■連帯保証人とは

賃貸借契約で入居者(借主)が家賃滞納や原状回復費を払えない場合、借主と“同列”に弁済義務を負う人的担保です。貸主は借主を飛ばして連帯保証人へ直接請求でき、抗弁権も認められません。

 

従来は無限責任でしたが、現在は個人が連帯保証人になる建物賃貸借では、契約書に保証上限額(極度額)を明記しないと保証契約自体が無効になります。多くは「家賃+共益費の24か月分」などを上限に設定し、過大負担を防止します。

 

■保証会社普及で保証人を求める物件は減少

家賃保証会社が滞納分を立替える仕組みが広がり、首都圏を中心に「保証会社加入=保証人不要」の募集が急増しました。ただし地方や高額物件ではまだ連帯保証人が主流のケースもあります。
 

保証会社の倒産リスクや代位弁済後の回収負担をカバーするため、貸主側が二重に求める物件も存在します。入居者が「保証人を立てる/立てない」を選択できるわけではなく、募集条件は貸主・管理会社が決めます。

 

■必要書類と手続き

連帯保証人を立てる場合、契約時に実印での捺印済み保証契約書と3か月以内発行の印鑑証明書の提出が必須です。印鑑証明は本人意思を公的に担保する役割を持ちます。保証会社のみで契約する場合は不要となることもあります。

 

■まとめ

・連帯保証人は借主と同等の支払い義務を負うが、現在は極度額で上限が設定される
・保証会社の普及で保証人不要物件は増加
・ただし貸主がリスクヘッジとして両方求めることもあり、入居者側で選択はできない
・連帯保証人を立てる際は実印・印鑑証明を準備し、極度額の内容を必ず確認すること
制度改正で負担は明確化されたものの、保証人になる側は上限額と契約条件をよく理解した上で引き受ける必要があります。
 

■youtube動画の台本

賃貸契約に関する初心者向けセミナー。

【登場人物】
やまだ:素朴な疑問を持った女の子(参加者)。不動産業界はまだ慣れていない。
講 師:不動産屋で働くベテラン社員。現場経験が豊富。

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やまだ

あの……「連帯保証人」って、何となく怖い言葉なんですけど、普通の保証人と何が違うんですか?

 

講師

連帯保証人は、借主さんが家賃を払えないときに借主と同じ立場で支払義務を負う人です。

 

やまだ

どういうことですか?

 

講師

貸主は何かあった場合に、借主を飛ばして 連帯保証人へ直接請求できますし、連帯保証人は「まず本人に請求してください」という抵抗もできません。

 

やまだ

じゃあ、もし連帯保証人になったら無限に払わなきゃいけないんですか?

 

講師

そこが最近変わったんです。

 

やまだ

どう変わったんでしょうか?

 

講師

2020年4月の民法改正で、個人が連帯保証人になる建物賃貸借では極度額、つまり「支払う上限額」を契約書に書かないと保証契約自体が無効です。

多くは「家賃+共益費の24か月分」などが目安ですね。

 

やまだ

街で「保証会社加入で保証人不要!」って広告を見るんですが、もう連帯保証人はいらないんですか?

 

講師

確かに保証会社の普及で保証人不要物件は増えています。保証会社が家賃を立て替える仕組みです。

 

やまだ

そんな便利なものがあるんですね。連帯保証人になってもらえる人がいなかったので良かったです。

 

講師

ただし、貸主は保証会社が倒産したり回収できなかったりするリスクも考えます。
そのため、保証会社に加えて連帯保証人も求める“ダブル担保”を条件にする物件も少なくないんです。
この点は、借主が選べるわけではなく、募集条件に従うしかないんです。

 

やまだ

連帯保証人を立てる場合、どんな書類が必要になりますか?

 

講師

主に2つです。
・実印で捺印した保証契約書
・印鑑証明書(発行後3か月以内)

 

やまだ

実印ってシャチハタでもよいんですか?

 

講師

実印は、市区町村役所で印鑑登録を行い、公的に「本人の意思表示を示す印鑑」と認められたもので、シャチハタでの登録はできません。
印鑑証明書は、その印鑑が実印という証明書になります。

 

やまだ

なんか、大変そうですね。

 

講師

保証会社のみで契約する場合は、印鑑証明が不要になることもあります。

 

やまだ

なるほど……いずれにしても、極度額が決まっていても責任は重いんですね。

 

講師

そうです。
だから保証人を頼むときは極度額と期間を説明し、相手にリスクを理解してもらうのがマナーです。
頼まれる側も、契約書に上限がきちんと書かれているか必ず確認しましょう。

 

やまだ

よく分かりました!
今日から物件を見るときは、そのあたりをチェックします。

 

講師

それが大事です。
連帯保証人は減りつつありますがゼロにはなりません。
極度額と必要書類の確認、この2つを覚えて帰ってくださいね。

 

以上