5-11 人口増加は制御できるか | のこしたいもの

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私が問題に思うのは、人口増加が人類の死滅をもたらしかねないことです。それがごく一部の人に認識されているだけなら他人事で、人々は罪悪感を持つことはないでしょう。情報として人々に伝わらなければ、知っている人だけに影響するだけのことです。


一般的に、捕食されることが少なくなるほど生物の個体数は限られてきます。食う生物が増え続ければ食われる生物はいなくなってしまうのですから当然のことですが、頂点捕食者である人類の数は増え続けています。


なぜ人口が増え続けるのか、その原因を考えてみました。
人類が他の生物と決定的に違っているのは、食い殺されない唯一の生物であること尽きます。そうなったのは脳が他の生物に比べて発達したからであり、突き詰めて考えれば、人類が直立二足歩行する唯一の生物であるからです。体重を支える以外に活用できなかった四本の脚のうち二本が自由に使えるようになったのです。他の生物にはない、動作が脳を刺激し発達させたのだと思います。

直立二足歩行が人口増加の原因だとすれば、それは体の構造なのですから除去することは出来ません。
原因が除去できないならば、人類の現在をもたらしている要因を考えなければなりません。

 

要因は、人類の集団行動と農耕牧畜によってもたらされた生き方の多様性と「食の安定」によって顕現した欲望に大別されるように思います。

動物が生きられなくなる大きな要因の一つは、食料が無ければ飢え死することであり、酸素や水がなくなることと同じくらいの比重を持っていると思います。大気や水質の汚染は大きな問題ですが、差し迫ったことではありません。直接的な問題となるのは穀物・野菜といった食料を生産する土地がなくなってきていることです。仮に農地が確保されたとしても、その分人口増加を招くので問題の解決にはなりません。
これだけ科学が発達しているのだから食料を人工的に生産できそうに思いますが、現実はそうなっていません。2050年には人口は100億人を超えて上限を迎えるとされていますが、それまでに人工食料が完成するとはとても思えません。

 

これまで考えてきた人類の歴史を通じて常に付きまとってきたことは、科学技術の発展と集団の一極化です。科学技術の発展に終わりはないにしても、グローバリゼーションの浸透によって人類の一極化はいずれ、完成するのでしょう。
グローバリゼーションの進展と完成によって、科学技術の発展がもたらした生活の便利を地球規模で人々が享受するようになります。その結果が現在、我々にもたらしている諸問題でもあります。

 

人口増加を止めるには 人口増加の原因として直立二足歩行を挙げました。現実面で人口増加に影響しているのは長寿化ですが、人間は生まれたら必ず死にます。従って、より直接的に人口増加を実現しているのは子の誕生です。
詳細は分からないにしても、かつて中華人民共和国で人口抑制策として「一人っ子政策」が採られましたが失敗に終わっています。38億年間続いてきた生物の本性(子孫を残す)を強制力によって停止できる訳がないと思うので当然のことでしょう。

 

人間は生きている限り叡智を持ち、生きる時代と場所で独自の科学・文化を育みますし、人がいる限り叡智がなくなることはありません。
歴史は目まぐるしく変動していますが、どんな時代でも、人々は自分達が生きる社会の利益を最優先してきたはずです。一極化の過程で滅びてしまった国・社会・人々があったとしても、一極化の結果が現在の世界です。

グローバリゼーション(一極化)の完成に向けて動いている世界の動きは、多様性を排除しているかぎり「絶対に正しい」というものではないと思います。正しいか正しくないかは時の世論・社会が作った価値観が決めてゆくはずです。グローバリゼーションが正しいか間違っているかがハッキリしてくるのは将来のことですが、間違っているならば人類は死滅しているでしょう。
そして現在、世界が完全に一極化されていないのは、宗教・思想の違いが盾になっているように思います。

 

人類史を通じて止むことなく続けられているのは小さな集団から、より大きな集団に向かう一極化の動きです。その最終的な形がグローバル化された世界ですが、人々に独自の宗教や思想がある限り集団の統合には争いがつきまといます。
全体を構成する部分が存在感と独自性を無くして生きてゆけるとは思えません。

大きくみて、グローバリゼーションの完成は、個の排除であり人間のロボット化になるように思えて仕方がありません。

 

変化が起こらず、自らが主張を無くし、個性のない状態は、生物ではなく物のように思えます。そうなると「生物とは特殊な物」ではなく、岩や石・土砂・水・空気と同じ地球の断片になります。

一極化を考え直すことに人口増加を抑えるヒントがあるように思います。

 

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