ネジは規格通りでしっかり嵌らないと必要とされないで捨てられます。規格住宅と云うのがありますね。あらかじめ何種類かの標準の型を定めて、大量に生産、供給される住宅を云います。戦後この手の住宅が大量生産されました。最近は、大手の建設会社も手を替え品を替えて、外観を個性的に変えながら売り出しています。しかし、根本のところは規格住宅の範疇に入るのではないでしょうか?(間違っていれば謝ります)

 俳優の世界でもこれに似た現象が見られるような気がします。規格品俳優、何にでも適応して無難に役をこなして行く。やはり、必要とされる俳優なのでしょうね。私がとやかく云う筋合いのものではないし、その資格もありませんが。しかしながら、この規格品俳優になりたがる若者が何と多いことか。大手の劇団も、プロダクションも、テレビ界も映画界も演劇界も実はこの手の俳優を大勢抱えて、イベント、作品を無難にこなしているのが現状ではないでしょうか?

私は敢えてこんな規格品俳優ではなく、魅力があり、研ぎ澄まされた感覚をもって、体制に対して秘めたキバを持っている、精悍な「はみ出し屋」俳優はいないものかと期待しています。

 横浜丘の手ミュージカルスタジオの講師である藤原大輔君が、坊っちゃん劇場のミュージカル「52days」に出演が決まりました。芝居は夏目漱石と正岡子規が共に松山で過ごした52日間を、ミュージカルに仕立てたコミカルな作品だと聞いています。彼は主役の夏目漱石を演じることになっている。果たして型通りの芝居をするか、「はみ出し屋」の演技をして注目されるか、どうなりますか。彼は「エクウス」のアラン役、「ユタと不思議な仲間たち」のユタ役・・・等々。元劇団四季で主役を長年演じてきた役者です。彼の新たなる第一歩を心から応援したい!型通りの芝居をやることなく、どんどん「はみ出し」て自分の新境地を開拓しながら、今の演劇界に新風を巻き起こすくらいのパンションを見せて欲しい。つまるところ、そのことが坊っちゃん劇場、地元(彼は松山出身)松山にも貢献することになるのではないだろうか・・・・。

 今、NHKの朝ドラ「べっぴんさん」で一人、ドラマを締めている役者がいる。 市村正親さんである。彼も劇団四季に入ったころから、「はみ出し」ていた。「ジーザスクライスト・スーパースター」のヘロデ役、「エクウス」のアラン役、「オペラ座の怪人」の怪人役・・・等々。センセーショナルな彼の登場は、当時の演劇界を席巻したと云っても過言ではない。

今の若い人たちに云いたい。規格品俳優になるな!もっと「はみ出し」て、自分だけしか持っていない、強烈な光を放って欲しい。だってノーベル賞をもらう大先生方なども典型的な「はみ出し屋」の良い見本ではないか。

藤原大輔君、頑張れ!前を向いて逞しく進め!そしてもっとはみ出せ!