◆受取配当金益金不算入の趣旨
 言うまでもありませんが、法人税法では、原則、二重課税を排除する目的で、受取配当金の全部又は一部を益金不算入としています(外国法人、公益法人等及び適格現物分配に係るものは除く)。これは、配当金は課税済み後の所得から支払われるものであり、一方、これを受領した側にも課税するとなると同一の所得に対して二重に課税することになるからです。
 配当金益金不算入の割合は、株式等の区分によって異なります。①完全子会社株式等の配当は100%、②関係法人株式等の配当は「配当金-負債利子」×100%、③①及び②以外の株式等の配当は「配当金-負債利子」×50%です。なお、短期所有株式に係る配当には、この益金不算入の適用はありません。

◆関係法人株式等の配当とは
 益金不算入の適用を受けるためには、配当等の計算期間の全期間を通じて配当支払い会社の株式を継続して所有していなければならないのか、ですが、必ずしもすべてがそうでありません。
 関係法人株式等の配当にあっては、原則(株式移転等による保有は除く)、配当金支払い会社の株式等の25%以上を配当金等の効力発生日以前6ヶ月以上継続して保有していれば、100%の益金不算入の適用を受けることができます。

◆配当金の効力発生日とは
 配当金の効力発生日は、一部上場会社を除き株主総会で配当決議する際にその配当金支払いの効力が生ずる日も定めなければならないことになっています。上場会社の多くは、総会での配当決議の翌日となっていますが、その決まりはありません。会社の資金繰り等、さらには、配当金受領会社の当該配当に係る株式が関係会社株式等に該当するよう、その調整をすることもできます。
 設例で具体的にみて見ましょう。配当受領会社X社の事業年度は、24年4/1~25年3/31、一方、配当支払い会社Y社の事業年度23年10/1~24年9/30、X社は24年7月1日にY社の株式25%以上を買収、Y社の配当基準日は9月30日で配当決議は12月25日、その効力発生日を翌26日、とすると、当該株式の配当は「関係法人株式等の配当」には該当しません。しかし、効力発生日を翌年25年1月1日以後に定めれば関係法人株式等の配当に該当することになります。買収の際には留意したいものです。

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◆コンプガチャ商法とは?
 CMでもすっかりお馴染みとなった「グリー」や「モバゲー」などが配信する携帯電話向けゲームですが、これらの中で提供されている「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」と呼ばれる商法について、消費者庁が景品表示法で禁じる懸賞に当たると判断、見解を公表するとの報道により、業界が自主規制をまとめる動きを見せています。
 そもそも「ガチャ」とはカプセル入りのおもちゃが出てくる自動販売機、ガチャガチャをイメージしたもので、一回数百円程度の課金でアイテムを購入する仕組み。このガチャで一定のシリーズアイテムを全て揃える(コンプリートする)と、更に希少性の高いレアアイテムを獲得できるというのがコンプガチャと呼ばれる商法です。かつてプロ野球選手等のカードを集めると景品類がもらえるといった懸賞がありましたが、ちょうどこの懸賞をケータイゲーム上で行っているのがこのコンプガチャ商法に当たると考えられます。
 何種類かのカードを集めて景品類がもらえるという懸賞は当時も子どもたちの間で爆発的な人気を呼んでいましたが、カード欲しさに商品を買い続けてしまうことに保護者から多くのクレームが寄せられたことや、特定カードの枚数を制限してカードを集めにくくするなど企業側が不正行為をする可能性が指摘され、公正取引委員会が告示の改正に伴い全面的に禁止していました。時代は変わり、架空のゲーム上でこの懸賞が行われていたわけですが、レアアイテム欲しさにいつまでも課金を続けてしまい、結果的に多額の請求がきたという、若干の様変わりをしながらも当時と同様の事例が多発してしまったことが、今回この商法にメスが入った発端と言えます。

◆電子商取引の盛んな今だからこそ
 景品表示法に言う「景品類」とは、 (1)顧客を誘引するための手段として、(2)事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する(3)物品、金銭その他の経済上の利益であり、景品類に該当する場合は景品表示法に基づく景品規制が適用されます。もちろんこの規制はインターネット上のような電子商取引についても同様です。今回のコンプガチャ商法は、電子商取引の中で更に電子的な景品類が提供されるという点で規制の範囲外と認識されていたのでしょうが、電子商取引の盛んな今だからこそ、電子商取引であっても、店舗営業と同様の規制を受けることを再認識したいものです。


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◆期限切れ欠損金とは
 期限切れ欠損金は、法令上の用語でなく造語ですが、平成22年度税制改正で確実にその市民権を得ました。
 この期限切れ欠損金は、清算事業年度の課税方式が「損益法」に改められたことにより、債務超過法人に青色欠損金を上回る債務免除益が生じ、担税力のない課税所得が発生してしまうことを回避する目的で、一定の条件下で清算事業年度において損金算入を認めるものです。
 期限切れ欠損金の内容・範囲ですが、「過去の青色欠損金」、すなわち、所得から控除できる期限を経過(失効)してしまった欠損金(平成23年度税制改正で現行7年から9年に延長)ではないか、と思われがちですが、そうではありません。社外流出・損金不算入である「交際費」や「寄附金」もこの期限切れ欠損金に含まれています。

◆法令上の期限切れ欠損金
 欠損金については、法人税法で「損金の額が益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう」と定義しています。
 そして、益金及び損金の額については、法人税法で「別段の定めがあるものを除き、公正な会計基準にしたがって計算されるもの」と定めています。
 期限切れ欠損金は、これら定義からすると、青色欠損金の内、控除期限を経過した欠損金から成るものと理解されます。

◆通達における期限切れ欠損金
 しかし、通達における期限切れ欠損金は、①「期首現在利益積立金の合計額として記載されるべき金額で、当該金額が負である場合の当該金額」- ②「青色欠損金等の額のうち損金の額に算入される金額」と規定しています。いわゆる、①は法人税の申告書別表5(1)「31」①欄の金額、②は法人税申告書別表7(1)「2の計」欄の金額ということになります。
 この通達の規定では、期限切れ欠損金には、社外流出・損金不算入である「交際費」や「寄附金」をも含んでいます。

◆何故、通達の規定なのか
 一つには、過年度の期限を経過(失効)した青色欠損金を補足することは困難であること、もう一つは、損金に、別段の定めにより社外流出・損金不算入となる「交際費」や「寄附金」を含めても、納税者にとって損金算入の額が拡大し不利益にはならない、さらには課税実務の簡便、ということなのでしょうか。

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