あなたは自分の性格を言葉にできますか?
履歴書に長所、短所と記載することがありますよね。この長所短所というのは置かれた環境や周りの感じ方によって表裏一体、つまりどちらにもなり得るということです。
例えば、
『自己中心的』
短所:自分のことしか考えていない、協調性が無い、わがまま
長所:自分を持っている、自己主張が出来る、周囲に流されない
『緊張しやすい』
短所:うまく話せない、汗をかいてしまう、周りが見えなくなる
長所:真面目、一生懸命、責任感がある
などのように自分の性格が一見短所に思えても、ポジティブに変換することで長所に変えることが出来ます。
いやいや、交通事故と関係ないじゃん、、、
忘れてました
なにが言いたかったかというと自分の性格と交通事故は関係が深いということです。
自動車学校で運転適性検査をすると思います。運転しても良いけどあなたの性格はこうだから、こういうことに注意して運転してね、というように注意啓蒙するためのものです。
今回はこの性格と交通事故について解説し、どのように気持ちを落ち着けて事故を防いだらいいのかを知っていただきたいと思います
きっかけはあの事件
2017年に起こった東名高速夫婦死亡事故。この事件を機に日本で『ロードレイジ』という言葉が言われるようになりました。
ロードレイジとは、あおり運転等の危険運転をするドライバー、危険運転そのもの、報復行動を言います。
この言葉は実はアメリカで約40年も前から社会問題とされている言葉で、
ロード=道路
レイジ=激怒、暴力、非道な行為
直訳すると『道路での激怒』を指しています。
2018年に日本であおり運転(車間距離保持義務違反※高速道路において)で摘発された件数は1万1793件。
2021年では車間距離保持義務違反:1万1510件に加えて令和2年に新設された『妨害運転罪』で100件の摘発がありました。
2018年の摘発数を1日換算すると1日あたり32件摘発されていることになります。一般道も含めたら実際の件数はもっと多いと思われます
これらの数字から日本では1万1000人以上のロードレイジがいることになりますが、いったいなぜ運転手はロードレイジとなってしまうのでしょうか。
ロードレイジの心理状況
ロードレイジに共通する4つのポイントをご紹介します。
・急いでいる
・運転すると気が大きくなる
・運転技術を過信している
・車の価値=自分の価値と思っている
◇急いでいる
→これは誰しも経験があると思います。何か遅れられない用事や寝坊して焦っているときに、前の車がゆっくりだったり渋滞しているとイライラしますよね。出産が近いとか家族が危篤状態の時は車の運転はするな、と親に教わったことがあります。『急いでるんだから』と危ない割り込みやスピードの出しすぎは特別扱いされる理由にはなりません。時間や予定に余裕を持つことが大切ですし、そういった時は運転しないことも大切です。
◇運転すると気が大きくなる
→『ハンドル握ると性格変わる』なんて聞いたことありませんか?私はこれを聞くとこち亀の本田を思い出します
運転中は車という個室の空間に守られている為、普段物静かな方でも気が大きくなり粗い運転になることがあります。もし家族や友人にそういったことを指摘されたなら一人で運転するときは注意しなければなりません。
◇運転技術を過信している
→典型的な心理状況に『自分の運転に自信がある』と言われています。他のドライバーを見下し、『自分は運転が上手いから優先されるべき』といった自己中心的な思考になってしまうようです。確かに運転技術の上手い、下手はあると思います。もし本当に運転が上手(だと思っている)なら、余裕をもって周りに配慮した運転が出来ると思うんですがね…
◇車の価値=自分の価値と思っている
→これはあおり運転の調査結果から分かった傾向ですが、『加害車両については、4割が500万円以上の車種であり、約3割が200~499万円、2割が200万円未満であった』*と報告されています。高級車に乗る=社会的ステータスが高く見える=道路上でも優先されるべきと自己中心的な思考になるようです。傍迷惑ですね
*日本におけるあおり運転の事例調査‐先行研究のレビュー結果を踏まえて‐/矢野陽子
さて、このような特徴を知っても遭遇してしまえば元も子もありません。
出来るだけ遭遇しないためにはどういった事に気を付ければいいのでしょうか。
ロードレイジに遭遇しないために
ドライバーは常にロードレイジなわけではありません。(そういう方もいるとは思いますが…)
あなたの何らかの行動がきっかけ(トリガー)でそうなってしまう可能性もあります。代表的な対策をご紹介します。
・必要以上にクラクションを鳴らさない
→クラクションは危険を相手に知らせるものなので緊急時以外に使用してはいけません。しかし相手が無謀で危険な運転をしていてそれに対して危険だからクラクションを鳴らしたらあおり運転に…なんてことも昨今の報道でよく言われています。鳴らしたい気持ちもわかりますが、それがきっかけにトラブルになってしまうのであれば、グッとこらえてやり過ごすのもひとつの手だと思います。
・追い越し車線をゆっくり走らない
→これは高速道路で煽られる原因によく挙げられます。追い越し車線は文字通り前の車を追い越す時に走行するもので、追い越し行為が終わったら速やかに走行車線に戻らないといけません。追い越しもせずひたすらダラダラ走行していると追い越し車線を利用したい車を妨害していることになり、『通行帯違反』となります。あおり運転は当然許されませんが、その原因を自ら作らないように意識したいところです。
・安全運転を心がける
→先ほど紹介した事例調査では、妨害運転目的のきっかけの約3割は『進行の邪魔をされた』となっているようです。
割り込んだ、急ブレーキをかけた、無理に抜かした、進路を譲らなかったなどがきっかけで怒らせてしまい、トラブルに発展してしまったようです。危ない運転をされない為に、自分も危ない運転をしないように気を付けましょう
運転中はドライバー同士で意思疎通が出来ず、些細なことでも怒らせてしまうきっかけになり得ます。自分も他人も気持ちのいい運転を心がけるようにしましょう
あなたがロードレイジにならないために
これまでロードレイジについてご紹介してきましたが、あなた自身がロードレイジになってしまう可能性も忘れてはいけません。
万が一、自分が運転中にイラっとしてしまった際に怒りをコントロールする『アンガーマネジメント』をご紹介します。
怒りの感情は6秒がピークと言われ、これを応用したものに6秒ルールがあります。もし怒りを感じてしまった際に心の中で6秒カウントすることで瞬間的に沸騰した怒りを鎮め、冷静になることが出来ます。
怒らない為には『怒りに反射しないこと』が大切です。6秒間数えたり、怒りの感情に点数をつけることで怒っている自分を客観的に見ることができ、本当に怒る必要があるのか?と冷静になれます。例えば高速道路で車間距離を詰められたり、無理に追い越されたとしても、やり過ごしてしまえばなんてことはありません。ゲリラ豪雨や台風みたいなものです
やられたことに執着し、ターゲットを定めて必要以上に仕返しをしようと考えなければトラブルも起こりません。
家族写真を見える位置に貼ったり、前の車のナンバーを足し算したり、しりとりをしたり、など別の事に意識を向けて怒りの感情をうまくやり過ごせるように工夫するのも良いですね
いかがでしたでしょうか。
あおり運転は悪いことですが、万が一にもあなたがきっかけを作らないように。また、あなた自身がロードレイジと化し、あおり運転をしないように心と運転にゆとりを持って安全運転を心がけるようにしてくださいね
おおえのき接骨院 主任
交通事故担当 石本浩之