私のブログを読んでいると、時々、不安になる方も多いでしょう。「いったい、あの話の結論はどこへ行ったのか?」
ブログですからね。後先の事を考えずに思考をダダ漏れさせているだけですので、まとまりがつかないケースもあるわけです。そうは言っても、あれだけ盛り上げたケリー基準については一度まとめておきたいと思います。覚えていますでしょうか?ケリー基準(あるいはケリーの公式)。
再度、簡単に説明しますと、ギャンブルをする場合、いくら期待値が高くても、全部賭けてしまうと、サイコロの目が逆に来た時に全財産を失ってしまう。一方で、せっかく期待値の高いギャンブルなのに掛け金をケチるのはもったいない。じゃあ、いくら賭けるのが最適か?このギャンブラーにとっての永遠の悩みに対して数学的に答えを出してくれたものです。
最適投資割合=エッジ÷オッズ
うーん。なんて美しい公式だろう。こんな単純な数式でこの悩みを解決してくれるとは・・・。エッジとは期待値の事。オッズとは最大リターンの事。例えば、きれいなお姉さんとじゃんけんやって、勝てば掛け金の2倍もらえ、負ければ掛け金の半分を支払うという、超有利な歳末ギャンブルイベントがあったとします(もちろん、現実にはそんなものは存在しない)。表にすると以下の通り。
この場合、最適投資割合=(エッジ)75%÷(オッズ)200%=37.5%
つまり、「財布に1万円入っていたなら、3750円をこのギャンブルに突っ込め!!」というのが数学的な答えとなるわけです。
(こんな有利なギャンブルでもこの程度しか賭けるべきではない!!感覚的には全部突っ込みそうになるところだが、数学は素晴らしい。)
で、こいつを長期投資に応用しようという話。
1.ケリー基準で長期投資(ベテラン長期投資家向け)
この公式をそのまま使ってみましょう。ピーター・リンチは、年率20~25%程度の成長が期待できる株を3~5年程度保有する前提で投資することを勧めてくれます。この場合、エッジはざっと100~200%となります。
一方、オッズですが、こういう株の中には驚きの10倍高みたいなのが含まれます。実際、私もこのブログで何銘柄か10倍高をとることができました。想像以上に経営者が優秀だったり、ラッキーが続いたりで、年率100%利益成長みたいなのを交えながら、株価をガンガン押し上げることがあるのです。そこで、オッズを10倍=1000%とします。(計算も簡単だしね。オッズ10倍は正確には11倍高のこと。元本を除く、リターン部分が10倍。)
この計算で行くと、最適投資割合=(100%~200%)÷10=(10%~20%)となります。
つまり、ウォーレン・バフェットやピーター・リンチが言うように、5~10銘柄程度に集中投資(1銘柄当たりの投資割合を10~20%)するのが最適と計算できるのです。(多分、彼らはケリー基準を知っている)
2.半分ケリー(自信のない方や打たれ弱い方向け)
ただし、この投資割合は多くの方には心理的に厳しすぎるでしょう。ギャンブルの世界でも、ケリー基準通りだとボラティリティが高すぎて心理的に持たない人が多いそうです。そこで考案されたのが「半分ケリー」。
最適投資割合=エッジ÷オッズ÷2
純粋にさっきのケリー基準の半分を最適投資割合とする考え方です。これも悪くはないですね。
もし、私と同じような投資をするのであれば、10~20銘柄に分散させる(1銘柄当たりの投資割合を5~10%に抑える)。もしくは、投資予定額の半分だけ個別株投資(5~10銘柄)に充て、残り半分を安全資産で運用する。(ここでいう投資予定額は、余裕資金の話。あなたの金融資産全部の話ではないので注意。)
今年の例でいうと、私のポートフォリオも夏ごろには年初と比べて20%以上減少していました。こういうのに耐えられない人向けに半分ケリーは悪くないと思います。私も銘柄に恵まれないときは、半分程度を安全資産で運用し、残りを5~10銘柄に分散して様子見することがあります。この場合、今年のようなことが起こっても、資産は10%しか減少しません。(もっとも、私の場合はこんな風に様子見している年に限って株価がガンガン騰がったりするのだが・・・。)
3.初心者ケリー(初めて本格的な個別株の長期投資に参加される方向け)
おそらく、初心者の方はそもそもの前提である年率20~25%成長株を見つけることもできないし、3~5年の保有もメンタルがやられて続かないでしょう。それでも、長期投資を検討したいという人向けに、私が考えた答えがこれ。
最適投資割合=エッジ(5%)÷オッズ(100%~200%)=(2.5%~5%)
一般的に日本株の長期的なリターンは年率4~5%と言われていますので、エッジを5%と置き、私の経験上、2~3倍高であれば、何かの拍子に初心者でも取れてしまうことがあると想像します。(私も初めて保有した株が3倍高した。)
私は初心者のうちにあまりたくさんの銘柄を保有することをお勧めしません。ウォーレン・バフェットが言うように5~10銘柄くらいが良い勉強になると思います。(多すぎると面倒見切れない。)
1銘柄当たりの保有割合を2.5%~5%とし、5~10銘柄に分散させると、総投資割合は12.5%~50%となります。ただ、50%は高すぎるかな・・・。初心者の方は無理せず、総額の10%~25%くらいを個別銘柄に充て、残りを安全資産やETFなどに分散投資するくらいが、最適解だと思います(初心者ケリーの半分ケリーといったところか)。この程度なら、少々負けても、仕事が手につかなくなることはないでしょう。
4.ただの練習(全くの素人向け)
私の本の中でも書いたのですが、右も左もわからない。PBRとPERの違いも判らない。営業利益と純利益の区別もつかない。そんな全くの素人の方については、初心者ケリーでも賭け過ぎだと思います。とにかく、5銘柄以内程度を100株ずつ買い、実際に投資をしながら、用語を覚えたり、株価の動きに慣れていくのが良いでしょう。
結局のところ、株で全財産を失ってしまった類の残念な話は、賭け過ぎに原因があります。
1~4を参考にしてみてはどうでしょうか?
本日も、参考になりましたら、
クリックの方もよろしくお願い致します。
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