【東京例会】沖 東京例会 9月 特選句 | 航海日誌

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創刊50周年「沖俳句会」公式ブログです。
主宰 能村研三 創刊主宰 能村登四郎

 

沖 東京例会 9月

月見

紙上句会

特選句

 

能村研三選

【特選】

 さやけしや楷書のごとき侘まひ     菅原 健一

 

【評】世の中で一線を退いた人はほとんどが派手な生活を嫌い、慎ましやかな生活を送る。地味で楷書のこどき暮らしの中で生きていくことがベストなのである。「さやけし」という季語にこの人の心映えが感じられる。

 

【準特選】

五百羅漢寄れば五百の秋の声      伊藤よし江

 

【評】五百羅漢は日本各地にあるようだが、川越喜多院にあるものが有名である。石を刻んだ五百羅漢の表情には普段人間が暮らす様々な機微が表現されている。秋の夜五百羅漢はどんな語らいをしているのだろうか。

 

森岡正作選

 

【特選】

茸飯匂ひ先立て炊き上る       宮坂 恒子

 

【評】冬は鍋物であるが、春や秋は炊き込みご飯である。秋の代表的なものは栗や茸である。炊き込みご飯の匂いは良いもので、食事を待つ者にとっては、「ああ、今日は茸飯だ」とわかる。掲句の場合は炊いている人の作であろう。「匂ひ先立て」が上手い。

 

【準特選】

石蹴つて一人遊ぶ子鳳仙花       福島  茂

 

【評】今は、夕方に子供達が数人集まって遊んでいるという景を見たことがない。たまたま一人の子が所在なげに石を蹴って遊んでいる感じである。「鳳仙花」という季語が郷愁を誘い、作者の子供時代とも重なっているように思える。