






今度のは1927年、いままでのものと趣が違うものです。
相変わらずEnbergherに似ていると感じます。
ネックからヘッドにかけての作り、胴のふくらみ。指板とブリッジの傾斜
Embergherの5bisの見事なコピーも作っている事から、本当にEmbergherに
心酔していた製作家だったのでしょう。
でも、今回のEgildo、ちょっとGelasぽい所がある。
ペグボタンの形素材がGelasにそっくり、しかもGelas風の皮製の肘当てもある。
(普通Egildoのオリジナルの肘当ては金属製で緒止めと一体になったもの)
Gelasの真似をしたのか、当時の流行なのか、それは分からないが、どうも
Gelasを意識していた感じがする。サウンドホール周りのインレイも省いてい
るのもGelas風だ。ピックガードもシンプルなデザインだ。全体的に現代的な
洒落たデザインという感じ。
Embergherの良い所、Gelasの良い所、良いとこ取りの製作家なのかもしれない。
どこかの国の製作家のようだ。
強烈な個性で、独自の楽器を生み出したCalaceやEmbergher、Gelasとは違うの
かもしれない。
Embergherに似ていると言っても、まったく同じ訳でない。Embergherのように
胴体の内側に薄板を張っていない。外観は似ているものの、この違いは音に随分
と反映しているはずだ。(近いうちに弦を張って音を出して確認したいと思ってい
ます)。力木も傾斜して取り付けられておらず、これも違いの大きな点だ。そうで
す、Embergherはサウンドホールから覗くと、力木が傾斜しているのが判ります。
次のサイトで透視図が出ていますよ。
http://www.iror.it/pubblicazioni/disegni/mandolino_embergher.htm
この他にEmbergherのブリッジは変な形の切れ込みとかあって、なかなか細かい細工
がしてあります。
それでは、Egildoだけが持つ個性的な部分とは何か?
外観からでは判らないが、サウンドホールから覗くと、ちょうどネックの付け根
部分に太く黒い字でラベルと同一のシリアルNoが書かれています。こんな所に
文字が書かれたマンドリンはそうはないでしょう。初期のEgildoにも書かれてい
ましたから、こだわりがあるのでしょう。
ラベルのサインも、印字された自分の名前の上に重ねるようにして書いていて、
ちょっと変わっています。
今回のEgildo残念なことに、リブが大きく剥がれています。これ以外は完璧なのに
惜しい事です。予想より大きく開いているので、手放そうと現時点では考えていま
す。
とりあえず古い弦を取り除き、弦を張り、音は出してみようと思っています。