ども、特殊能力を持つ岡田達也です。

 

 

 

 

 

10日ほど前

 

うがいをしているとき、歯茎が染みた。

 

 

……おや?

 

……まさかな

 

 

4日前

 

何もしていないのに歯茎に痛みが走った。

 

 

……おいおい

 

……勘弁してくれよ

 

 

仮に、仮に、だ

 

最悪、私がこの世の中で最も嫌う虫歯だったとしよう

 

でも、24日から東京に行ってしまうスケジュールなんで

 

治療できないんですけど……

 

 

一体どうすりゃいんですか?

 

 

一昨日

 

ダメ元で、かかりつけの歯医者さんに駆け込んでみた。

 

 

「残念ですがーー」

 

「えぇ」

 

「虫歯になってます」

 

 

なんで?

 

なんで?

 

歯磨きは丁寧にしていますよ

 

それではダメですか?

 

それでは足りませんか?

 

 

まぁ、そりゃそうですよね

 

マスクしていてもコロナに感染しますもんね

 

 

予防・用心は大切だけど

 

それでもダメなときはダメなんですよね

 

 

じゃ、百歩譲って虫歯を受け入れるとして

 

もう少し早く悪くなってくれていれば

 

完全に治療してから東京に行けたのに……

 

 

僕は

 

久しぶりに

 

念じながら話をしてみた。

 

 

「そうですか、虫歯でしたか」

 

「はい。治療されますか?」

 

「したいのは山々なんですけど、週末から鳥取を離れるんです」

 

「どれくらいですか?」

 

「2ヶ月です」

 

「あぁ~、2ヶ月ですか」

 

 

担当の先生は困った表情を浮かべた。

 

 

「お仕事ですか?」

 

「もちろんです。今の時期、2ヶ月も観光してられません」

 

「そうですね」

 

「えぇ。仕方ないので東京で治療します」

 

「はぁ」

 

 

ここが、勝負どころだ

 

 

「芝居の稽古中って、しゃべりにくくなるので、本当は口の中をいじりたくないんですよね」

 

「……」

 

「早く気付けば良かったんですけど」

 

「……」

 

「こちらで治療してもらえたら良かったんですけど」

 

「……」

 

「自業自得です」

 

「……」

 

「わかりました!」

 

「?」

 

「今すぐ治しましょう!」

 

 

世の中には“泣き脅し”という言葉がある。

 

 

「本当ですかっ?!」

 

「えぇ。とにかく神経を抜いてしまって、強めの薬を入れて、なんとか2ヶ月持つようにしておきましょう」

 

「ありがとうございますっ!」

 

「その代わり、最悪の場合は東京で歯医者さんに行ってくださいね」

 

「もちろんです!」

 

「今からやります」

 

「ありがとうございますっ!」

 

「東京に行くまでにもう一度来られますか?」

 

「でも、予約でいっぱいなんじゃないですか?」

 

「……何とかしましょう」

 

 

 *

 

 

稽古・本番中に歯の治療というのは

 

極力避けたいというのは本音なので

 

ついつい

 

舞台上で培った「二つ目の声」という特殊能力を大解放してしまったけど

 

良い子のみんなはけっしてマネしてはいけません。

 

これは、特殊な訓練を受けた人だけが使える力なのです。

 

 

 

先生、ありがとうございました。

 

本当に助かりました。

 

この後、伺いますね。

 

 

みなさんもよくご存じでしょうけど

 

虫歯ってね、恐ろしく憂鬱になりますから

 

世の中を恨みたくなりますから

 

歯のお手入れはしておきましょうね。

 

 

これでも人生3本目の虫歯だから

 

まだ少ない方だと思うんだけど……

 

 

 

 

 

では、また。