ども、久し振りにリュックを背負ったら腰が痛くなった岡田達也です。
情けない……
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先日、三谷幸喜さんのことを書いた。
レギュラー番組を取って、それをわざわざキャラメルボックスの事務所に自慢しに来た話。
あれもかなり面白かったが、あと二つ、忘れられないエピソードがある。
良い機会なので書き残しておきたい。
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いつだったかも忘れた。
ずいぶん昔の話だ。
キャラメルボックスでは定期的に反省会が行われる。
劇団員全員が集まって「あ~でもない、こ~でもない」とやるのだが……。
あるとき。
反省会をやろうと劇団員が稽古場に集まって車座になっている中に、三谷さんの姿があった。
何食わぬ顔で混ざって正座していた。
いや……
本人は「何食わぬ顔」を装っていたが、完全に浮いていた。
なぜ?
なぜここに?
あなたがいるのですか?
もう、それだけで可笑しい。
多分だけど。
いつものごとく事務所に遊びに来たときに、偶然、反省会が行われるというのを聞いて、ちょっと顔を出してみようと思ったんだろう。
稽古場に入ってきた加藤社長が驚いて訊いた。
「三谷さん!どうしているんですか?」
「反省会があると聞いたので、僕も反省しようと思って」
一同、爆笑。
反省するのは私たちであって、あなたじゃない。
加藤社長も調子がいい。
ならばと続けた。
「今日の議題の一つが、「券売が千穐楽に偏ってしまうことを、なんとか防ぐ方法はないものか?」なんですけど。何かアイディアはありますか?」
三谷さんは腕を組んで考え込んだ。
とても真剣な表情で。
あっ
やっぱりこういうときは真面目になるんだ
ちょっと三谷さんのこと誤解してたかも
僕は反省した。
そして数秒後……
「いっそのこと、千穐楽がいつなのかわからなくしてしまえば良いんじゃないですか?」
一同、爆笑。
社長
「どうやって?」
三谷さんは答える。
真剣な表情で、ニコリともせず、真面目なトーンで。
「お客さんへの告知は初日だけなんです。チラシにも初日しか書いてないんです。いつ終わるか誰にもわからない公演にするんです。そうすれば千穐楽のチケットを買おうにも、いつが千穐楽なのかわからないから買えません。こいつは大変ですよ。」
一同、爆笑。
勘弁してほしい。
この人、面白すぎる。
「ありがとうございます。じゃ、三谷さん、そろそろ反省会を始めたいので……」
「あ、スミマセン。どうも、お邪魔しました」
そういって大きな体を丸めて帰る姿にまた爆笑。
……あの人、ユーモアの塊だなぁ。
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いつだったかも忘れた。
ずいぶん昔の話だ。
でも、インパクトが強くて中身だけは忘れられない。
もう一つの話はまたの機会に。
では、また。