源氏物語(一)桐壺 あらすじ

 

 時の帝桐壺(きりつぼ)は、それほど身分の高くない桐壺(きりつぼの)更衣(こうい)(ちょう)(あい)し、二人の間には輝くような美しい皇子が生まれた。しかし、桐壺更衣は他の女たちの嫉妬や嫌がらせを受け、また病気がちであったために三歳の皇子を残して病死してしまう。 

 その死を嘆き悲しむ帝であったが、亡き桐壺更衣の生き写しのような先帝の皇女藤壺(ふじつぼ)が新たに入内(じゅだい)し、帝の寵愛を受けることとなる。そして帝のもとで育てられていた皇子は、亡き母によく似ているという藤壺をことさらに慕うようになった。

 その後、元服した皇子は臣下として(みなもと)の姓を与えられ、左大臣家の娘(あおい)(うえ)と結婚する。

彼はその光り輝くような姿の美しさから、いつしか光源(ひかるげん)()と呼ばれるようになった。

 

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このたび、ついに、ついに、発売となりました


新しいオーディオブックです。

 

思い返せば、今年の春まだ浅きころ・・・お世話になっているパンローリング株式会社のO部長から、なにげなくこの話をいただいたときの興奮は、今でも忘れられません。

 

とにかく飛び上がってしまいたいほど嬉しいことだけれども、あまりにも畏れ多い――

 

「この作品を今の私が朗読していいのだろうか」

 

「いや、こんな機会はそうあるものではないのだから」

 

「というか、お話をいただいたこと自体が奇跡なのでは?」

 

などと咄嗟に思いが交錯しながらも、

 

 

「絶対に朗読したい」

 

 

という気持ちがぐんぐん身体じゅうをめぐっていったあのときの高揚感・・・・・震えながらもわくわくしました。

 

 

その作品がいよいよ発売となったのです。

 

その作品とは・・・

 

 

 

源氏物語

 

 

 

です。

 

与謝野晶子訳「源氏物語」
まずは巻一の桐壺(きりつぼ)です。
 

 でじじ 源氏物語(一)

 

→ Amazonオーディブル 源氏物語(一)

 

 
ほんとうに多くの人に読み継がれている「源氏物語」。

 

 

今ではさまざまな方の現代語訳がありますが、与謝野晶子のそれは、近代で初めてのものだったそうです。

 

そうですよね、当然のことながら、何においても、初めて取り組んだ人がいます。

 

しかし、これだけ「源氏物語」の現代語訳がたくさんあって、それぞれが一つの作品のように、訳者の名前を頭につけて、与謝野源氏、谷崎源氏、瀬戸内源氏・・・・・などと言われていると、その現代語訳の特徴をいろいろ比べたり、味わったりしてばかりいて、どれが最初に訳されたのかということに気を回しませんでした。

 

 
与謝野晶子だったのですね。今さら知ったことだけれど、なんだか感慨深い。

 

 
与謝野晶子は、「源氏物語」に出てくる和歌には、いっさい現代語訳を入れていません。

 

歌は歌のままです。

 


それから、「源氏物語」五十四帖、それぞれに各巻を表現した自作の和歌をつけています。

 


ご存知のとおり、各巻名はどれも美しい言の葉。その巻名とその物語を彷彿させるように三十一文字の晶子の歌が、巻頭に登場します。

 

 
歌人の晶子ならではの「源氏物語」です。
 

 

実は、私は学生時代のころから、和歌や俳句のような韻文に対して現代語訳をつけることが好きではありませんでした。かといって、そのままでは意味がわからないので、そういうときはまず語彙・注釈で調べて、内容を理解します。そうしたら、その後は現代語訳を読むのではなく、その歌のままの言の葉にかえればいいと思うのです。

 
意味を味わいながら、歌本来の5・7・5・7・7のリズムや言葉のしらべを楽しむのが好きです。

 


そして、私の望みどおり、この与謝野晶子訳「源氏物語」は、和歌を、すべてそのままで朗読させていただけるのです。

 


そもそも、和歌を朗読する機会というのも、そうあることではありません。

 

   

この作品との御縁を、本当に嬉しく思います。

 

  
それでは、桐壺の巻に付された与謝野晶子の歌を。

     

 紫のかがやく花と日の光 思ひあはざることわりもなし  晶子

 

 
 
これから、五十四帖、ひとつずつ大切に読みすすめていきます。

 


長い道のりですけれど、じっくり物語をかみしめながら。
 
 
 

→ 「源氏物語」全五十四帖 ブログ

→ 「平家物語」全十三巻 ブログ

 

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好評発売中ビックリマーク → 岡崎弥保の朗読CD

 

 

与謝野晶子訳『源氏物語』 全五十四帖  

朗読:岡崎弥保

 

 

 

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