【沖 東京例会】2月 東京例会 特選句 | 航海日誌

航海日誌

創刊50周年「沖俳句会」公式ブログです。
主宰 能村研三 創刊主宰 能村登四郎

 

 

≪「沖」東京例会 紙上句会 2月 特選句≫

 

 

 

能村研三選

【特選】

まんさくが咲いて百戸の動き出す  浜田 はるみ

 (評) 百戸が住む小さな過疎の集落であろうか。

まんさくぱ春一番に咲くというので「まず咲く」が訛って

マンサクになったと言われる。

地味だが、早春の象徴的な花である。

これまで雪に閉ざされていたかも知れないが、

いよいよ百戸の集落も春の訪れとともに動き出した。

 

【準特選】

耳標てふ籍得し仔牛辛夷寒  加賀 荘介

 (評)下五の「辛夷寒」の季語の斡旋がよい。

東北あたりのローカルな雰囲気のある句である。

産まれたばかりの仔牛だが、耳に標が付けられ籍が付けられ。

 

森岡正作選

【特選】    

亀甲に田の罅割れて寒明くる  大橋 松枝

 (評)米作りをする人の作であれば誠に実感的、

散策中に見た景であれば実に見事な写生である。

寒旱が続くと田の地面にひび割れが生じてくる。

言わば亀裂で、まさに亀の甲羅の紋様のようであるが、

それを「亀甲に田の罅割れて」と捉えた。

寒が明けるとそろそろ田起こしが始まるのである。

 

【準特選】

啓蟄や庭師の五指の皆黒く  頓所 友枝

 (評)啓蟄の頃は剪定作業などでよく庭師を見かける。

実際に庭師にお願いして作業を見つめていたのであろうか。

一休みの時にお茶を出したのだが、その差し出した手の指が

みな黒かったのである。それは職人としての染みついた色で、

貫禄の証である。