

 (2)岩田元陸幕長(1957年生まれ)のこの主張はもちろん安倍首相批判であり、かつ正しい内容だ。岩田氏の考えは部下の現役自衛官幹部等にも広く知られているにちがいない。もっとも岩田氏には誤りもある(後述する)。

 

 安倍政権における対露政策の立案過程において、同旨のことが防衛省・自衛隊の方から言われたはずである。国家安全保障会議の事務局である「国家安全保障局」でも語られたはずだ。だが安倍首相は専門家の正当な意見をはねつけて、反国防の「国家安全保障戦略」(2013年12月)を閣議決定し、反日の対露外交や反日の対中外交を実行していったのである。だが保守派のほとんどは安倍外交・安全保障政策の本質(反日)を見破れずに、安倍首相支持である。だからこそ名指ししない批判では力を発揮できない。

 

 (3)ロシアは日本の「北方領土」を決して返すことはないし、そればかりか北海道侵略支配を狙っている独裁侵略国家である。プーチンと習近平の両独裁者が行ったロシア軍と中国軍の合同軍事演習「ボストーク2018」(2018年9月)は、北海道侵略の軍事演習だ。安倍首相が専門家の意見をはねつけて推進している「日露平和条約交渉」とは、日本国民の対露警戒感を失わしめて日本の対露国防を解体して、近い将来のロシアの北海道侵略を準備する反日の謀略政策である。安倍首相はロシアの尖兵である。

 

 ロシアは既に択捉島と国後島に地上軍一個師団を展開していた。それに加えて2016年には国後島に地対艦ミサイル・システム「バル」が、択捉島には「バスチオン」が実戦配備された。そして岩田氏が述べるように、ショイグ国防相は2017年2月に「一個師団を千島列島に増強する」と宣言して、千島列島に実戦配備を進めている。「バスチオン」「バル」も松輪島等々の島に配置している。アメリカを狙う「第二撃核戦力」の核SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)搭載の戦略原子力潜水艦が潜行する聖域のオホーツク海を守るためである。択捉島と得撫島間の択捉海峡と、択捉島と国後島間の国後水道は、ロシアの戦略原潜の潜航ルートになっているのである。

 

 岩田氏は誤った使い方をしているが、「千島列島」(ロシア名・クリル諸島)とは択捉島の北の得撫島から占守島までの島々を言う。択捉島と国後島は日本固有の領土であり、「南千島」ではない。「サンフランシスコ条約」で日本が放棄したのは千島列島(クリル諸島)である。

 

 ロシアが「北方領土」を日本に返還することなどありえないのは、上記の情報と、ロシアは2014年からクリミア半島を奪うなどウクライナを軍事侵略している情報を与えられれば、高校生でも100人中100人が理解する。安倍首相が健全な精神の持ち主であれば当然理解する。明確にそうではないということだ。ロシアが核SLBM搭載の戦略原潜でアメリカを狙っているのは、ロシアが日本(北海道や東北地方)を軍事侵略するときに、アメリカが集団的自衛権を行使して日本と共にロシアと戦うことを逆抑止するためである。アメリカの軍事介入を阻止して、日本を侵略支配するためだ。安倍首相が健全な精神であれば、専門家のこうした説明を直ちに理解する。だが彼は逆にはねつけたのだ。

 

(4)私の考えを述べる。日本侵略を国家目標にしている独裁侵略国家ロシアに対して、「領土問題を解決して日露平和条約を締結する」「ウラジミール(プーチン)と私は友情と信頼関係で結ばれている」と言う安倍首相は、日本国民を騙して洗脳し、日本の対露国防を粉砕して、ロシアに日本を侵略させようと活動している「反日売国奴」(共産主義者)である。タブーを排斥して論理的に考えればわかることだ。安倍首相は無知ゆえに歴史に名を残そうとして、「日露平和条約交渉」をしているのではない。彼は反日共産主義思想から自覚的に行っている。プーチンと共同してである。

 

