スーパー洋子、いよいよ実力発揮です。
※コートによって、ライト、レフトが変わり、紛らわしいので、洋子から見て左を「東側」右を「西側」と記述します。
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スーパー洋子・全日本男子バレーボール戦②
「洋子の実力披露」

 

※中央揃えを直せません。すみません。

ここは、試合が行われる「東京小体育館」である。
観客は1500人入る。
ディレクターの小池と助手の遠藤は、本社の方の調整卓にいた。
遠藤「視聴率5%です。」
小池「あれだけ宣伝したけど、合成じゃないかと思われているんだよ。」
遠藤「くやしいですねえ。全部本当なのに。」

ここは、会場の東京小体育館。
中央に派手なユニホームを着た約30人の三栄社員と「洋子ちゃん、がんばれ!」の横断幕。

全日本の監督、コーチ陣は、洋子の実力をほとんど信じず、
自分達の事務所にいた。テレビさえつけていなかった。
会場の客は、若者が多い。
あのCMの洋子の実力が、本当かどうか、それだけを見に来ていた。
10人のうち、9人は信じていなかった。
しかし、入場料を200円とタダ同然と安くしたため、
体育館は、満席である。

テレビ局が付いているので、放送用のカメラが4台。
そして、アナウンサーと解説者・村井修三が来ていた。
体育館の天井に4つの巨大スクリーンが設置されている。
テレビの映像がモニターできるようになっている。

コートでは、選手たちが、ウォームアップをしていた。
みんな195cmほどの身長である。
その選手たちがスパイクとレシーブを二人組でやっている。
軽くやっているのだろうが、そのスパイクの威力が半端ではない。

洋子は、おかっぱの髪を左右ゴムで結んで、のんびりと柔軟体操をしていた。
子供が一人舞い込んでいる様である。
「ねえ、見てるだけで、向うの選手怖くない?」
「あんな人達と倉田さんって人戦うの。」
「絶対無理。テレビ局が、そんな無謀なことしないよ。
 多分、シャレ落ちじゃないかな。」

方々で同じような会話がなされていた。
それは、三栄出版でも同じである。
「あんな人達と戦うなんて、洋子ちゃん可哀相。」と百合子。
「ああ、断るべきだったかな。」と社長。
「それは、見てから考えましょうよ。」と理性的な坂田が言った。

局も、洋子が絶対に負けると思っていたので、
大大的な宣伝の割には、1時間番組だった。
そして、早く終わる場合を考えて、過去の全日本の映像を用意していた。

アナ「ええ、正式な試合では、25点、3セット先取です」が、戦う倉田選手は、何分素人ですから、15点まで の試合として、10点差がついたら、そこで終了とし  ます。いずれにしても、1セットで終わりです。
   相手は、全日本男子です。
   解説の村井さん、どうご覧になっていますか。」
村井「心配ですね。倉田洋子さんは、高校のとき1度男子バレーとやっただけです。全くの無名の人が、全日本 たった一人で対抗するなど、無茶でしょうね。しか し、緑川高校出身の大蔵さん、鳥居さん、高井さんの三人は、絶対倉田さんが世界1だと言っているんですね。日本1ではなく、世界1とまで言っているんです。」

やがて、審判が登場した。

テレビの視聴率は、9%になった。
小池「おお、宣伝の効果、ありだったな。」
遠藤「楽しみですね。」

サーブ決めがあった。
審判が台の上にあがり、いよいよ試合開始。
ボールは全日本側である。

『みんなが心配しているから、一発安心してもらおうかな。』洋子は、そうつぶやき、頭の中でパワーを上げた。
最強の相手と戦うモードである。

洋子は、下唇を突き出し、前髪をふーと息で飛ばした。

笛が鳴った。
洋子の実力は、初めの1本でわかる。

会場は、静まり返っていた。
太田という後衛が、ボールを持って構えた。
太田は、洋子をめがけ、全力のドライブサーブを出そうと思っていた。
洋子は、コートのやや後方で構えていた。
いよいよだ。
太田は、助走をつけながら、
ボールをトスし高いジャンプをして、ズバーンとものすごいボールを放った。
手加減などしていない。
「ひーー。」と思わず、手で顔を覆った女性もいた。

全日本太田のドライブサーブは、4年前の高井の比ではない。うなりを上げて、構える洋子にギューンと向かって来た。洋子は、脚を広げ、その剛球をアンダーでがっちり受け止め、ライナー性のボールで、ネットに向かって返した。

会場中が驚いたのは次である。
洋子が、ボールと同じスピードでネットに走る。
「ネットボールを拾うつもりか。」セッターの石井は、そう思った。
ところが、洋子は、ネット1mの手前でボールに追いつき、
ボールを拳で、ぽんと上にトスした。
そのトスが、10m高くあがる。
洋子は、4、5歩下がり、そこから助走をつけて、
高さ7mに至るジャンプをした。

7mとは高い。ビルの3階から見下ろす高さだ。
全日本の選手は皆、天井を仰ぐように、洋子を見上げた。
洋子は、その高さから、体をエビに反り、ズバーンと
大砲のようなスパイクを、空いている床に叩き付けた。
誰も、1歩も反応できなかった。

1-0

会場は、わああああああああっと、総立ちになって、拍手を送った。
「本物だよ、本物。」
「あのCM嘘じゃないよ。試合になったら、もっとすごい よ。」
方々で、そんな声がしていた。

鳥居、高井、大蔵の3人は、洋子の全力のスパイクを初めて見た。4年鍛えた今も、身が震えるように怖かった。

選手たちは、お互いに顔を見合わせた。
想像していたより遥かにすごい。

遠藤「おおお、今ので、12%いきました。」
小池「今のところあと2回リピートして流せ。」
二人は、ウキウキしていた。

アナ「横井さん。驚きましたね。」
横井「驚きましたとも。今でも夢を見ているようです。
   今のプレーで、『世界1』がリアリティを持ちましたね。」

三栄社員は、やんやの応援。
社長「百合子くん。倉田さんは、一体何者かね。」
百合子「わかりません。もうびっくりです。すごかったあ。」
坂田「ああ、今まで心配の塊だったけど、やっと楽しめそうです。」

次、初めての洋子のサーブである。

洋子はボールを持って考えていた。
相手のアタッカーを狙うのが1番。
一番安全な所。それは、胸元の堅い骨があるところ。
こちらから見て、ライト、西側。
洋子は、助走をつけて、ボールを高くトスした。
身長を足して7mのジャンプ。
アタッカーの横田は来ると見ていた。
洋子が、ジャンプし、ボールを打った瞬間、
すでに、ボールが自分の胸元に来ていた。
逃げもかばいもできない。

横田は、後ろに2mは、飛ばされた。
会場は、再び、興奮のるつぼ。
「全日本の選手が飛ばされた!信じられない!」
「オリンピックでもあんなのないよ!」

アナ「横田選手が、2mも飛ばされました。あんなことあるのでしょうか。198cmの全日本の選手ですよ。」
横田「それもすごいですが、倉田さんは、横田選手に怪我を させないように、堅い骨のある彼の胸元に打ちました。その配慮。コントロール。すばらしいの一言です。」

選手はみんな驚いて見た。
ボールが、ほとんど見えなかった。
横田は、激しいショックを受けたが、打ち所がよかった。
『あえて、安全なところを狙ったのか。』と横田は思った。
だとすれば、何というコントロールだ。
自分は、アタッカーだが、逆立ちしてもできない。

2-0

視聴率は15%になっていた。

(次回は、「息詰まる攻防戦」です。)

 

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