怖いよ怖いよ、家族が増えてる | ヨメトメ戦記

ヨメトメ戦記

2014年10月アルツと診断されて以来、独居を貫いたシュートメと、トメ嫌いな鬼嫁の毒吐き記録。約10年踏ん張ったが、2023年12月頃から急激に進行、ついに2024年6月認知症専門病棟に医療保護入院となる(現在入院中)

定期通院日だった。

トメは久しぶりのテスト(心理検査)に苦戦したのか、

終了後「ちょっと横になるワ」と、待合室の長椅子にゴロン。

あまり人前でそういうことをしない人だったのに、

自分のバッグを枕にして、躊躇なく寝そべってしまったのは意外だった。

よほど疲れたのだろうか・・。

テストが終わった後は、院内食堂でのランチを挟んで2科の診察。

決して混雑してはいなかったのだが、やたら待ち時間が長かった。

トメも、付き添う私も、もうへとへとである。

 

トメを送り届けたら、もう夕方になっていた。

帰路、買ってきた食材をしまいながら、ささっと台所を片付ける。

あまり時間をかけてガサゴソやっていると、たいてい

「なにやってんだ」「それは自分でやっがら!」と不機嫌スイッチが入って

メンドクサイことになるから、トメの目がない間に素早くやらねばならない。

 

相変わらず、あっちこっちに「もう食べられないもの」が点在していた。

レンジの中と、冷蔵庫の中と、戸棚にはカピカピに乾いたごはん入り茶碗。

もはや干し雑穀状態。

キッチンのシンク脇と、テーブルの上には、食べかけの缶詰。

サバ缶が泡を吹いて猛烈なにおいを放っている。

やれやれ・・。

ぶつぶつ言いながらポイポイ捨てていたら、そこにトメ参上。

台所に入ってきたトメと目が合った時、思わず

「あっちこっちにご飯が残ってたよ! なるべく1か所に置くようにしてね」

と釘をさすような物言いをしてしまった。

それがスイッチになってしまったのだろうか、ここからまさかの展開が待っていた。

 

「ご飯? あぁ、それは子どもに出してやったんダ」

子ども?? 夫のことか?? 

あ、もしかしたら、近所にいる親戚んチの子どものことかな、と思いきや。

「息子がたまーに、子ども連れてくるんだワ」

へ?? 息子って、私のダンナだよね? 子どもなんていないけど。

「いるんだよ、子ども。ワダシ、知ってんの」

ヨメは知らないぞと思いつつ、話の続きが聞きたくてたまらない。

男の子なのか、女の子なのか。何歳くらいなのか。名前も知りたい。

「男の子だよ。何歳だっけがなあ。名前は忘れた。

うちさ来たら、いつも2階で寝てんだ」

なんだか具体的すぎて怖い・・・。

 

小さな子どもを連れて息子がたまに実家にやってくるって、

これは妄想? それとも願望か?

孫を見せてやれなかったヨメとしては

「うちに子どもなんていないでしょ!」と強く否定できなかった。

かといって申し訳なさやうしろめたさみたいなものも、皆無なんだけどね。

 

長時間の通院で、よほど疲れたのだろうか。

疲れすぎて変になっちゃったのか?

興味津々ではあったけど、これ以上、話を聞き続けるのも良くない気がして

掃除のふりをしながら、さりげなくその場を離れたヨメである。

 

妄想といえば、今も時々だけど💩が登場する。

「茶の間のテーブルに💩が置いてあった」という訴えだ。

もちろん現実としてホントに💩が置かれているわけではないし、

幻視とも違う気がする。

おそらく、過去の嫌な記憶の「何か」が「💩」にすり替わったんだろう。

 

ニンチさんの世界には、不思議がいっぱいだ。

その不思議をおもしろがることができるうちは、まだ私も大丈夫かな。