●「日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより、ここに皇位を継承しました」(新天皇陛下の「お言葉」)

 

 (1)第126代天皇(今上天皇)陛下は、5月1日の「即位後朝見の儀」のお言葉の最初で、上のように述べられた。「皇位を継承しました」とは「明仁天皇陛下から譲位されて受禅し皇位を継承しました」の意味である。もちろん天皇陛下と皇太子殿下(今上天皇)の自由な意思によるものではない。お言葉にあるとおり、憲法2条(皇位の継承)及び皇室典範特別法(譲位特別法)の定めるところに従って、「譲位・受禅」=皇位を継承しましたということだ。お二人は日本国憲法(憲法1条と2条)及び皇室典範特例法を強くお護りになられ従われた。法の支配である。皇位継承はなされた。私たちはしっかりと認識しなければならない

 

 (2)前日、前天皇陛下もお言葉で、「今日をもち、天皇としての勤めを終えることになりました」と述べられて、その前に「国民代表の辞」で安倍首相が使った「退位」の言葉は使われなかった。排斥した。陛下が意識的に伏せられたところを補うならば、「日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより、今日をもち皇嗣に譲位し天皇としての勤めを終えることになりました」である。

 

 安倍首相や菅官房長官は3月19日の記者会見で、「4月30日の『退位礼正殿の儀』での『お言葉』では、皇位を退く旨を述べられて『譲位』の言葉は避けなければなりません」と不当な命令をしていた。そして安倍首相は4月30日の「国民代表の辞」で、「謹んで申し上げます。天皇陛下に置かれましては、皇室典範特例法の定めるところにより、本日をもちまして退位されます」と述べたのであった。安倍首相は「譲位特例法」を違法に反日的に歪曲して「退位特例法」にでっち上げて、天皇の譲位権を剥奪して退位させようとした。

 

 陛下はそれをさらりとかわして、日本国憲法と皇室典範(譲位)特例法を堅持したうえで、前記のようなお言葉にしたのである。陛下は皇室典範特例法にも言及しないことにした。言及すれば、お言葉は「皇室典範特例法の定めるところにより、本日をもち(退位して)、天皇としての務めを終えることになりました」とねじ曲げられてしまうからだ。陛下も首相と同じく皇室典範特例法を「退位特例法」ととらえられている、とねじ曲げられてしまうからである。

 

 (3)「即位後朝見の儀」では新天皇のお言葉が先である。新天皇は前記の如く、「憲法と皇室典範特例法の定めるところにより、ここに皇位を継承しました」と国民に向けて述べられたのである。「皇室典範特例法の規定により、即位しました」と述べることはしなかったのだ。明仁天皇と今上天皇(皇太子)は以前からしっかりと相談されて、儀式に臨まれたはずだ。お二人の憲法と皇室典範特例法を断固として護り、天皇制度を護持していくとの強いご意志が皇位継承を否定して天皇制度を破壊しようと計画してきた安倍首相や菅官房長官らの妨害をはねのけたのであった(私の前々回の論文4月27日アップの3節目、前回論文6月7日アップの4節目を見ていただきたい)。

 

 「朝見の儀」で新天皇は、「ここに、皇位を継承するに当たり、上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し、また、歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、自己の研鑽に励むとともに」と述べられた。陛下はこう述べられ、歴代天皇、昭和天皇、明仁天皇そして自らへと皇位が継承されてきたことを述べられたのである。もちろん「常に国民を思い、憲法に則り、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します」と述べられて、お言葉を結んだのである。

 

 

●私たちは皇室典範特例法(譲位特例法)を違法に反日解釈して否定し、「退位特例法」にでっち上げて天皇制度を破壊しようと企てる安倍首相や菅官房長官らを許してはならない

 

 (1)前回論文4節目の続きとして書きたい。前天皇陛下も皇太子殿下(新天皇陛下)も「譲位」と述べられ、決して「退位」の言葉を使われてこなかった。天皇がもし譲位なしに退位されたら、皇位は継承されず王朝は終焉する。「退位」の言葉の意味は「皇位を退く」であり、「皇位を譲って退く」ではないからだ。憲法1条と2条は天皇陛下や皇太子殿下また皇族方に、天皇制度を護持する責務を負わしめている。また国会議員をはじめ日本国民にもその責務を負わしめている。法の支配である。だから天皇陛下も皇太子殿下も皇族方も絶対に「退位」の言葉は使わず、「譲位」と言われてきた。

