前回の続き

 

世界の変化に付いていけない日本社会全体が「ガラパゴス化」していて、いつまで経っても明るい未来、希望を語れる環境が日本全国何処にもないことが極度の「日本(・・)社会(・・)()閉塞感(・・・)」を生み出している原因だと分析をしている。

「収入が増えない【このことは後程、「貧困化」の項目で詳細に考察を深める】」ことで悲観的になり、貯蓄に勤しまなければ将来が不安だから、今を楽しんだり未来への希望を大いに語る場への投資をしたり【飲み会等のことではなく、新たな技術習得や専門性をより深めるための投資/学習のこと】するどころではない。

退職後2,000万円問題にしても、政府の無能さが日本国民の超過度な貯蓄性向に拍車を掛けてしまっているだけではないか。

一昨年12月に18歳以下の育児世代および住民税非課税世帯に対する再度の金銭配布に際し、育児世代に対してクーポン配布というチャンチャラ可笑しい施策が飛び出してきた始末だ。

将来が不安だから使わない、その原因は全て日本政府にあることすらわからないセージ屋と腐りきった中央官庁所属官吏の怠慢以外の何物でもないではないか。

 

まあ、「公務員共産主義国家」であるから、公務員以外の「穢多、非人」の生死など眼中にないと言うべきなのかもしれない、誰が何と言おうとも「俺たち役人は特別だから」ね。

 

さて次に「貧困化(・・・)」であるが、過日『誰のための国家、行政組織なのか? (11月8日ポスト分)』にても言及した通り1986年施行の労働者派遣法(正式名称:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)により大量発生させてしまった非正規雇用労働者の存在がこの国の貧困化を加速させていると感じる。

これは何も非正規雇用労働者だけの問題だけではなく正規雇用労働者(正確には無期限雇用契約を結ぶ労働者)の賃金上昇抑圧に大きく影響を及ぼしている。

 

何故か?

まず、企業、組織の収益がリーマン・ショックを誘発機序として十分な売り上げが上げられなくなり、会社社員(株主のこと)への利益還元(配当金)を停止できず【無配当にするということ 無配になると株価が下がるため】、少ない売上総利益から処分される6「賃金」を上げることができない事態に陥ってしまった点がある。

 

現行の経営者は企業にとって元々「賃金の抑制」=「税引き前利益の拡大【「経常利益の増加」と一般的には表現しているが、実際は税引き前利益の拡大が正しい理解である】」と捉えている傾向が強く、人員(職員)数の抑制と共に賃金の抑制も大事な経営課題と考え(実態は、自身の経営能力の欠如なのだが)全ての賃金支払いを増大させたくない、抑制した分を役員報酬や会社社員(株主)への還元の原資として確保しておきたいとの動機から支払賃金の頭打ちが続いている。

またこれ以外に、内部留保(組織内貯蓄)として溜め込み、赤字決算期(経常利益の負数、税引き前利益の負数)に対応させるためという側面もある。

 

非正規雇用労働者増による賃金支払総額の抑制が正規雇用職員にも波及し、結果的に国庫に納められる各種税金の歳入額が減少、国民の健康と福祉に要する財源が足りなくなり様々な「法制度手当7」が削られることがこの先も永遠と続くことになる。

国内企業の成長力が鈍化/低下している中、抑々支払われる賃金額が超低空飛行しており、「法制度手当」の給付が削減していけば自ずと「可処分額」を抑制せざるを得ない。

すると、企業の売上高が減少することに繋がり、更に国内企業の成長力を阻害し、賃金抑制に拍車がかかる負のスパイラルが更に昂進するだけだ。

 

リーマン・ショック後の円高抑制、円安推進金融政策が現在の低賃金に繋がっているとの見解を展開している記事も見受けられたが、全くの的外れとまで言わないが私はリーマン・ショック以前から導入されていた人材派遣、派遣労働者/非正規雇用労働者の増大の方がより大きな原因だと分析している。

 

だからと言って、私は旧来の終身雇用、年功序列人事制度に対しては異を唱える立場だ。

終身雇用、年功序列人事制度は個々の持つ能力に応じた報酬支払いに繋がらないばかりか、必ずと言っていいほどどの組織にも存在する「働かないおじさん/おばさん」を育成させるだけと感じているからだ。

付加価値を創造できない人材に何故報酬を払わなければならないのか?

