ども、背筋が凍った岡田達也です。






通し稽古の話ではない。


いや、もちろんとてつもなく緊張はした。

が、始まってしまえば徐々に緊張はほどけ

油が回っていくのが分かった。


大丈夫だ。

この芝居は面白くなる。




通しが始まる直前のこと。


振り付けの川崎悦子先生

(自称・世界の川崎、口癖は「私は天才!」)

が通し稽古にやってきた。


ダンスの修正などを終えた後

先生が話しかけてきた。


「おかだくん、おかだくん。

あのね、この間、新感線の顔合わせに行ってきたの!」


「ああ、もうすぐ始まるんですね」


「うん。

それでね上川くんがね……」


「あれ?

上川さんも出演するんでしたっけ?」


「そうよ。

でね、ビックリしたんだけど

「先生、キャラメルボックスで(いっぱい)踊らせてるらしいじゃないですか」

って言ってきたんだよね」


ちょっとイヤな予感はした。


「で、

「そんなことないよ、普通だよ」

って答えたら

「1回目のダンスの稽古でキレたらしいですね?」

って言ったの!

もう、ビックリしてね(笑)

「なんでそんなこと知ってるの!」

って訊いたら

「岡田達也が言ってましたよ」

って言ってたわよ(笑)」


「……」


「だから

「あれはキレたんじゃなくて絶望したの」

って言っておいた(笑)」




あ、あかん。


やはりこの日記は

たかやん先輩にロック・オンされている。


だって

ダンス稽古の初日に

いくら川崎先生を絶望させたとしても

「上川さん、聞いてくださいよ!

今日ね、稽古でね、こんな事があってね……」

などと電話で弱音を語って聞かせる間柄ではない。

ましてや

絵文字や顔文字満載のメールを打って

本日あった出来事を交換するような関係でもない。

それはもはや恋人以外の何者でもない。


ヤツは

(ああ……、また失礼な呼び方をしてしまった。

そんな風に呼びたいなんて微塵も思っていないのに)

この日記すら

貴重な情報源として

右側のこめかみに埋め込まれているマイクロ・チップに記録しているようだ。



気を付けなければ。


まだまだ生きてゆかねばならないのだ。

やり残したことはごまんとあるのだ。

迂闊なことを書いて消されるわけにはいかない。



なんて書いておいて

『さよならノーチラス号』の初日の舞台

勇也の役が僕じゃなくてたかやん先輩がやってたらどうしよう……。



寒!






では、また。






『さよならノーチラス号』 音声ブログ

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