昨日金曜日に放送された
NHK-FM のオーディオ・ドラマ
青春アドベンチャー『ニコルの塔』第5回、
今回も自宅にて
ライブで聴きました。


今回は原作の第10~11章に相当します。

お墓を数えるときの単位は
「基」なんですねえ。

お恥ずかしながら初めて知りました。(^^ゞ


そのお墓のそばで
オジマ先生がサルバドールに石を投げ
悪態をつく場面がありました。

いよいよ
オジマ先生の地が透けてきて
それまでの優しい性格から豹変するという
奈央ちゃんの演技力が
発揮されるシークエンスでした。


聴いた感じでは
やや発声が今の人っぽかったというか
奈央ちゃんの口癖かな
と思わせるところがありましたね。

たとえば
「院長先生にどんな無礼を働いたか」の
「どんな」が
「どぅんな」と聞こえたりするあたり。

ここはやっぱり
「どんな」と
発声して欲しかったと思いますが
まあ、個人の印象です。f^_^


ウランガの語り口って
『天空の城ラピュタ』の
ドーラを連想させますね。

今回は
ニコルを働かせる展開だっただけに
余計そう感じさせるのかもしれませんが。

「うすい・まずい・ぬるい」
という言い回しは面白かった。


ニコルが見つけたリボンに書かれていた
「聖レメディオ修道院」というのはもちろん
原作者がインスパイアされた絵を描いた画家
レメディオス・バロからきているわけです。

ウランガが地下室に行き
「灯りだ灯りだ、お月さまのお出ましだよ」
と言うと
いつの間にか手にしていた鳥籠の中に
丸く光る灯りがともった
というのも
物語の基になった絵とは別の作品から
インスパイアされたもの
と思われます。

バロの絵に
「星捕り」Star Catcher(1956)
「天のパン粥」Celestial Pablum(1958)
という作品があって
いずれも鳥籠の中に
三日月が描かれているからです。

「天のパン粥」は、三日月に
星屑で作ったパン粥を
鳥に餌を与えるようにあげている図柄で
わかつきめぐみか
須藤真澄の描く
まんがのような雰囲気があって
ちょっとお気に入り。


そうそう、前にちょっとふれた
注文した画集、届いてます。

Remedios Varo: The Mexican Years
Remedios Varo: The Mexican Years
(RM、2014)

Amazon で購入しました。

表紙はまさに
今回の原作の基になった
院長先生の塔で刺繍をしている絵の
部分にあたります。

メキシコとスペインで出た本ですが
編者は日本人の野中雅代だったので
ちょっとびっくり。


それはともかく、
ウランガは刺繍によって
お菓子を作り出します。

ドラマの第1回で、ザザが
「刺繍したケーキは食べられないでしょ」
と言ってましたが
あれは伏線だったわけです。


そのウランガが
「ゆうべオジマは何と言って
 お前さんを納得させたんだい」
とニコルに聞き
「まさかそんな御託を
 信じたわけじゃあるまいね」
と難詰したとき
「オジマ先生がそう言うなら、
 そうかもしれないし」
と答えるニコルに対して
「お前さんには
 判断力ってものがないのかい」
と返してました。

でも
「子どもは質問しちゃいけないし
 大人は決められたことしか話さない」
というような世界で
「すべてを受けいれよ。
 疑問をいだくのをやめよ。
 考えるよりしたがうことが、
 わたしたちのつとめ。」
という祈禱書の聖句を
日々、聞かされ
幻視病について
授業で教えられている子どもに対して
判断力を云々するのは
そいつぁ無理というものだよ、ウランガさん(苦笑)


ちなみに原作では
ニコルが
「薬の入ったお茶でも飲まされたんだろうが」
とウランガに言われて
「とろりとしたお茶のことを思いだして、
怒りにふるえ」る場面があります。(p.122)

ドラマでは、このくだり
カットされてましたが
ここ最近
脱法ハーブないし危険ドラッグが
問題になっているので
いわゆる「自粛」したわけでしょうか。

第4回のお茶の場面では
「くらっと目眩を覚え
 一瞬、オジマ先生の顔が
 二重に見えた」とか
「心地好いだるさが」
 ニコルの全身を覆った」と
ナレーションが入り
不安を催すBGMが流れてましたので
薬を匂わすような演出は
されていたわけですけどね。


以上、妄言多謝。


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