 

無条件での解雇禁止に疑問を覚えるし、人材の流動性は高めた方がいいと感じている。

しかしながら、多くの経営者はそれを自身の無能さに基づく業績不振のツケを解雇という手段を使い、一職員の人生を狂わせることも考えずに乱用することが問題なのだ。

私は労働行政監督当局と経営層(雇用者)、労働者(被雇用者)三者の利害を一致させる解雇方法として考える制度は、経営層(雇用者)が労働行政監督当局に対して「解雇申告」を行い、労働行政監督当局(中立の弁護士が必ず同席)と労働者(被雇用者)およびその法律代理人(弁護士)と面談の上で解雇条件並びに解雇事由に合意した場合のみ「解雇」が行える法制度を作るべきだと強く考えている。

仮に、経営層(雇用者)による「解雇申告」に非合理的理由や不当な条件が付帯していれば、労働行政監督当局と労働者(被雇用者)およびその法律代理人(弁護士)はその合理性に対して解雇される前に異を唱えることが担保される(身分の保証がされている状態での交渉を継続できる)し、不当解雇として訴訟発展(圧倒的被雇用者側の不利)をせずに訴外解決に導くことができるはずだ。

その一方、「解雇申告」に合理的理由や正当な条件が付帯していれば、労働者(被雇用者)およびその法律代理人(弁護士)が異を唱えたとしてもその異議を労働行政監督当局(中立の弁護士が必ず同席)が否認することで経営層(雇用者)の申告に合理的整合性ある事由として解雇を認めることになる。

この法制度の記録は一定期間後に個人情報以外開示することを義務付け、その過程を詳らかにすることで「解雇申告」の乱用を一定程度防止できるのではないかと仮説を立てている。

 

多少本論から逸脱してしまったので、本論に話しを戻そうと思う。

まず、国民全体が富裕な国として代表的なルクセンバークとスイッツァランドの国民平均所得額だが、ルクセンバークは73,657ドルスイッツァランドは68,957ドル(出典:OECD 20228)となっている。

それに比べて、わが日本は39,711ドル8でルクセンバークと比べ約半分、対スイッツァランドでは6割弱という事実をどう理解すべきか?

8OECD平均賃金 (Average wage)

 

最近になり、漸く(ようやく)というべきだと思うが岸田文雄内閣総理大臣が経済界に対して賃上げを強く要請し始めた。

また、既にグローバル企業でUNIQROGUOperationしている株式会社 ファーストリテイリングが職員の給与を最大40%昇給させるという話題が世間を賑わせた。

新入社員の初任給は月25.5万円から30万円へ、入社1~2年目で就任することが多い新人店長で29万円から39万円でしかなく、所謂ボーナスを加算しない純粋な年俸換算で468万円でしかない。

夜勤ありの看護師、各種営業職【金融業界を除く】で概ね500~550万円の年俸と考えると、その額は決して特筆するほど高額ではないのが実情だ。

468万円≒36,000ドル(1ドル 130円で換算)、OECDが報告している所得額とほぼ同じか若干満たない額だ。

ということは、ルクセンバーク国民は9,575,410円、スイッツァランド国民は8,964,410円が平均であり、ルクセンバークの個人所得税8%〜42%(平均的税率30%)+VAT、スイッツァランド国民は連邦税最高税率が11.5%+州・自治体税+VATの課税を加味したとしてもルクセンバーク国民で6,500,000円、スイッツァランド国民が6,000,000円程度を可処分所得として手にできる。

一方で日本はとなると、UNIQRO店長のケースで考察すると概ね4,000,000円が所得税控除後所得として手にできる計算になる。

ここから日本のVATである消費税を控除することを加味するとその額は3,600,000円程度と考えると、わが日本の貧しさを実感していただけるのではなかろうか【社会保険は考察対象から除外した】。

半分だ・・・。

 

 

次回に続く