■賃貸物件を申し込んだ際に「預り金」や「申込金」を取られたけれど、これって違法か?
【預り金・申込金とは】
物件を内見し「この部屋に申し込みます」と提出する段階で、他の入居希望者より優先的に審査・物件確保をするために支払うお金が「申込金(申込証拠金)」「預り金」と呼ばれます。
「手付金」と混同されやすいですが、賃貸の場合、手付金という仕組み自体は本来認められておらず、実質的には預り金・申込金と同視されるケースがあります。
【違法?支払い義務ある?】
支払い自体が直ちに違法というわけではありません。つまり、「申込金を請求された=違法」ではないというのが実務・解説の見解です。
ただし、自治体によっては「居住用賃貸借において預り金を受領しないよう」指導しているところもあります(例:福岡県では原則禁止)
また、支払ったお金を「手付金」と称して、契約前に支払い、キャンセル時に返さないという扱いを行うと、実態として預り金とみなされ、返還義務違反となる可能性があります。名目より実態で判断される点が重要です。
【キャンセルしたら返金される?】
基本的には「契約がまだ成立していない段階」での申し込み撤回・キャンセルであれば、支払った預り金・申込金は返還されるべきです。
・具体的には、以下のような法令があります:
宅地建物取引業法第47条の2第3項および施行規則第16条の11第2号において、「宅地建物取引業者(不動産会社)は、契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと」が禁止されています。
入居申し込みの段階であれば、契約が成立していないので「返還されるべき」というのが行政相談窓口の見解です。
ただし「契約が成立した後」「鍵引渡し・入居開始後」などの段階になると、返金されない・解約扱いとなるケースがあります。
【注意ポイント】
支払う前に「このお金は何のためか(物件確保のための預り金か、契約締結後のものか)」「契約に至らなかったときの返金条件」を必ず確認しましょう。
預けたら「領収書」ではなく、実務上「預り証(預かり金として受け取った証明)」を発行してもらうのが望ましいです。
名目(手付金・予約金・申込金等)に惑わされず、「契約前の優先確保金」なのかどうか、実態を見極めましょう。
地域によって指導・条例が異なる場合があるので、居住予定地の自治体の案内もチェックすると安心です。
万が一返金を拒まれた場合は、まずは不動産会社の担当者に状況を確認・交渉し、それでもダメなら、消費生活センターや都道府県の宅建業取引相談窓口等に相談することをおすすめします。
■youtube動画の台本
会話台本(セミナー風)
賃貸契約に関する初心者向けセミナー。
【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。
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<後編:「キャンセルしたら返金されるの?>
やまだ
じゃあ先生、その預り金を払って、やっぱりやめたいってなったとき…返してもらえるんですか?
講師
はい、ここが一番大事な部分。
契約がまだ成立していない“申し込み段階”なら、預り金や申込金は全額返還されるのが原則なんです
やまだ
えっ!
返してもらえるんですか?
講師
ええ。
宅地建物取引業法でも、契約の申し込みを撤回したときに、受け取ったお金を返さないのは禁止されているんですよ
やまだ
じゃあ、“キャンセルしたら返せません”って言われたら…
やまだ
それはアウト。違法の可能性があります。返金を拒まれたら、消費生活センターや都道府県の宅建業相談窓口に相談してください
講師
なるほど…。でも契約しちゃった後は?
やまだ
契約が成立して鍵の引渡しまで進むと、それはもう“解約”の扱いです。その場合は返金されないことが多いですね
やまだ
払う前に条件をちゃんと確認しないとダメですね!
講師
そうそう。
領収書じゃなく“預り証”をもらうのもポイントです。そこに“契約不成立時は返還します”って書かれていれば安心
やまだ
勉強になります!
預り金って、聞いたことあるけど奥が深いんですね
講師
その気づきが大事ですよ。
お金を預ける前に、必ず“実態”を確認。それがトラブル回避の第一歩です!
以上