(再録)内田 樹「コロナ後の世界」(文藝春秋・1500円+税) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2021.10.26既出)

庭に出てオリーブなどの枝を払うつもりが、午前中は少し肌寒く感じて(はじめて遠赤外ストーブをつける)やめる。昼食後も1時間ほど、東 理夫「アメリカは食べる。(アメリカ食文化の謎をめぐる旅)」(作品社・3800円+税)を30頁読んだところで眠くなって、リクライニング・シートで体に毛布をかけて少しだけ昼寝をする。夏の疲れというには遅すぎる気がするが、多忙を極めた4カ月(叔父の遺産相続の手続や家屋の始末などで)の疲れが一遍にやって来ているように思う。一日、予定がまったくないことはいいことかどうか分からない。東 理夫「アメリカは食べる。(アメリカ食文化の謎をめぐる旅)」が大部(700頁を越す)のものであるにしろ遅々として進まなくて、この調子では読了までに1週間以上かかる見込みである。それだけ内容が濃いともいえる(東 理夫のどの著作にもいえるが)が、読書ペースに関してなかなか普段の調子が取り戻せていないのも確かである。

 

本の話である。今日アマゾンから届いたのはいずれも今月の新刊で、内田 樹「コロナ後の世界」(文藝春秋・1500円+税)と武田砂鉄「コンプレックス文化論」(文春文庫・820円+税)の2冊である。内田 樹「コロナ後の世界」は、そのテーマのタイムリーなこともあるが新刊のほとんどを求めている作者のうち、内田 樹は数少なくなった一人でもある。(近年、興味のある著作者のほとんどが亡くなったこともある)もう一人の武田砂鉄は、逆に新たに加わった、そういう意味でいまいちばん興味を持っているコラムニストのひとりである。本書は文庫新刊で、単行本刊行時に買いそびれていての購入である。ふたりとものツイッターはときどき覗いているが、この時代に的確な発言をし続けていると思う。こういう人の意見が当たり前になる政治状況にならないかとはいつも感じることである。

 

内田 樹「コロナ後の世界」 "コロナ・マッチョ"、反知性主義、正常性バイアス、相互監視、医療崩壊、縁故主義、『1984』的ディストピア、後手に回る政治…… 「生きている気」がしなくなる国で―なぜ日本はここまで劣化したのか?

 日本人はどんどん「リアリスト」になり、誠実や正直や公平といった「きれいごと」を鼻先でせせら笑うようになり、そしてまさにそうした道徳的にシニカルな態度ゆえに国際社会において誰からも真摯な敬意を示されることがなくなった。/人間は他者からの敬意を糧として生きる。それを失ったものは「生きている気」がしなくなる。日本人は今そのようにして国力の衰微を味わっているのである。(本文より)

・エビデンスを軽んじて、政治効果を優先させた日本の感染症対策

・知的無能が評価される「イディオクラシー」(愚者支配)とは

・"母子癒着"する日米関係とディストピア化する社会

・カミュ『ペスト』に描かれた危機下における大人の市民像

・「王道」と「覇道」―中国はこれからどうなるのか?

・書物という外部への回路がもつ「コモンの再生」の可能性

                              ……etc.

社会の病毒をえぐり、再生への道筋を示す真の処方箋!

 

武田砂鉄「コンプレックス文化論」 カルチャーの源泉と現在を探る評論 スペシャル対談:ジェーン・スー

 文化はコンプレックスから生まれる!

 コンプレックスが文化を形成してきたのでは―という仮説に立って、これまで熟考されることのなかった「天パ」「背が低い」「下戸」など10のコンプレックスをとりあげ、数々の文献をひも解きながらカルチャーを考察する。劣等感を武器にして作品を生み出してきた表現者たちへのインタビューも収録。

 フラワーカンパニーズ鈴木圭介の「背が低い」、スカート澤部渡の「下戸」、デザイナー安齋肇の「遅刻」、イラストレーター中村佑介の「セーラー服」ほか、コンプレックスを力に変えてきた表現者へのインタビューも収録!

 

 

写真は、貝塚港で撮影する。