宮本輝の「草花たちの静かな誓い」にスイスの心理学者・ユングが提唱した「箱庭療法」、フィギュアやジオラマDiorama、盆栽 等の話が出てくる。
小説に登場するのはロサンゼルスの高級住宅地にあるフィギュアを売っている店、そこのカフェはタバコが吸えるというので繁盛している。
遠くからフィギアを買いに来る、タバコが吸えるので近所の人が訪れる。
草花に話しかけるシーンも度々出てくる。
もう50年前、中学校2年の時の担任の先生の家に遊びに行った。
白い壁一面に何枚もの油絵がかかっていた、こっそり税金対策だと教えてくれた。
先生は早稲田の出身、青山師範とか師範学校を出ていないと校長になれないと民間企業に転出、そこの人事部長になり、退職後「箱庭療法」に使うキットを売って財をなしたらしい。
先生は国語の先生で年に何回かあった映画鑑賞の映画の選定をやっていた、
生徒は知らなかったがよく映画を見に行っていたらしい。
“足摺岬”やフランス映画の“白い馬”を覚えている、当時は映画とは言わず「視聴覚教育」と言っていた。
近所に器用な人がいる。
自分でいろんなフィギュアを作り、ドイツのメルクリン(鉄道模型)走らせてジオラマを作って楽しんでいる。
ままごとは女の子の遊びだが大の男でもジオラマと言う自分だけの小宇宙に癒されるらしい。
“箱庭療法”でぐぐったら今でも健在、例えば不登校の子供の心理を解き明かすのに使われている。
アメリカに住んでいた叔母が修善寺で亡くなり、突如、4200万ドルもの莫大な遺産を相続することになった弦矢。
遺骨を抱え、弁護士とロサンゼルス郊外にある叔母の家に向かった。
そこで白血病で死んだはずの叔母の娘・レイラが行方不明だと知らされる。
27年もの間、叔母はなぜそのことを秘密にしていたのか、レイラはどこにいるのか。
弦矢はその謎を追い始めるー。
運命の軌跡を辿る長編小説、
宮本輝の初のミステリ?