ウンチ・・・。
動物の消化管から排泄されるもの。
並々ならぬ臭気は
昔から忌避すべき存在として語り継がれてきた。
「Shit!(クソッ!)」・「下手糞(ヘタクソ)」・「猫糞(ねこばば」など
悪い意味での様々な慣用句は今でも用いられている。
そんなウンチであるが、実にそのウンチを
活用する動物たちがいる。
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ウサギ類のウンチはコロコロした丸い糞で
知られているが、実はコロコロ糞のほかに
柔らかいペースト状の糞と
2種類のウンチをするのだ。
植物を食べると最初に排泄されるのが
このビタミンやタンパク質などの栄養を含んだ
柔らかウンチ。それを食べ、
それが、コロコロウンチとして再び排泄される。
2回、腸に通過させることで無駄なく栄養を
摂取するわけだ。
他にも子供のウンチを食べる動物はいるが、
これは子供の消化器官が未発達なため、
ウンチに未消化分の栄養があるためだ。
また天敵に見つからないために、臭いのある糞を
残さないためという理由もある。
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コアラ 学名(Phascolarctos cinereus )
コアラは誰も食べない毒性のあるユーカリの葉のみ
を独占して食べ、さらには水を飲まずに、
ユーカリの葉の水分でまかなうという徹底した偏食家であるが、
コアラの腸には
ユーカリを分解、消化するのに欠かせない微生物
が含まれている。
腸の中のユーカリを分解する微生物は
生まれてくる子供コアラの腸には備わっていない。
テレビ番組「トレビアの泉」でご存知の方は多いと思うが、
子供のコアラは母親のウンチを食べて育つ。
いわば、母親のウンチは離乳食というわけだ。
この母親のウンチにユーカリを消化するための微生物が
含まれて、そのウンチを食べることによって
子供の腸にもその微生物が増え、ユーカリの葉を
食べられるようになるわけだ。
草食動物は腸内細菌の働きによって、草などの食べ物を消化するが、
腸内細菌の発生が弱い場合は消化不良をよく起こす。
そんなときは自分や仲間のウンチを食べて、
腸内細菌の補充をするという。
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人間界にも
排泄物を「聖水」「黄金」と嗜好を込めて称し、
排泄をこよなく愛する性癖「スカトロ」という
衝撃の世界が陰で潜めているといわれるが、
これを表舞台で平然とやってのける動物がいる。
キリン 学名(Giraffa camelopardalis )
キリンは人間やウサギ同様に年中通して
繁殖可能な動物である。
つまり年中あちらこちらの群れで散発して発情が起こる。
発情したメスはモンローウォークさながら
尻を左右に大きく振り、たまに糞と尿を撒き散らす。
発情したメスを追いかけるオスは
そのメスの排便をすかさず口で受け止め
食べてしまうのである
オスはその臭いや味でメスの発情状態を知り、
覚醒、さらなる興奮を呼び起こすのだと言う。
なんでも、
ウンチの臭い成分の1つにスカトールというアルコール成分があるが、
これはリラックス効果を促すと言うジャスミンティーの香り成分なんだとか!
さらに香水にもウンチの臭い成分を活用されているらしいが、
これらの成分は覚醒と興奮の効果があることが
科学的にも証明されているのだという。
それらのことからスカトロという行為は理にかなっている
ように思えるが、
それらの成分はウンチレベルの強い濃度では
単なる有毒ガスである。
このレベルの濃度で喜んでやってくるのはハエのみであることは
言っておこう。