■賃貸物件のクリーニング費用で実際に何をしているのか
賃貸物件で退去時に請求される「クリーニング費用」は、単なる軽い掃除ではなく、次の入居者がすぐに安心して住める状態に整えるための専門業者による“原状回復クリーニング”を指します。
その内容は想像以上に細かく、部屋全体を徹底的に清掃・衛生管理するのが特徴です。
まず代表的なのは水回りの徹底洗浄です。キッチンでは油汚れや焦げ付き、シンクのくすみ、排水口のぬめりを専用洗剤で落とし、換気扇は分解洗浄で内部まで清掃します。浴室ではカビ取り、石鹸カス、水垢を除去し、排水トラップの清掃や鏡のウロコ取りも行います。トイレは便器内部の尿石除去、ノズル周辺の洗浄、床・壁の消毒まで行います。
次に室内全体のクリーニングです。窓・サッシ・網戸の清掃、照明器具の拭き取り、建具(ドア、クローゼット)の汚れ落とし、スイッチ・コンセント周りの黒ずみ除去など細かい部分も対象です。エアコンは物件によりますが、フィルターの清掃や簡易内部洗浄を含むケースもあります。
床材の清掃も重要で、フローリングならワックス掛け、クッションフロアやフロアタイルは汚れ除去と仕上げ処理を行い、カーペットは専用機材での洗浄や消臭を施します。加えて、全体の消臭・除菌施工を行うことも多く、喫煙・ペット・生活臭をリセットする目的があります。
なお、専門業者に特別な国家資格はありません。
しかし「ハウスクリーニング士」「ビルクリーニング技能士」などの民間資格や技能検定は存在し、技術力の証明として活用されています。
クリーニング業者が使用するのは一般家庭では扱えない業務用洗剤や専用機材が中心で、強力なアルカリ洗剤、カビ除去剤、業務用スチーム、高圧洗浄、ポリッシャー(床洗浄機)、カーペット用リンサーなどを駆使して、短時間で高いクオリティに仕上げます。
これらの作業が重なるため、退去時のクリーニング費用は数万円程度かかるのが一般的です。
■youtube動画の台本
会話台本(セミナー風)
賃貸契約に関する初心者向けセミナー。
【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。
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<前編:クリーニング費用って何をしているの?>
やまだ
先生〜!賃貸の退去で“クリーニング費用2万〜4万円です”って言われたんですけど……正直、そんなにお金かかるほど掃除することってあります?
私、結構キレイに使ってたつもりなんですけど!
講師
実は“クリーニング”って、私たちが普段する掃除とは別物なんですよ。
業者が入って部屋を“次の人が安心して住める状態”まで仕上げる、いわばプロの仕上げ作業なんです。
やまだ
へぇ〜。でも、実際には何をしてるんですか?
講師
まずは水回りから。
キッチンでは油が固まってたり、換気扇の中にベタッとした汚れが溜まってたりしますよね?あれを専用洗剤で落とし、換気扇は分解洗浄することもあります。シンクの水垢、排水口のぬめりも完全に除去します。
やまだ
換気扇って分解するんですか!? 自分でやったことない…
講師
ですよね。
浴室も同じで、天井のカビ、鏡のウロコ、排水溝の汚れを専用薬剤で落とします。トイレは便器の奥の尿石や黒ずみを取って、最後は消毒もします。
やまだ
なるほど…水回りだけで結構大変。
講師
室内も細かいですよ。窓ガラスやサッシ、網戸、照明器具、スイッチの黒ずみ、ドアの取っ手……細かいとこまで全部拭き上げます。
床はフローリングなら洗浄してワックス、カーペットなら専用機器で丸洗い・消臭です。
やまだ
そんなところまで!?
講師
入居者が変わるたびにホテルみたいに“新品に近い状態”に戻すイメージですね。だから一般的に数万円の費用がかかるんです。
やまだ
ただの掃除じゃなくて、プロの総仕上げなんですね…ちょっと納得しました!
以上