「カラマーゾフの兄弟」

 

フョードル・ドストエフスキー

(露・1879)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先日申し上げた通り、金欠の為に毎月の書籍代を削減し、その分はキンドルで補おうとしています。古い名作はパブリックドメインといって、著作権がうるさくないので青空文庫さんがウェブ上で公開していて、それをアマゾンで0~100円くらいでダウンロードできるのです。

 

 この度は私の苦手ジャンル【海外の名作系】を攻めよう、ということでまずは読まなきゃいけないんだけどなかなか手が出ていない、名作「カラマーゾフの兄弟」を読みました!

 これまで【ドストエフスキー】という名前に怖気づいてしまい、恥ずかしながら読む勇気がなかったです。これではいけない!教養力を高めるためには名作系は必読です。どんな話だったかをここに書いて残しておこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 「カラマーゾフの兄弟」の印象は、①けっこう長い、②ロシア特有の人名が覚えづらい、③宗教的なテーマがわかりづらい、というようなところだと思います。中でも②のロシア人名があまり親しみがない為に覚えられずに挫折しそうです。

 

 ↑の4人はとりあえず物語の中心的な人物、カラマーゾフ家の親子です。父親とその下に男3人兄弟ですね。ここで注意が必要なのがロシア特有の名前の略し方です。(ドミトリーがミーチャ、アレクセイがアリョーシャ)となっています。ロシア映画などと同様にこのあたりも何の説明もなく使われるので慣れていないと混乱してしまいます。

 こちらは主要な女性です。

 この女性二人と3男のアリョーシャ以外の人物たちが恋愛関係でもつれます。そこに金銭の問題やつまらない感情のためにある事件が起きてしまい、それが本書のメインストーリーとなっています。

 ある事件とは【父親フョードル・パーブロヴィチ】が殺害されるという衝撃的な事件です。容疑者は長男のドミトリー(ミーチャ)。二人はグルーシェンカをめぐって争っており、さらには金銭的にももめていて、さらに事件当夜に犯行現場にたくさんの証拠があったため、ミーチャが容疑者となって裁判が行われます。この裁判の描写がかなり濃密に書かれていて読み応えあります。

 

 

 ストーリーのメインの柱としてはこの事件があるのですが、そのほかにも途中でいろんな話の横道に入っていき、それがあるときは「恋愛小説」となり、ある時は「推理小説」、または「思想小説」というように、いろいろな側面を見せるのも本書の魅力です。そんな中でもとくに特徴ある側面としては「宗教小説」としてのもので、イワンとアリョーシャが信仰をめぐって論争した「大審問官」というパートが有名です。(当時のヨーロッパやロシアは近代化の波が激しく、科学や資本主義の発展と同時に無神論者が増えてきたような時代だったようです。)

 

 この「宗教」というものは本書のテーマの根底をなすもので、作者が常に意識して描いております。このあたり、キリスト教のことがよくわからない日本人が深く理解するのがつらい部分となるかもしれません。

 

 

 メインのストーリーの周りにはたくさんのサイドストーリーがちりばめられていて、メインに関係ないものもあったり、油断していると後から関係してきたりと、なかなか油断できません。そしてそこにはたくさんの個性的な人物が登場するのですが、この名前がまた覚えづらい、、、。

もう勘弁してほしいくらい次々に新しい人たちが登場します。よくこんなにたくさんの人物を描けるものですね。すごくおしゃべりなおばさんや、怒りっぽくて飲んだくれのまさにロシア的なおじさんとか、実に個性が溢れています。

 

 

 

 全体としては、意外と読みやすかった印象です。特に翻訳もの特有の読みづらさはありませんでした。ストーリー、各人物も面白いのでけっこういっきに読んでしまいました。ただ、途中の宗教に関係した部分はさすがに完璧に深く理解できてはいないと思います。一番重要なテーマなだけにちょっと厳しい部分です。

 

 まあ、それでもますは読んでみることが大切なので、今回トライしてみてよかったです。とにかく挑戦してみる、そして5割、6割でもいいので理解していくということが重要ですね。よし、これでちょっと教養力がアップしたようです。またどんどん名作系に挑戦していくことにします。ありがとうございました。