5-9 人口 | のこしたいもの

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農耕牧畜を開始(1,0~1.5万年前)して増え続けているのが人口です。幾多の戦争・災害を経ながら農耕牧畜開始時(約1,2万年前)800万人程度だったと推定されている人口は産業革命が浸透して約10億人、2000年には60億人に達しました。更に2050年には100億人を超え、2100年には上限に達するだろうとされています。
約5000年前に発祥したメソポタニア文明は人類が築いた最初の文明とされています。以降、幾多の変遷を経て資本主義体制に移行し、自然破壊を始めとする様々な問題が急激に表面化してきました。それらの諸問題の全てには人口増加が大きくかかわっています。
人口増加の原因は人類が農耕牧畜を開始した事にあります。狩猟採集時代、人類は他の生物と同じで「食い殺されないで寿命を迎えること」が唯一の生きる目的でした。しかし、直立二足歩行する人類は石や棒のような簡単な武器を使うようになり、最強の捕食者となりました。農耕牧畜を始めた人類は食い殺されないで食う唯一の生物になったのです。
農耕牧畜の開始が人口増加の最も大きな要因ですが、食料となる生物の数が有限である限り、人口は確実に上限を迎えるはすです。
そのことを前提として、人類が一生物として生存してゆくために必要と思えることを考えてみます。

 

増加し続ける人口

 寿命が短く限られている生物には「食料が他の生物種に限られる」という足かせがあります。そういう条件の下で、生物が38億年にわたる歴史を刻むことが出来たのは食物連鎖の仕組みが厳然として機能してきたからだと思います。

 

人々は、大航海時代(15~17世紀)を経て地球が無限の広がりを持った世界ではない事を実感しました。さらに産業革命(18~19世紀)の浸透が世界をより狭くし、人々は、機械の普及がもたらしている「便利」が自然環境を急激に悪化させていることに気が付き始めました。水質・大気汚染、豊かな自然の急激な減少などが人口増加に比例して身近に感じられるようになったのです。

 

機械は、道具では出来ない大量生産と大きなエネルギーを活用して土木建築施設や交通運搬手段などを社会に組み込んでゆきました。日常生活全般にわたる格段の便利は戦争など物ともしないで人口は急激な増加を推し進めています。人口が増え続けると当然、限られている食料の不足に見舞われます。急激な人口増加は過去になかった桁外れの食料難をもたらします。20世紀半ばに起こった緑の革命によって食料難は回避されましたが、人々は地球にある食料(生物)には限度があることを実感させられたはずです。「便利」は人類に限らず全ての生物が好むようです。
人口増加は食料難を招くだけではありません。衣食住にわたって、一人の人間が必要とする生活用品を考えてみれば一目瞭然です。材料から加工する機械や機械を動かす燃料までの全ては自然から取り出したものです。自然景観の変化が桁外れな速度で進むのも当然のことでしょう。
生物に必要な自然環境は大きく失われつつあると思います。

 

狩猟採集から農耕牧畜に移行する頃には人類は「頂点捕食者」だったたと思います。
本来、頂点捕食者が個体数を増やし続けることはないはずです。しかし、人類は武器を使用し集団行動して、動物の中で圧倒的に強い生物となり、その強さが人口を増加させ続けているのです。人口増加を制御できないのは、人類が食物連鎖の中で特異な位置を占めていることを暗示しているようです。
同時に、人口増加を制御できない別の一面も見逃せません。つまり「種を維持するために子孫を残し、同時に全生物の食料源を絶やさない」という宿命から逃れる事ができないのです。

 

なぜ人口は増加し続けるのか

産業革命時、約10億だった人口が現在80億になろうとしています。人口増加が続くには食料資源の基盤となる農地がなければなりません。地球の陸地面積が限られているのだから、人口増加が続く限り、新しい農地はいずれ足りなくなります。
食料になる生物の数は限られているのだから人口が無限に増え続けることは出来ません。

 

食物連鎖に支配されていた狩猟採集時代、人類も他の動物と同じく「食われないで寿命を迎える」ことが唯一の生きる目的だったはずです。しかし、農耕牧畜に転じて貨幣経済が確立し、人々は「食い殺されないで寿命を迎える」だけではなく様々な職業を経て寿命を迎えるようになり、人口の増加と共に人々の生業・職業は増え続けています。
戦争や天災・人災を経験しながらも人口を増やして来たのは人々にお金を稼げる仕事があったからに他なりません。

大雑把な見方ですが、産業革命以降、大量生産された物を消費できる限界に向かって人口増加は続いています。これまで賃金を払っていた労働力を機械が受け持つ割合が多くなり、コンピューターの登場がそれに拍車をかけています。人々は働き口を機械に奪われつつあるように思えます。でも、作った物が売れなければ元も子もありません。資本主義経済は人口が増えなければ成り立たないのです。

 

自由主義・資本主義経済の行き着く先は、普通に考えれば「破綻」か「手に入れた便利の制御あるいは放棄」ということになるように思います。
人口が上限に達する時、人々はどうやってお金を稼ぎ、生きてゆけばよいのでしょう。
如何に便利な世の中といっても例えば、
食費をゼロにする仕組みが世の中にあったとして、人々は満足できる生き方が出来るでしょうか。人々は、そんな世の中では仕事を趣味としか思わなくなるでしょう。食費の心配がないのだから強盗するような人もいなくなるだろうし、結婚・家族という形態も無くなるかもしれません。
人口は増える一方ですが、社会が成り立たなくなるのにも時間はかかりません。国家も経済圏も世界も、下手をすると人類も消滅してしまうかもしれません。このままでは、いくら頑張ろうが、食料資源が限られているのだからはいずれ底をついてしまいます。

 

本来思いのまま動き・生き続けるのが動物であり、動くエネルギー源となるのが他の生物なのですから、動物は捕食競争なしでは生きてゆけないのです。
人類は「食の安定」を獲得して欲望が顕現した唯一の生物です。気の命令が破滅をもたらすことなく、人々が職の奪い合いをしないですむ人口はあると思います。

地球環境は否応なく、生きて行ける生物の個体数を決めてゆきます。地球が人類を排除するのではなく、止まることのない人口増加が地球環境を自分に都合が悪くなるようにしているだけのことだと思います。自業自得という以外ありません。

 

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