■「先行契約」とは?

「先行契約」とは、まだお部屋の内見ができない(例えば前の入居者が居住中、あるいは建築中・改装中など)状態の物件を、内見する前に賃貸借契約を結んでしまう契約形態を指します。
通常、賃貸契約の流れとして「内見 → 入居申込 → 審査 → 契約 →入居」という順ですが、先行契約の場合は「申込・審査・契約 →(内見)→入居」という流れになります。

【内見もしていないのに契約すべき?】
結論から言うと、入居をしたい場合には契約をしないといけないが、より慎重さが求められます。以下、メリットとリスクを整理します。
<メリット>
人気物件を確実に押さえられる:内見してからでは他の申込者に取られてしまうリスクのある物件を優先的に確保できます。
遠方からの引越・時間が限られている人には有利:内見に行く余裕がないケースでは選択肢になり得ます。
<リスク・注意点>
・内見できない分、実物がイメージと異なる可能性あり:日当たり・騒音・設備の状態・周辺環境など、図面・写真だけでは把握しきれない事項があります。
・原則としてキャンセルが難しい:契約締結後、内見して「思っていたのと違う」となっても、契約解除=解約という扱いになり、敷金・礼金・仲介手数料などが返らなかったり、違約金が発生することがあります。

【契約前に確認すべきポイント】
内見前でも、少なくとも建物の外観・共用部・周辺環境くらいは自分で足を運んで確認する。
同じ建物/同じ間取りの既存空室があれば、そちらを内見させてもらうよう相談する。
契約書・重要事項説明書の内容をよく読んで、「内見できなかった」ことによる特約や、解約時の規定(違約金・予告期間)などを確認する。
内見できる時期(完成予定・退去予定日など)が明記されているか、入居可能日が確実かどうかを確認する。

 

■まとめ

「内見もしてないのに契約しないといけないの?」という疑問に対しては、「強制ではないが、契約してしまうとキャンセルが難しく、借主にとってリスクが高い」ことを理解しておいたほうが良いです。納得できるだけの情報(図面・写真・周辺環境・既存入居者の有無など)を得た上で、「それでもこの物件で良い」と思える場合に契約を進めるのが安全です。

 

■youtube動画の台本

会話台本(セミナー風)

賃貸契約に関する初心者向けセミナー。

【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。

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<前編:そもそも「先行契約」ってなに?>

やまだ

先生〜!

お部屋探ししてたら“不動産屋さんから先行契約”って言われたんですけど……先行契約ってなんですか?まだ内見してないのに契約って怖いんですけど。

 

講師

いい質問だね、“先行契約”っていうのは、まだお部屋の中を見られない段階で、契約を先に結ぶことなんだよ。

 

やまだ

えっ!

普通は見てから契約しますよね?

 

講師

そう。

通常は“内見→申込→審査→契約”の流れだけど、先行契約は“申込・審査・契約→入居”という順序になるんだ。つまり、人気物件やまだ入居中の部屋、あるいは新築で工事中の部屋なんかでよく使われる。

 

やまだ

じゃあ、見られないから早く決めるしかない感じですか?

 

講師

そういうケースが多いね。

特に春の引っ越しシーズンなんかは、内見を待ってるうちに他の人に取られちゃうこともある。あくまで選択肢の一つなんだけど、契約をしたらキャンセルはできない。

 

やまだ

なるほど…確実に押さえたい人にはいいけど、ちょっと勇気がいりますね。

 

講師

その通り。だから次の回では、“先行契約”の注意点と、失敗しないためのコツをしっかり話していこう。

 

以上