 さらに安倍首相は「共同経済活動」によって、択捉、国後、色丹各島の開発を進めて、そこの(ロシアの)経済力・軍事力(軍事インフラ)の強化を進める。安倍首相はロシア極東地域に対しても大規模な経済協力をする。つまり敵国の経済・軍事力を強化して、対日侵攻能力を増大させることを進めているのである。そのときの国民を騙す下手な文句が、「ロシアに経済協力すれば領土を返してくれる」だ。安倍首相は反日左翼であって、ロシアの尖兵である。日本の敵である。

 

 「日中協調の新時代」「日中の戦略的互恵関係の強化」を国民に(騙して)プロパガンダする安倍首相は、このスローガンで日本の対中国防を解体していくから、日本侵略を国家目標にしている独裁侵略国家中国の尖兵でもある。安倍首相は来年春に、独裁侵略者・習近平を日本に国賓として招く。ロシアと中国と北朝鮮は独裁侵略国家であり、3国は準同盟関係にある。反韓国の共産主義者の文在寅大統領は、北朝鮮の尖兵である。反日共産主義者の安倍首相が行っていることは、刑法第88条の「外患誘致準備罪」に当たる。彼は反日犯罪者である。

 

 (5)前回までの論考で繰り返し述べてきたように、日本の保守派「識者」の多くは保身と私益から、「安倍応援団」になってしまっている。こういう状況下にあっては、名指ししない安倍首相批判ではほとんど力を発揮できない。腐敗した日本の政治状況・政治文化を打破し変革していくためには、名指しした強烈な安倍首相糾弾が求められる。安倍首相は憲法違反、刑法違反の反日犯罪を実行しているのである。私たちは安倍首相を打倒していかなくてはならない。名指しして正面から糾弾していく姿勢をとるときに、私たち自身も思考を深化させていくことができる。人間はいつも自由に科学的・論理的に思考できているのではない。たとえば「最高権力者に対する名指し批判は控えるべきだ」との「空気」に従っているときは、思考は自主規制され停止してしまうのだ。

 

 社会的地位が高い人は大きな発言力を持ち、大きな影響力を有する。だからその人には高い道徳的義務が伴う。欧米で言われる「ノーブレス・オブリージ」(高い地位に伴う道徳的義務)である。安倍首相の反日犯罪を認識できている識者は、日本国家と国民のために、安倍首相糾弾を敢然と展開していかなくてはならない。それは「真のエリート」の使命である。もちろん私のように何の肩書きもない人でも同様である。

 

 そうした戦いができるようになるためには、私たちは「法の支配」(国際法・憲法の支配)の思想を獲得していく必要がある。政府は「法に支配された国政」(外交・内政)をする義務がある。これに反する政府は「悪の政府」であり、国民によって交代させられるのだ。「法の支配」は近代自由民主主義国の鉄則であるのだが、日本国民においてはこの思想が獲得されていない。

 

●日本に早急に求められていることは反日の安倍首相を打倒して、閣議決定で芦田修正の憲法第9条を確立して国防軍を保持することである

 

 (1)中国・ロシア・北朝鮮(あるいは北主導による統一朝鮮国家)の侵略から、日本の安全・存立を守り抜いていくためには、日本は国防軍を保有して、もし彼らが日本を軍事侵略したならば、しようとしたならば、日本からの反撃の大量のミサイル攻撃が彼らの国土の中枢部分を破壊することになる。それには核ミサイルも含まれるという国防戦略と戦力を構築して、彼らに知らしめておかなくてはならない。また日本はアメリカのINFミサイル部隊(核と非核)も日本国内に配置させて、3国が日本を攻撃したら、在日アメリカ軍も戦闘にまき込まれるように配置することによって、アメリカも否応なく参戦することになる「しくみ」を作るのである。「カップリング戦略」である。こうした国防戦略と戦力を構築し、日米同盟も日米核同盟に高めることによって、日本は3国の対日侵略を抑止できるようになる。日本は国防予算も軍隊の装備も人員も大幅に増やさなくてはならない。中国・ロシア・北朝鮮(統一朝鮮)は軍事力をすさまじく増強している。日本もそれに負けないように軍事力を増強しなければ、侵略を抑止できない。日本国民は「アメリカが何とかしてくれる」との完全に誤った保護国民的な考えを、捨て去らなくてはならない。自らの国は自らが中心となって守るのだ。

