にゃんにゃんにゃん | 壱之宮ねこの嵐大スキブログ

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これは2月22日、2(にゃん)2(にゃん)2(にゃん)で猫の日に書いた小説で、ニノを主人公にした猫小説です。

これはとある映画の主人公をニノに置き換えて書いたものなので、著作権侵害!?

でも、個人的に書いて個人的に楽しむだけなので大丈夫ですよね!?^^;

それでは駄文ではありますが、どうぞお楽しみ下さいm(__)m


【旅するニーノ】

昔々ある音楽一家にそれはそれは可愛らしい子猫が飼われていました。

名前をニーノと言いました。

ニーノを飼っているご主人はピアノの奏者で、ご主人の奏でるピアノの音色を聞きながら育ったニーノは、産まれながらにして音楽の才能に恵まれた、

音楽一家に飼われるべくして飼われた、音楽の申し子のような子猫なのでした。

ご主人の弾く「犬のおまわりさん」や「猫ふんじゃった」や「黒猫のタンゴ」を聴いて跳んだりはねたりするニーノはそれはそれは可愛くて芸達者で、ニーノはご近所さんのアイドルでした。

でもそんなニーノを狙う良からぬ人物がおりました。

「こんなに可愛くて芸達者な子猫は今まで見た事がない。

あいつを俺の物にして、金儲けの道具にしてやろう。」

そいつはご主人の古くからの 知り合いで、同じピアニスト仲間と称して頻繁にご主人の家に通ってくる人物でしたが、ニーノはあまり好きになれなせんでした。
ご主人には人の良さそうな愛想笑いを浮かべているくせに、ニーノを見る目付きは、陰湿で残忍な、まるで獲物を狙う蛇のようで、どうしても好きにはなれなかったのです。
でも気に入らないからと言って、むやみやたらに引っ掻いたりして、ご主人に恥をかかせては大変です。ニーノは自分さえ我慢すればいいんだと言い聞かせて、ただ静観するだけに留めておきました。
でもそんなニーノにつけ込んで、そいつはとんでもない強行手段に出ました。
ヤクザを雇ってご主人に(軽傷ですが)怪我を負わせて無理矢理病院に行かせ、留守にさせた家にしのび込んで、ニーノを拉致しようとしました。
でも常日頃からそいつに警戒していたニーノはムザムザさらわれたりはせず、何とか逃げのびようとして、丁度家の前に停まっていたトラックに窓から飛び移り、誘拐犯の魔の手から難を逃れました。
でもそんなニーノには大変な旅が待ち構えていたのです。

誘拐犯から逃げのび、トラックのトランクに身を潜ませたニーノは頃合を見計らって街路に飛び降りましたが、その場所はニーノが産まれて初めて目にする都会の雑踏のど真ん中でした。
右も左も分からず、心細さにか細い声で鳴いていたニーノに追い討ちをかけるように、折りしも雪まで降ってきて、ニーノは寒さとひもじさと心細さの為に、本当に泣きたくなってしまいました。
「こんな所で路頭に迷ってしまって、僕はこれからいったいどうなってしまうんだろう?」
可哀想なニーノは本当にどうなってしまうんでしょうか?
悪い時に悪い事は重なるもので、道端で寂しそうに凍えているニーノに目を付け、ドイツの暴れん坊ドーベルマンが襲い掛かってきたのです!
間一髪、危機を察知してかわしたニーノでしたが、かわした瞬間転げ落ちて右腕を負傷してしまいました。
ジリジリと間合いを詰めてくるドーベルマンに、後ずさるニーノ。
「僕はこんな所でこんな奴に殺されてしまうんだろうか?いやだ!まだ死にたくない!!」
その時・・・―――!
「逃げろッ・・・!」

