[答1859] 正三角形内三角形


 1辺が 23 の 正三角形ABCがあって、辺AB上に AP=1 を満たす点Pをとり、

 辺BC上に点Q,辺CA上に点Rを △PQRの周囲の長さが最小になるようにとります。
1859-周囲が最短の三角形0
 このとき、△PQRの周囲の長さは 1辺が1の正三角形の周囲の長さの何倍?

 また、△PQRの面積は 1辺が1の正三角形の面積の何倍?


[解答1]

 一般化し、AP=a ,PB=b とします。

 また、BCに関してPと対称な点をM ,ACに関してPと対称な点をN とすれば、

 PQ+QR+RP=MQ+QR+RN だから、これが最小になるのは、図の赤で示すように、

 Q,Rが線分MN上にあるとき PQ+QR+RP は最小で、PQ+QR+RP=MN です。

 α=cos60゚+i・sin60゚ とすれば、αの共役複素数は 1/α=cos60゚-i・sin60゚=1-α です。

 複素数平面上で B(0),A(23α),C(23) とおけば、

 P(22α),M(22(1-α)),N(23α+1) になり、MN上の点の座標は 実数tを用いて、

 (1-t)・22(1-α)+t・(23α+1)=(22-21t)+(45t-22)α と表されます。

 Qの座標は実数ですので、t=22/45 、Q(176/15) になり、

 Rの座標は 実数kを用いて、23α+k(1-α)=k+(23-k)α と表されるので、

 k=22-21t ,23-k=45t-22 、23=24t 、t=23/24 、R(15/8+169α/8) です。

 MN/3=|(23α+1)-22(1-α)|/3=|45α-21|/3=|15α-7| 、

 |15α-7|2=(15α-7)(15/α-7)=225-105(α+1/α)+49=225-105+49=169 、

 MN/3=|15α-7|=13 です。

 次に、有効線分PQに対応する複素数は、176/15-22α ,

 有効線分PRに対応する複素数は、15/8+169α/8-22α=15/8-7α/8 だから、

 PQ,PR でできる三角形の面積△PQRは、1,αでできる三角形(1辺が1の正三角形)の面積の

 |(176/15)(-7/8)-(-22)(15/8)|=|-176・7+22・15・15|/(15・8)=1859/60 倍です。


[解答2]

 一般化し、AP=a ,PB=b とすれば、正三角形ABCの1辺は a+b です。

 BCに関してAと対称な点をA',A'Cに関してBと対称な点をB' とし、

 ABの延長とB'A'の延長の交点をO とします。
  1859-周囲が最短の三角形2
 また、BCに関してRと対称な点をR',A'B'上で A'P'=AP を満たす点をP' とすれば、

 PQ+QR+RP=PQ+QR'+R'P' ですので、これが最小になるのは、図の赤で示すように、

 QはPP'とBCの、R'はPP'とA'Cの交点とすればよく、この場合、PQ+QR+RP=PP' です。

 余弦定理より、

 PP'2=OP2+OP'2-2OP・OP'cos60゚=(a+2b)2+(2a+b)2-(a+2b)(2a+b)=3(a2+ab+b2) 、

 PP'/3=√{(a2+ab+b2)/3} です。

 次に、△PBQ∽△POP' より、PB:PO=BQ:OP' 、BQ=PB・OP'/PO=b(2a+b)/(a+2b) 、

 CQ=BC-BQ=a+b-b(2a+b)/(a+2b)=(a2+ab+b2)/(a+2b) 、

 △P'AR'∽△P'OP より、P'A:P'O=AR':OP 、AR=AR'=P'A・OP/P'O=a(a+2b)/(2a+b) 、

 CR=AC-CQ=a+b-a(a+2b)/(2a+b)=(a2+ab+b2)/(2a+b) です。

 1辺が1の正三角形の面積をSとすれば、

 △PQR/S=△ABC/S-△APR/S-△BQP/S-△CRQ/S=AB・AC-AP・AR-BP・BQ-CQ・CR

  =(a+b)2-a2(a+2b)/(2a+b)-b2(2a+b)/(a+2b)-(a2+ab+b2)2/{(a+2b)(2a+b)}

  ={(a+b)2(a+2b)(2a+b)-a2(a+2b)2-b2(2a+b)2-(a2+ab+b2)2}/{(a+2b)(2a+b)}

  =3ab(a2+ab+b2)/{(a+2b)(2a+b)} です。

 本問は a=1 ,b=22 の場合ですので、a2+ab+b2=507 ,2a+b=24 ,a+2b=45 で、

 (PQ+QR+RP)/3=√{(a2+ab+b2)/3}=√(507/3)=√169=13 であり、

 △PQR/S=3ab(a2+ab+b2)/{(a+2b)(2a+b)}=3・1・22・507/(24・45)=1859/60 です。


[解答3]

 一般化し、AP=a ,PB=b とします。

 また、BCに関してPと対称な点をM ,ACに関してPと対称な点をN とすれば、

 PQ+QR+RP=MQ+QR+RN だから、これが最小になるのは、図の赤で示すように、

 Q,Rが線分MN上にあるとき PQ+QR+RP は最小で、PQ+QR+RP=MN です。
  1859-周囲が最短の三角形3
 PMの中点をK ,PNの中点をL とします。

 次に、△APN,△BPM は頂角が120゚の二等辺三角形で、等辺は a,b ですので、

 PN=a√3 ,PM=b√3 であり、四角形PKCLにおいて、∠PKC=90゚,∠KCL=60゚,∠CLP=90゚

 より、∠KPL=120゚ 、∠MPN=120゚ 、余弦定理より、

 MN2=PN2+PM2-2PN・PMcos120゚=(a√3)2+(b√3)2+(a√3)(b√3)=3(a2+ab+b2) 、

 MN=√{3(a2+ab+b2)} 、MN/3=√{(a2+ab+b2)/3} です。

 次に、ABに関してCと対称な点をOとすれば、

 △NAR∽△NOM より、NA:NO=RN:MN 、RN=NA・MN/NO=aMN/(2a+b) 、

 △MQB∽△MNO より、MB:MO=MQ:MN 、MQ=MB・MN/MO=bMN/(a+2b) 、

 △PMN=(1/2)PN・PMsin120゚=(1/2)(a√3)(b√3)sin120゚=(3ab√3)/4 であり、

 △PQR=(RQ/MN)△PMN={(MN-RN-MQ)/MN}△PMN={(MN-RN-MQ)/MN}(3ab√3)/4 、

 1辺が1の正三角形の面積をSとすれば、S=(√3)/4 だから、

 △PQR/S=3ab(MN-RN-MQ)/MN=3ab{MN-aMN/(2a+b)-bMN/(a+2b)}/MN

  =3ab{1-a/(2a+b)-b/(a+2b)}=3ab(a2+ab+b2)/{(a+2b)(2a+b)}

  =abMN2/{(a+2b)(2a+b)} です。

 本問は a=1 ,b=22 の場合ですので、MN=√{3(12+1・22+222)}=√(3・507)=39 、

 MN/3=13 、△PQR/S=1・22・(1-1/24-22/45)=22・392/(24・45)=1859/60 です。

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