 

 (2)私たちは、憲法第9条(1946年8月1日の芦田修正)は自衛の軍隊の保持と国の交戦権を認めていることを、まず認識する必要がある。これが全ての出発点だ。国際社会を支配する法は国際法(国際慣習法を含む)だ。国際法は侵略戦争、侵略の武力行使や威嚇を禁止し、自衛権や交戦権を規定している。主権国家は軍隊によって自衛権・交戦権を行使する。従って軍隊を持たない国は、自衛権・交戦権を行使できない。(1)を実行していけない。現行の憲法第9条解釈は本来の憲法第9条に違反している反日解釈であり、憲法第98条1項の規定により無効である。これが「法の支配」だ。

 

 正義の内閣が閣議でその旨を述べ芦田修正の憲法第9条を確立すれば済むことである。日本は一日で国防軍を保有でき、国の交戦権を認めることができる。憲法第96条に基づいて憲法9条を改正する必要など一切不要である。この改正は現実的に不可能だ。ところが前出の元自衛官最高幹部の3氏もこのことを認識できていないのである。

 

 (3)GHQ(連合国軍総司令部。事実上アメリカ軍)は、侵略戦争を行った日本が再び侵略戦争ができないようにするために、無条件に軍隊(戦力)の保持と国の交戦権を禁止する憲法第9条案を日本に押し付けたのであった(1946年2月13日)。しかし外交官出身で衆議院・憲法改正委員会(7月25日設置)委員長の芦田均氏が、GHQの憲法第9条案を修正した。芦田氏は9条案を第1項と第2項に分け、第2項の冒頭に「前項の目的を達するため」の語句を挿入したのであった。「①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し〔以上の部分も芦田氏が挿入した〕、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」。9条案はこのように修正されて8月24日に衆議院本会議で可決された。10月6日貴族院本会議で可決、10月29日枢密院本会議で可決されて、11月3日に「日本国憲法」が公布されたのである。

 

 9条第1項は「国際紛争を解決する手段」としての戦争と武力による威嚇と武力行使を放棄したものである。「国際紛争を解決する手段としての戦争等」とは侵略戦争等を指している。1928年の不戦条約だ。第2項の冒頭に「前項の目的を達するため」の語句が入ったことにより、日本は一定の条件の下に軍隊を保持しない。国の交戦権を認めないとなった。すなわち日本は侵略戦争や侵略の武力威嚇や武力行使を放棄するために、軍隊を保持しない。国の交戦権は認めないとなった。従って自衛のためであれば軍隊を保持できるし、国の交戦権を認めると解釈できるようになったのである。2項にある「その他の戦力」とは、陸海空軍以外の軍種で海兵隊とかロケット軍である。

 

 芦田均氏は1957年12月5日、政府内に設置された「憲法調査会」で証言している。「私は一つの含蓄をもってこの修正を提案したのであります。『前項の目的を達するため』という辞句をそう入することによって原案では無条件に戦力を保有しないとあったものが一定の条件の下に武力を持たないということになります。日本は無条件に武力を捨てるのではないということは明白であります」(憲法学者・西修氏『日本国憲法を考える』文春新書1999年3月刊、86頁。同氏『正論』2017年9月号245~246頁)。

 

 芦田氏はGHQの第9条案の修正をまとめるにあたり、GHQ側でこれを担当した局政局次長のケーディス大佐(ハーバード大学ロースクールで法律を学び弁護士の資格も持っている)と相談している。当然にもマッカーサー元帥に報告されることになる。だから8月1日になされた第9条案の修正はマッカーサー元帥が事前に承認したものであったのだ。西修教授は先の『正論』論文で、1987年にケーディス氏を訪ねたとき、芦田氏が持ってきた修正案にケーディス氏がすぐオーケーを告げ、「この程度の修正は、私(ケーディス)の裁量の範囲内だったのです」と西氏に語ったことを書いていた(246頁)。ケーディス氏は少しばかり盛った話をしたのである。大佐の彼にこんな重大な修正を認める権限があるわけはない。事前にマッカーサー元帥が認めていた修正案であったのである。

