観てきました。
役所広司がカンヌ映画祭で主演男優賞に輝いた作品。
あ、脚本賞もね!
主演男優賞を取った話題性もあるのでしょうが、
それにも増して
「トイレの清掃員として働く中年独身男」というキャラ設定に興味津々…という観客も多いのかな、
座席を埋め尽くしてるのは、ほぼ中高年です。
そして、なぜか男女カップルの割合がメチャクチャ高い!
独り者の中高年にはこの設定はリアルに刺激が強すぎるのかしら?まさかね(笑)
夫婦・カップルは「僕たちは、ああはなりたくないよね。ならないよね。」って互いの確認を求めて観に来たりして?
おっと!それは私には関係ないことでした
ストーリーらしいストーリーがない分役所広司の演技力が際立ちます
こりゃ確かに主演男優賞だわ!さすが役所広司!
物語に起伏がないから「なんだかよくわからない」という感想を持つ人もいるようで、
出口で並んだオバちゃん二人組から
「よくわからなかったけど、音楽がよかったわね」って感想が聞こえてきました。
音楽もね、いいんです。
あ、「カセット」ご存知ですか?大昔(笑)の音楽録音?再生?機器です(合ってる?)
私は、この映画を見て「あ。これって私!」って思ったんですね。
仕事こそ違いますが、生活にルーティンがあるのが同じで
おそらくこの主人公とは感性も同じ。気が合うかも
○○時に起きて、新聞読んで、朝ごはん食べて身づくろいをして
(曜日ごとに違うけど)○○時に出かけて帰宅して、
お風呂に入って夕飯の支度して、FM聴くかユーチューブ見ながらご飯食べて、
休みの前はお酒も飲んで、読書しながら寝てしまう…がっつり独りルーティン(笑)
一緒じゃん!
あ、こんな生活愉しそうじゃない?
いえいえ 愉しんでるんですよ(笑)
ルーティンで暮らしていても
全く同じ日って絶対にありえない。
映画でも描かれていたように
ほんの小さな事でもなにかしら変化がある。
その小さな変化を捕えることが出来るか、
見過ごして時間を流すだけの日々になるのか、
その違いは各々が自分がチョイスしてるんです。無意識にかな。
何をチョイスするかで「住む世界が」違ってくる。
違う世界の人と一緒に住むにはねえ。中々気苦労も絶えません。経験談ね(笑)
好きとか嫌いとか、愛してる愛してないとか、夫婦だから、親子・兄弟だからなんてそれはまた別の話。
好きでも「違う世界の人」だなって感じること、ありません?
嫌いじゃないし、愛情だって持てるのに、なんか相容れない感じ。
好きで且つ「同じ世界に住む人」と巡り合えるなんて確率は
きっと宝くじに当たるほどラッキーなことで
そんなラッキーに出あえたなら、その幸運にめいっぱい感謝して人生を楽しみつくしてください!
でもそんな相手がいないから不幸かと言えば、そうでもないと思うんですよ。
この主人公を見て「不幸だ」と思う人は
私に言わせれば「どこを見てるの?」って聞いてみたくなるけど、
それこそが「互いに違う世界に住む」住人で、深入りしない方がお互い幸せね。
この主人公は独り暮らしだけど、独りぼっちじゃなくて
自分を取り囲むモノたちと適度な間合いを測りながら、
そして時折その間合いを超えて入りこんでくる者達にたいしても温かい。
精神的に豊かな暮らしをしているように見えましたよ。私には。
イコール、同じような暮らしをしている私も幸せってことになるんです。
いや、したいんです。そういう結論に持っていきたかった!
ちょっと強引だったかしらね(笑)
冗談はさておき…
この映画は年末の29日に観にいく予定だったんですが、
なんやかんやで5日になりました。でもね、5日で良かったと思ってます。
何の変りもない淡々と続く日常がいかに幸せな事か…
今年のお正月を経験したからこそ
自分の幸せを強く感じています。
健康で穏やかで、身近にある小さな幸せを大切にして
今年も過ごしていければ、それが何よりだと思います。
生きとし生ける全ての人たちに
そんな穏やかな時間が一刻も早く訪れますように。