 

 高齢化社会においては、天皇制度を安泰的に護持していくためには、「譲位制度」が不可欠である。私の拙文(2017年1月6日アップ)を参照していただきたい。国会は憲法1条と2条に支配されて、天皇制度を安泰的に護持していくために、2017年6月16日に「皇室典範4条」の特例法として「皇室典範特例法」を制定したのである。この特例法は「譲位特例法」である。衆参両院の「付帯決議」で「譲位特例法」と明記されている。

 

 皇室典範特例法の定めるところにより、天皇陛下が譲位すると皇嗣が直ちに(同時に)即位(受禅)される。譲位と即位(受禅)は同時である。こうして皇位が継承される。前天皇は同時に皇位を退く。天皇の意思によって譲位するのではない。皇室典範特例法の定めがそうするのである。私たちは以上のことを深く理解しなくてはならない。深く理解すれば、反日で反天皇制度の安倍首相や同志の菅官房長官の悪の企みがよく判るようになる。

 

 (2)皇室典範特例法の条文案を策定する作業において、安倍首相、菅長官、横畠祐介内閣法制局長官らは、「譲位」とすべきところをすべて「退位」としたのである。法律名も「天皇の譲位等に関する皇室典範特例法」ではなく、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」とした。第2条も「天皇は、この法律の施行の日限り、譲位し、皇嗣が、直ちに即位する」ではなく、「~退位し、皇嗣が、直ちに即位する」とした。国会議員は「皇室典範特例法は譲位特例法だ」と認識していた。だから安倍首相らは議員たちに、この「退位」は「譲位」と同義であると信じ込ませた。「譲位されれば皇位を退くわけですから云々」とだ。彼らは約2年後になされる儀式において、権力によってこの「退位」を利用して皇室典範特例法を違法解釈して「退位特例法」にでっち上げて、「皇位の継承」を否定して天皇制度を破壊していく計画を立てていたわけである。

 

 政府は2017年12月8日、政令「天皇の退位等に関する皇室典範特例法施行令」を閣議決定した。この法律の施行日を2019年4月30日とし、4月30日に「退位の礼」を行うというものである。政令には書かれていないが、政府は報道機関には「5月1日に新天皇が即位する」と伝えている。

 

 これらの報道に関して、1947年に臣籍降下させられた旧皇族の竹田恒泰氏が、『正論』2018年2月号で既に次のように批判していた。「退位と即位が『別日』は不自然」「空位を避けるなら、新天皇の即位は4月30日でなければならないことになる」「なぜ『譲位式』では駄目なのか」「なぜ譲位式ではなく退位式をするのか。・・・退位だけ単独で行われたら、それは王朝の終焉を意味する」(48~51頁)。全くそのとおりだ。それが安倍氏らが狙ったものである。

 

 (3)安倍首相・菅長官は今年3月19日に、天皇陛下は「退位礼正殿の儀」のお言葉では、譲位の言葉は使ってはなりません。新天皇陛下は「即位後朝見の儀」のお言葉では、譲位されて即位したとの文言は使ってはなりませんと宣告した。「譲位特例法」を完全に否定して「退位特例法」にでっち上げたのである。憲法1条と憲法2条(皇位の継承)を破壊する違憲行為であり、憲法98条1項によって無効のものだ。

 

 安倍首相らはでっち上げた「退位特例法」によって、天皇の譲位を禁止して退位(廃帝)させる。千数百年続いてきた王朝を終焉させる。その上で翌日、やはりこの特例法によって新天皇を即位させる。「私(安倍首相)が特例法によって天皇に即位させてあげたのだ」ということだ。安倍首相らはこういうことを企てたのである。千数百年続いてきた皇位の継承を否定破壊して、時の政治権力が恣意的に悪の法律によって、前天皇を退位(廃帝)させ、新天皇を即位させる先例を創ろうと企てたのである。安倍氏らにとっては、新天皇は新王朝の天皇ということになる。皇位継承を否定するので1代限りの天皇である。