その場に現れたのは、毛色の様々な4匹の子猫達でした。
4匹の猫は見事な連携プレーでドーベルマンを退け、危機一髪のニーノを救ったのでした。
ニーノにとって初めての同年代の、しかも同じ猫同士で戸惑いもありましたが、それ以上にもっと同じ仲間の事を知りたいという欲求に駆られました。
4匹の猫達には飼い主がおり、紹介したいからおいでよという誘いにも、ニーノは何の疑いも持たずついて行きました。
4匹の猫の飼い主は貧乏学生でしたが、優秀なピアニストでした。
ご主人と同じピアニストで、その飼い猫達に助けられて、こうして出逢えた事は運命だったのかもしれないと、ニーノは感慨深く思い、4匹の子猫達の主人の事も第2のご主人として、ニーノは慕い敬うのでした。
彼等に出逢ってからというものニーノは今までにないくらいに楽しい時間を過ごしました。今まではご主人とだけでしたが、今はご主人に負けないくらいの優秀なピアニストのこの人がいて、同じ仲間の猫達が4匹もいる。
この人とご主人と、そして4匹の仲間達と一緒にセッション出来たらどんなに楽しいだろう。
ニーノは切実にそう思うのでした。

しかしニーノのそんな楽しい日々は長くは続きませんでした。
ご主人に怪我を負わせ、ニーノを拉致しようとしたあの男は、実はこの貧乏学生のピアニストまでも疎ましく思い、彼を住んでいるアパートから追い出そうとしていたのです。
毎日のようにガラの悪い地上げ屋連中が押しかけ、嫌がらせの数々を仕掛けてきました。それはあまりにも酷く、第2のご主人までも怪我を負わせて、ニーノは固く報復を誓いました。
そしてそれは4匹の猫達にとっても同じで、5匹は力を合わせてにっくき敵を懲らしめる事にしました。
その日も男達はニーノ達の家に押し掛けてきました。
男達への報復の為に爪を研いでいた5匹の子猫達は、ここぞとばかりに容赦なく男達を引っ掻き回し、牙をむき、死なない程度に痛めつけました。
5匹の見事な連携報復の成果で、もう二度と男達はニーノ達の前に現われることはなく、彼等のもとに元通りの平和な日々が戻ってきました。

しかしニーノは思いました。
このままここにいて良いものかと?
僕にはもうひとりの大切なご主人がいる。
あのご主人を置き去りにはできない。
今一度あのご主人の元へ戻り、大切な仲間達の事、第2のご主人の事をきちんと話して、そしてまた必ずここに戻ってくると約束して、ニーノはひとり(1匹?)、粉雪の舞う寒空の下へご主人探しの旅へと向かうのでした。
でも、4匹の仲間達は言いました。
「俺達は仲間だろ?仲間は助け合うものだぜ?」
そうニーノに協力を申し出て、5匹で旅立つのでした。

ご主人探しの旅は楽なものではありませんでした。
でも5匹で励ましあって旅を続けるうちに、ますます彼等の絆は深まりました。
もう何度諦めかけたか分からなくなった頃、辺りはクリスマスの装飾に彩られておりました。
そしてそれはイブの夜でした。
どこからか聞き覚えのあるピアノの音色がニーノの耳に届き・・・―――
ニーノは駆け出していました。
そこはどこかの劇場ホールでした。
何度聴いたか知れない懐かしい音色・・・僕は決して間違えたりしない!
これは、間違いなくご主人のピアノの音色だ・・・―――!
ニーノはホールの非常口の前に立ち停まり、ピアノの演奏が終わるのを待って、そしてなりふり構わずご主人の胸元へと飛びついて行くのでした。
「お前ッ・・・・ニーノ!?・・・・ニーノじゃないか!!」
ひしと抱き締められたニーノは、懐かしいご主人の胸に甘えて泣きじゃくるのでした。
「良かったな、ニーノ・・・。さよなら」
4匹の仲間達はニーノにさよならを告げて去って行きました。
「みんな・・・本当にありがとう・・・。約束は必ず果たすよ・・・また逢おう?」
ニーノは第2のご主人に、そして4匹の仲間達に心から誓うのでした。

【おわり】