 

 GHQが第9条案を日本側に示した2月13日から8月までの間に、GHQにおいて国際情勢認識に決定的な変更がなされたのである。すなわち東西冷戦の開始だ。英国の前首相チャーチル氏は1946年3月3日、アメリカミズリー州フルトンで、共産主義国ソ連の脅威を西側に喚起し、西側に対ソ共同防衛を訴える「鉄のカーテン演説」を行っている。「バルト海のシュテッティンからアドリア海のトリエステにかけて大陸を遮断する鉄のカーテンが降ろされたのです。この一線を境に」「ワルシャワ、ベルリン、プラハ、ウィーン、ブタペスト、ベルグラード、ブカレスト、ソフィアという名高い首都とそれを中心にした住民がすべて」「非常に強力な、しかも多くの場合ますます厳しさの加わるモスクワからの統制を受けているのです」。

 

 ワシントンにあった連合国極東委員会(ソ連を含む11か国)でも衆議院で第9条修正案が可決されると、日本は主権を回復したら自衛目的の軍隊を保持することができるようになったと共通認識された。9月19日にソ連の代表が最初に問題提起した。「憲法は『すべての大臣はシビリアンでなければならない』という条項を入れなければならない」と。国防軍が再建されたときに、戦前の日本のように現役の将軍が大臣に任命されることを防ぐためである。9月21日にはカナダ代表や中華民国代表なども同旨の発言をしている。9月22日、アメリカ陸軍次官補ピーターセンからマッカーサー元帥に極東委員会での審議内容が至急電で伝達され、マッカーサーは9月24日にホイットニー民政局長を吉田首相の元につかわして、憲法第66条2項「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」を挿入する修正を行うよう申し入れたのである。そのとおりに修正され、10月6日に貴族院本会議で可決され、10月7日衆議院本会議でも可決されている(前記西修氏の『正論』論文に載っているし、西氏の著書『よくわかる平成憲法講座』TBSブリタニカ1995年2月刊87〜99頁にも載っている)。

 

 憲法第9条が自衛のための軍隊の保持を認め、国の交戦権を認めていることは明白な事実なのである。ただ芦田均氏はGHQの9条案修正(芦田修正)の意味と狙いを同委員会では語っていない。だがマッカーサー元帥が1950年元旦の『日本国民に告げる声明』で、「この憲法の規定はたとえどのような理屈を並べようとも、相手から仕掛けられた攻撃に対する自己防衛のおかしがたい権利〔自衛権〕を全然否定したものと絶対に解釈できない」と述べ、同年7月にも「9条は自衛のための戦力〔軍隊〕を禁止するものではない」と述べて、日本の再軍備開始を述べている。憲法第9条(芦田修正)は自衛のための軍隊の所持を認め、国の交戦権を認めるものなのである。

 

(4)日本は国際社会の一員である。国際社会を支配するのは国際法だ。それは侵略戦争等の禁止や自衛権・交戦権を規定している。日本は国際法に支配されて行動しなくてはならない。だから日本の憲法第9条の内容は国際法に合致するものでなくてはならない。外交官出身の芦田氏はそのことを認識していた。軍隊を持たない国は十分な国防ができず、侵略を誘発することになる。これも国際法(侵略を否定して平和を維持する)を否定するひとつの形である。何よりも軍隊を持たない国は侵略を抑止することができず、侵略されたら国民の生命・財産が否定されるのだ。国そのものが失われる。だから芦田氏は憲法第9条を国際法に合致する内容にしたのである。GHQもそれを望んだ。

 

 アメリカ(GHQ)としても、GHQの憲法9条案のまま可決成立したとなれば、「ハーグ陸戦法規」(1907年)の第43条「国の権利が事実上占領者の手に移りたる上は、占領者は、絶対的の支障なき限り、占領地の現行法律を尊重して、なるべく公共の秩序及び生活を回復確保するため施し得るべき一切の手段を尽すべし」に違反することになる。「芦田均が9条案の修正を考えている。東西冷戦も始まった。日本を親米国に復帰させて、ソ連に共同して対抗していくためには、芦田修正を支持するのが正しい解だ」。アメリカ・GHQはこのように考えたのだといえる。