 

 (4)だが、この反天皇制度、反日の悪の企ては、今上天皇と前天皇の憲法1条と憲法2条と皇室典範特例法を護る強いご意志によって、阻止されたのである。念のために述べるが、両陛下は「政治活動」をされたのではない。日本国憲法と皇室典範特例法を強く護られ、その定めにただ従われたにすぎない。「法の支配」を護られたにすぎない。

 

 (5)私たちは安倍首相や菅官房長官や横畠内閣法制局長官らを許しておいてはならない。批判し辞職させなくてはならない。憲法学者の八木秀次氏は彼らと一体化して、次のように主張してきた。「天皇陛下が皇位を新天皇に『譲る』という意思が儀式に見られれば、憲法4条1項に抵触することになるからだ。例えば、退位の宣言の際は、皇室典範特例法によって皇位を退く旨を述べられるにとどめ、新天皇に皇位を『譲る』との文言はお避けにならなければならない」(産経新聞2018年2月20日付「正論」欄の小論文「皇位継承の儀式における『課題』」)。

 

 既に証明したように、この主張は反天皇制度、譲位を否定する立場から、皇室典範特例法(譲位特例法)を全面否定して「退位特例法」(譲位禁止)にでっち上げたものである。憲法1条、2条を破壊するものだ。そうすることを正義だとする。私たちはこのようなエセ学者も糾弾していかなくてはならない。

 

 政府は法(憲法)の支配、法に支配された国政を護らず、否定することがある。安倍首相や菅長官らは保守に偽装しているが反日左翼だから、必然的にそうなる。彼らは皇室典範特例法を180度反対の「退位特例法」にでっち上げた。しかしながら新聞は、安倍・菅官邸の説明や八木氏のような御用エセ学者の主張を批判できず、そのまま記事にしてしまっている。私が購読している読売新聞もそうだ。決定的な誤りだ。

 

 (6)安倍首相・菅官房長官らは4月1日の臨時閣議で新元号「令和」を決定したが、安倍首相はそのことを自ら天皇陛下と皇太子殿下に奉上しなかった。大臣にさえさせなかった。どうしたのか。内閣官房副長官・杉田和博氏に宮内庁の山本信一郎長官に電話で、「令和」と出典が万葉集であることを伝えさせて、山本長官から天皇陛下へ、山本長官から東宮御所で待機していた西村泰彦宮内庁次長へ電話で伝えて西村次長から皇太子殿下へ、「手書きしたメモ」で通知させただけである(読売新聞4月1、2日付)。この「ウルトラ不敬行動」も、安倍首相らは天皇制度の破壊を企だているのだから当然のことであった。なによりも首相は新天皇にこの政令に署名していただいて5月1日から施行させることを意図的にさせなかった。

 

 読売新聞はこのような「不敬」を平然と行う安倍首相なのに、「新元号選定を前に、首相の皇室への配慮は際立っていた」「首相は決定日当日の1日も皇室への配慮を働かせた」と書いていた(4月3日付)。私たちは常に権力からは距離を置き、法の支配の国政の立場からいつも権力を批判的にチェックするようにしていかなければならない。またいつも自己批判の姿勢を持っていなくてはならない。ジャーナリズム、ジャーナリストであればなおさらだ。

 

 (7)安倍首相は、保守に偽装しているだけである。私は前回の論文でも安倍氏が独裁侵略者のプーチンや習近平と融和して、日本侵略支配を国家目標にしている中国とロシアに日本を急接近させていこうとしていることを糾弾した。彼は反日左翼であって中国・ロシアの尖兵である。日本国の安全保障は危機に瀕している。

 

 私たちは一人ひとりが起ち上がり戦っていかなければならない。安倍首相らを打倒していかなければならないのだ。皇室典範特例法(譲位特例法)の用語も正しい用語(「退位」を「譲位」)に改正しておかねばならない。私たちはまた皇室典範を改正するか特例法によって、1947年に臣籍降下した旧11宮家の中で男系男子で存続している旧5宮家の壮年男子14名の方を皇籍に復帰させていかなくてはならない。こうした例は歴史上多くある。これは憲法1条、2条に支配される国民と国民代表の国会議員の責務である。

(2019年5月6日脱)