こんばんは、
前回のブログ、
タイム・スタンプを修正し損ねて
落ち込んでいる老書生です。
まあ、それはともかく
タイトルのお題に入りましょう。

(文藝春秋、2012年3月25日発行)
最近、こちらでも紹介した
『七人の敵がいる』(2010)がドラマ化された
加納朋子の新作です。
なんとノンフィクション。
それもあろうことか、
急性白血病との診断を受けてから
骨髄移植して退院するまでの
経緯を綴った作品です。
そんな大変なことになっているとは
ぜんぜん知らず、
(それが普通でしょうけど)
びっくりでした。
読んでみると
これまたびっくりというか、
こういう感想を書くのは
不謹慎かもしれませんが、
無類に面白く、電車の中で
何度も吹き出しそうになりました。
確かにオビの文句にある通り
「あたたかな涙と笑いに満ちた壮絶な闘病記」
には違いないのですけれど、
さすがにプロの物書きというか、
「受け狙いという邪[よこしま]な思い」もある
アラサー「オタ主婦」視線が
ある種のユーモアを醸し出しています。
抗がん剤の副作用で髪の毛が抜けることを
徹底的に気にしていたり、
食べ物に関する記述がやたらと細かかったり、
入院のために用意する身の回りのものについて
『すてきな奥さん』なみに工夫したり、
こうした、ある意味
女性的ともいえる感覚はとても印象的でしたし、
それをまた、ユーモアでくるんで
出してくるあたり、感心することしきり。
これは文字で書いたエッセイまんが
とでもいいましょうか。
ドラマ「あっこと僕らの生きた夏」の感想で
この手のヒューマン・ドラマは嫌いだと
書いた自分は
だから今回の『無菌病棟』も
最初はおそるおそる読み始めたのです。
そんなこちらの思いを、ものの見事に裏切り、
「良かった探し」という
いかにも加納朋子らしいスタンスともあいまって、
実際は壮絶なんだろうけれど
おおむね楽しい読み物になっているのには
びっくり。すごい。
ちなみに、旦那さんは
知る人ぞ知る作家のあの方ですが、
(いちおう伏せておきます)
その旦那さんとのやりとりが
妙に面白かったり(藁
最後の方で3.11についてもふれられていて
骨髄移植後、自宅に戻ってから遭遇した
というのもすごかったですけど
それはともかく、地震の被害の報道を観て、
なぜ私は生きているのだろう?
(略)
「どうしてこんなことに
なっちゃったんだろう?」なんて、
自分のことばかりで嘆いていた頃が、
ただ恥ずかしい。
未曾有の災害に際してではなくとも、
たかだか一個人の病なんて、
宙に舞う埃ほどの重みもないのだと
思い知る。
正直、この日記の大部分も
今となってはかなり恥ずかしい。
(pp.295-296)
と書いているのを読んで、
それは違うよ、と思ったことでした。
人間は自分のことで
ドタバタしてもいいのではないか
と個人的には思うのが、ひとつ。
それと、一個人の病ではなく
いろいろな人との関係の結節点である
固有名をもった個人である以上、
その重さは、
病にかかった個人だけでは
決められないと思うので。
生意気なことを
最後に書いちゃいましたけど、
それは忘れてくれてもいいのでして、
とにかくこの本は、文句なしに
超おススメの一冊です。
日々の生活で心が疲れている人、
これを読めば元気になれると思うよ。
ちなみに
急性白血病について
ネットで検索している場面に
「……死んでたまるか戦線ですよ」
などと
アニメオタクにしかわからないセリフを
一人つぶやきつつ、
私はひたすら検索を続けていた。(p.85)
とあるんですが、
これ、すごく気になりました。
自分はアニメオタクではないので
(そうなんですよ、もちろん【^.^】)
出典が分からなかったのが
ちょっと残念。
ちょっとだけですけどね(藁
前回のブログ、
タイム・スタンプを修正し損ねて
落ち込んでいる老書生です。
まあ、それはともかく
タイトルのお題に入りましょう。

(文藝春秋、2012年3月25日発行)
最近、こちらでも紹介した
『七人の敵がいる』(2010)がドラマ化された
加納朋子の新作です。
なんとノンフィクション。
それもあろうことか、
急性白血病との診断を受けてから
骨髄移植して退院するまでの
経緯を綴った作品です。
そんな大変なことになっているとは
ぜんぜん知らず、
(それが普通でしょうけど)
びっくりでした。
読んでみると
これまたびっくりというか、
こういう感想を書くのは
不謹慎かもしれませんが、
無類に面白く、電車の中で
何度も吹き出しそうになりました。
確かにオビの文句にある通り
「あたたかな涙と笑いに満ちた壮絶な闘病記」
には違いないのですけれど、
さすがにプロの物書きというか、
「受け狙いという邪[よこしま]な思い」もある
アラサー「オタ主婦」視線が
ある種のユーモアを醸し出しています。
抗がん剤の副作用で髪の毛が抜けることを
徹底的に気にしていたり、
食べ物に関する記述がやたらと細かかったり、
入院のために用意する身の回りのものについて
『すてきな奥さん』なみに工夫したり、
こうした、ある意味
女性的ともいえる感覚はとても印象的でしたし、
それをまた、ユーモアでくるんで
出してくるあたり、感心することしきり。
これは文字で書いたエッセイまんが
とでもいいましょうか。
ドラマ「あっこと僕らの生きた夏」の感想で
この手のヒューマン・ドラマは嫌いだと
書いた自分は
だから今回の『無菌病棟』も
最初はおそるおそる読み始めたのです。
そんなこちらの思いを、ものの見事に裏切り、
「良かった探し」という
いかにも加納朋子らしいスタンスともあいまって、
実際は壮絶なんだろうけれど
おおむね楽しい読み物になっているのには
びっくり。すごい。
ちなみに、旦那さんは
知る人ぞ知る作家のあの方ですが、
(いちおう伏せておきます)
その旦那さんとのやりとりが
妙に面白かったり(藁
最後の方で3.11についてもふれられていて
骨髄移植後、自宅に戻ってから遭遇した
というのもすごかったですけど
それはともかく、地震の被害の報道を観て、
なぜ私は生きているのだろう?
(略)
「どうしてこんなことに
なっちゃったんだろう?」なんて、
自分のことばかりで嘆いていた頃が、
ただ恥ずかしい。
未曾有の災害に際してではなくとも、
たかだか一個人の病なんて、
宙に舞う埃ほどの重みもないのだと
思い知る。
正直、この日記の大部分も
今となってはかなり恥ずかしい。
(pp.295-296)
と書いているのを読んで、
それは違うよ、と思ったことでした。
人間は自分のことで
ドタバタしてもいいのではないか
と個人的には思うのが、ひとつ。
それと、一個人の病ではなく
いろいろな人との関係の結節点である
固有名をもった個人である以上、
その重さは、
病にかかった個人だけでは
決められないと思うので。
生意気なことを
最後に書いちゃいましたけど、
それは忘れてくれてもいいのでして、
とにかくこの本は、文句なしに
超おススメの一冊です。
日々の生活で心が疲れている人、
これを読めば元気になれると思うよ。
ちなみに
急性白血病について
ネットで検索している場面に
「……死んでたまるか戦線ですよ」
などと
アニメオタクにしかわからないセリフを
一人つぶやきつつ、
私はひたすら検索を続けていた。(p.85)
とあるんですが、
これ、すごく気になりました。
自分はアニメオタクではないので
(そうなんですよ、もちろん【^.^】)
出典が分からなかったのが
ちょっと残念。
ちょっとだけですけどね(藁