 

 (5)私たちは芦田修正の本来の憲法第9条を否定する反日の安倍首相を打倒しなくてはならない。彼は反日共産主義者の確信犯だ。2014年5月15日「安保法制懇・報告書」が、あるべき憲法第9条1項、2項解釈として「芦田修正論」をあげて、「閣議決定で従来の解釈に代えて芦田修正論を確立すべきだ」と提言したのに、安倍首相はその日の記者会見で「採用できない」と拒否したのである。彼を倒し、組織された正義の内閣が閣議決定で、芦田修正の本来の憲法第9条を確立し、自衛隊を軍隊だと決定すれば日本は一日で国防軍を保持できるのである。(1)で述べた戦略と戦力を構築していけるのだ。

 

 『正論』11月号の鼎談に戻るが、3氏は「憲法第9条改正」を言っていた。現行の憲法第9条2項の反日解釈では、日本は軍隊を持てない。自衛隊も軍隊ではない「実力組織」である。だから日本は「専守防衛」という国防の仕方しかできない。つまり(1)で述べた侵略国の国土の中枢を攻撃する戦略とそのための戦力(装備)を持てない。国防軍を持つとは名称の変更の問題ではなく、その権能と任務が変更されるということだ。アメリカ軍のような軍隊になるということである。憲法第9条改正の発議には「各議院の総議員の三分の二以上の賛成」が必要である。「平和ボケ」している日本の国会議員の三分の二以上がそのような軍隊を持つための改正に賛成することは、絶対にありえない。国民も平和ボケしていることは同じだ。議員を突き上げることはない。つまり実現不可能なのだ。

 

 私は1999年から、閣議決定で芦田修正論を確立して軍隊を保持すべし」と各方面に小冊子を送付してもらってきた。今もなお憲法第96条に基づく憲法9条2項の改正を主張する人々は、いかに真面目であっても、それは現実的には日本に国防軍を持たせないための主張である。閣議決定で、一日で国防軍を持てるのだ。憲法第9条改正の立場は、本来の憲法第9条(芦田修正)を否定し、閣議決定で国防軍を保持する方法を隠して否定する主張であり、運動である。私たちはきっぱりと捨て去らなくてはならない。3氏も考えを根本から変えていかなくてはならない。大きな発言力がある立場の人(高い地位の人)には大きな道義的義務が伴う。もし最高権力者の安倍氏と戦うのは大変だから、閣議決定で国防軍を持つ主張はせず、憲法9条改正を主張しているのであれば、強く批判される。

 

(6)織田元空将(1952年生まれ)は、「少なくとも尖閣諸島については、安倍首相は断固として守る覚悟を表明していますが、対馬にも必要でしょう」(33頁)と主張している。だが安倍首相は日本の尖閣諸島の領有権・施政権を否定して、中国に売り渡している中国の尖兵である。最高権力者への迎合の主張である。最高権力者の誤りとは正面から糾弾して戦うとの姿勢を持たないと、思考は停止し、かつ歪んでしまう。

 

岩田氏への批判も書いておこう。『正論』2019年5月号で織田氏と岩田氏が対談していた。岩田氏はその中で、「憲法も含めて、国民の意識をどう変えてもらうか。今、安倍政権は頑張って憲法問題に取り組んでくれていますが、一向に国民のサイレント・マジョリティーが動かないし、動けない。そして左のメディアは、憲法の議論を入口で遮ってしまっています」(85頁)と述べていた。安倍首相は現行の憲法第9条1項、2項の反日解釈をそのまま維持して、だから軍隊でない実力組織の自衛隊を「9条の二」を新たに設けてそこに書き込こむ憲法第9条改悪を狙っているのである。これが成功すれば日本は永久に軍隊を持てないことになる。自衛隊を軍隊にできなくなる。正面から最高権力者の誤りと戦う姿勢があれば、現実を正しく見る(分析する)ことができるようになる。人の思考とはそういうものである。

