手術から数日が経った頃


術後の発熱も治まり

尿管の管も外れ

トイレや洗面所への行き来も
だいぶスムーズになってきて

食事も、重湯から始まり
日々少しずつ
形ある物になって行き


私の気持ちも、益々
リハビリに向けて
前向きになって行きました。


歩く距離も伸ばしたいし
気持ち的にも刺激が欲しくて

それまでの個室から
大部屋への引っ越しを
看護師さんにお願いしました。



個室は
プライバシーも守られるし
家族が面会にきても
他の患者さんへのご迷惑を
心配しなくてもいいし
何よりも、音に悩まされることなく
よく眠れるのがいい。

のですが…

寂しくなったのです。


自分のたてる音以外に
何も聞こえない
人の話し声も笑い声も
聞こえない
という環境の中で

長い時間を過ごすのが
なんとも落ち着かなくなって
しまったのです。



そろそろ妻が面会に来る時間。

私は看護師さんにお願いして
談話室まで付き添っていただき
窓際の席に座り、妻が歩いてくる
であろう道を眺めていました。


そこに、妻が到着。

「ここにいたんだ!
びっくりしたぁ。
よくここまで歩けたね。
何を見てたの?」と妻に聞かれ

私はある場所を指差しました。


「あれ。喫煙所。
たばこ吸いたいなぁ…」

そう言うと、妻も
近くにいらした看護師さんも
プッと笑いました。


バレてしまいましたね。

照れ隠しでありました。