浅田次郎/天切り松闇がたり(残?) | 海辺の読書記

浅田次郎/天切り松闇がたり(残?)

著者: 浅田 次郎
タイトル: 残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉
浅田次郎の人気シリーズ「天切り松」の第二巻目。
表題作の「残俠」は、ある日目細の安吉一家のところに、清水の次郎長の子分・小政と名乗る老俠客が現れる。さて・・・という話。
二巻目ではそれぞれの話もバラエティに富み始める。

表題作をもっと詳しく紹介しようかとも思ったが、個人的に一番気に入った、「百面相の恋」というお話を紹介させて頂く。
偽帝大生にして、帝大生顔負けの知性を持つ経済犯、「百面相の常次郎」。題名の通り、この常次郎が恋をする話なのだが、これがやたらと感動する。

あらすじを簡単に説明すると、常次郎には互いに好き合う人がいながらも、自分は実は本物の帝大生ではないため、結ばれるべきではないと考え、苦悩する、という話。
本来、恋愛もの(しかも筋は結構ありがちな感じ)は苦手な僕だが、「声になる言葉は、全部嘘になってしまうような気がしてね」という常次郎の言葉に素で感動。良い。