 

 (7)憲法第9条が自衛のための軍隊を持つことができること、すなわち自衛権を行使できることは、1951年9月8日にサンフランシスコ市で調印された「連合国と日本国との平和条約」の第5条(C)によっても明白だ。第5条(C)は「日本が主権国として国際連合憲章第51条の個別的又は集団的自衛の固有の権利を有すること、および日本が集団的安全保障取極を自発的に締結できることを承認する」である。行使ができないときは「その権利を承認する」とは言わない。日本は「芦田修正」によって主権を回復したら国防軍を保有できることになったから、自衛権・交戦権を行使できる。連合軍(GHQ)は当初は、日本は自衛目的であっても軍隊を保持できないという憲法第9条案を押し付けた。だが芦田修正で変わった。こういう経緯があるので、ソ連などが「日本は自衛権を行使できない。国家の緊急避難行為としての国防しかできない」(これが専守防衛である)と言ってくることを粉砕するために、第5条(C)は導入されたのである。憲法第9条によって国防軍を持てることは、この平和条約(国際条約)によって担保されていると言うこともできる。9月8日には「日米安保条約」(集団的安全保障条約=相互防衛条約)も締結され、第5条(C)と同じ文が盛り込まれた。これによっても担保された。

 

 憲法第98条2項は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」である。現在の憲法第9条の反日解釈は第98条2項にも違反している。だから98条1項の規定により無効なのである。

 

 私たちは早急に安倍首相を倒して国防軍を保持していかなくてはならない。「非核3原則」もすぐに破棄しなくてはならない。そうしなければ、独裁侵略国家3国の日本侵略を抑止する戦略と戦力を構築していくことはできない。残された時間は少ないのだ。

 

 本論文に関連するこれまでにアップされた論文の一部を記しておきたい。関心のある方は是非一読していただきたいと思う。2017.11.14アップ、2018.2.19アップ、2018.10.5アップ、2019.7.27アップ、2019.8.17アップ、2019.9.28アップの各論文である。

 

●「法の支配」の思想を獲得しなければならない

 

 近代自由民主主義国においては、政府(行政、立法、司法)は国民の政府であり、国民が選挙によって選出する国民代表によって形成される。憲法(正しい法)は政府を支配するものである。憲法は国の安全と存立を守る。国民の権利と自由を保障する。憲法(法)は政府にそれを命じている。憲法は政府と国民との契約である。つまり国政(外交・内政)は「法の支配」に基づいたものでなくてはならない。憲法第99条〔憲法尊重擁護の義務〕である。「法の支配」に反する国政は「人の支配」であり、無効である。憲法第98条1項の規定だ。政府は憲法9条(芦田修正)や憲法第98条2項(日本が締結した条約や確立された国際法の支配)に支配された外交・安全保障政策を実行しなくてはならない。それは政府の法的責務だ。これを意識的に否定する政府は憲法第99条に違反する「悪の政府」である。憲法(法)は国民も支配するから、「悪の政府」は国民によって糾弾されて交代させられる。一般国民には法に支配された国家権力を行使する権限はない。それができるのは政府だ。その政府が法に支配された国家権力を行使せず、それに反する「人の支配」を行ったら憲法違反であるから、国民によって交代させられるのである。これが「法の支配」であり、自由民主主義国の鉄則である。

 

 私たち国民は「法の支配」の思想を獲得することによって、政府や政党やその他の組織から自立した批判精神を持った政治主体に成長していきうる。私たちも憲法に支配される。政府が法の支配に違反する政策や決定をした場合は、敢然と糾弾していかなくてはならない。

 

 日本では「人の支配」がまかり通っている。これは前近代国家の在り方だ。国民は「お上」の被支配者のように振る舞っている。

 

 私たちは自分自身の弱さと闘い克服して、反日政策を実行している安倍首相を倒していかなくてはならない。日本の安全と存立を守り抜いていくためにである。一人ひとりの戦いが求められている。共同した戦いが求められている。

(2019年10月20日脱)