映画『アリス・イン・ワンダーランド』効果
とでもいうのか、
このところアリス関連の映像が
日本市場向けにソフト化されることが
目に着くようになってきました。

その内のひとつがこのアニメ映画です。

$圏外の日乘-不思議の国のアリス・イン・パリ
(WHDジャパン IDM-30、2010.8.27)

ジャケット裏のコピーライトが
2009年になっているので、
2010年8月27日というのは
Amazon での発売開始日に
すぎないのかもしれません。

そうなると、ディズニーの影響で出たのでは
ないのかもしれませんが、
Amazon が売り出したのは、明らかに
ディズニー映画の影響でしょうね(苦笑)

それはともかく、
『不思議の国のアリス・イン・パリ』
原題 Alice of Wonderland in Paris は、
1966年公開のアメリカ映画です。
日本語字幕・吹替え付き。

監督はジーン・ダイチ。
脚本はルドウィッヒ・ベーメルマンスです。

Amazon のおすすめメールで知り、
こんなものがあったのか!
とびっくりさせられ、購入しました。

アメリカ人の少女アリスが
『マドレーヌ』シリーズの絵本を読んで
「現実世界の不思議の国」パリにあこがれていると、
ビジネスマンならぬビジネスマウスのフランソワが
好きなチーズのアンケートを取りにやって来ます。

アリスがチーズに関して
あまりに無知なことを知ったフランソワは、
マドレーヌちゃんに会いたいという
アリスの願いもあって、
パリに連れていくことになりました。

魔法のチーズを食べて小さくなったアリスは、
フランソワの自転車の後ろに乗ってパリに向かう。
何と、アメリカからフランスのパリまで、
ねずみの穴がつながっているという設定(藁

マドレーヌに会いにいく前に
フランソワが、自分のひいおじいさんで
チーズ会社の副社長になった
ねずみのアナトールについて話をしたり、
着いた先でマドレーヌの話をしたり、
アリスはアリスで、不機嫌な王子様の話や、
空の月を求めた王女さまの話をしたりする、
というストーリーです。

フランソワやアリスが話をするたびに
その物語のアニメが流れるというわけで、
要するに短編オムニバスの構成になっているわけです。

個々の話には全て原作があって、
そもそも脚本を担当したベーメルマンスが
マドレーヌ・シリーズの作者ですし、
ねずみのアナトールは、
イブ・タイタスのキャラクター、
(『ねずみのとうさんアナトール』という邦題もあり)
しかめ面の王子はクロケット・ジョンソンの原作。

そして、月を求めた王女さまの話は
ジェイムズ・サーバーの
『たくさんのお月さま』が原作です。

月を求めた王女さまの話は奥が深くて、
ジェイムズ・サーバー原作と知って
腑に落ちたことでした。

サーバーの名前は
早川書房の『異色作家短篇集』とか
角川文庫の『虹をつかむ男』などで
それなりにお馴染だったからです。

自分は観る機会を得ていませんが、
『虹をつかむ男』は映画化されているので、
映画通の人にも知られた名前でしょうか。

『たくさんのお月さま』は1949年以来
何度か翻訳が出ているようですが、
ちっとも知らなかったっす(^^;ゞ

ちなみにイブ・タイタスは
ねずみの国のシャーロック・ホームズこと
ベイジル・シリーズで
ミステリ・ファンには知られた存在(のはずw)。

ベイジルはディズニーが映画化しているそうなので、
そちら方面の通にも知られているのかも。

クロケット・ジョンソンの絵本は
何冊か訳されているようですが、
『不機嫌な王子様』The Frowning Prince
というのは、確認できませんでした。

それはともかく、
1966年のアメリカ製アニメーションなので、
日本のアニメ画に慣れている人には、
素朴すぎて付いていけないかもしれませんが、
ハンナ・バーバラ・アニメーションとか、
日本でいえば『まんが日本昔ばなし』とかの
画風が好きな人は、そこそこ楽しめるかも。

自分はうといのですが、
マドレーヌ・ファンが要チェックなのは
いわずもがなでしょうか(藁

アリス・ファンは……
猫のダイナが字幕ではダイアンになっている
とか、ひっかかるところはあるでしょうが、
まあ、珍品ですので、持っていると
こうしてブログのネタにできて、いいかも(苦笑)