手を置いて親指で操作するスイッチを作ってみました | スイッチ工作室

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意思伝達装置に使うスイッチのあれこれ

手を置いて親指で操作するスイッチを作ってみました。台所用のスポンジホルダと80mlのトラベルスプレーボトルで構成しています。スポンジホルダに吸盤が付いているので、椅子に座った時にも肘掛けに吸盤を貼り付けて固定できます。

肘掛用スイッチ 肘掛用スイッチ分解


実際に使う場合はタオルなどを置いて、その上に手を載せることになると思います。手を載せてからスイッチを親指で押してもらって、押しやすい位置を確認してから、スポンジホルダとスイッチの位置を固定します。

肘掛用スイッチ 使用例


まずは部品の選定ですが、手の平を台に載せて親指でスイッチを押す構造を考えつつ、いくつかの100円ショップを見て廻りました。セリアで手ごろな大きなのスポンジホルダが目に止まり、この中にスイッチをどのように固定するか考えていたところ、手ごろな大きさのボトルが見つかったので、お店の中にあった物差しでボトルの直径を測り、直径が30mm以上あることを確認し、次にボトルをスポンジホルダに挟んで、スポンジホルダがうまくボトルを保持できるかを確認してから購入しました。

街中の100円ショップは、お店が小さく商品の種類が少ないことも多く、1つのお店で必要なものが全て揃わない場合は、いくつかのお店で調達したものを組み合わせることになり、微妙にサイズが合わないこともあるので、こういった時にはは0.1mm単位で違いが判る動物的勘が重要になります。

動物的勘を信じつつも、もしサイズが微妙に合わなかったらどうしようなどと逡巡しながら、いつも店の中をうろうろと1時間近く徘徊しているので、おそらく挙動不審者のブラックリストに載っていること間違い無しです。

さて、今回のスイッチで使った部品は以下のようなものです。
写真の左からスポンジホルダ、80mlのスプレーボトル、1mの03sqの平行線、3.5mmモノラルプラグ、直径30mmの押しボタンスイッチです。

肘掛用スイッチ部品


ここで使った押しボタンスイッチはゲームセンターなどのゲーム機に使われているものの最も安価なもので、穴に差し込むとラッチで保持するタイプです。他にネジ式のものがあり、ナットで固定するようになっています。用途に合わせて使い分けることになります。

今回の場合のようにラッチ式のものを作業の途中で、うっかりボトルに空けた穴に差し込んでしまうと、内側からラッチを外すことができないため、押しボタンスイッチを簡単には抜くことができなくなりますので注意が必要です。

まずは、スプレーボトルの分解です。1つの完成された製品をその製品が一度も使われることなく部品取りするだけのために分解したり穴を空けたり、削ったりするのは忍びないのですが、この破壊は、この後に続く創造のためにやむを得ない行為だと祈りつつ行っています。

スプレーボトルの分解


この部品の中から今回は、ボトル本体とキャップが使えそうだったのでこの2つだけ残しました。ボトルにキャップを取り付け、ケーブルをキャップに通してみました。いい感じです。

ボトルの組み立て


ボトルの底にスイッチを差し込むための直径30mmの穴を空けます。ボトルの底の中心付近にサインペンで印を付けてから先の尖ったもので軽く傷を付けます。この傷にあらかじめ30mmに設定したサークルカッターの針先を当てて円形に切り抜きます。実際の作業ではサークルカッターの刃の部分をしっかり持って何回も刃先を回して切り取りますが、今回はこの方法だと時間もかかるので、サークルカッターの刃である程度溝ができたら、彫刻刃で溝をさらに深く切り進めました。最後は半田ごての腹で切り取った部分を少し溶かして滑らかにしました。

ボトルの穴あけ準備


次にボトルに差し込む押しボタンスイッチの配線です。

ここからの作業では下の写真のようなマグネット付きのクリップがあると便利です。

マグネット付きクリップ


ハンダ付けするケーブルとスイッチの端子に予備ハンダを行います。予備ハンダと言うのはあらかじめハンダ付けする部分をハンダとなじませておくことで、部品同士のハンダ付けの際に短時間でハンダ同士が融合するので、熱によって部品が変質する度合いが少なくなります。

ケーブルの予備ハンダ スイッチ端子の予備ハンダ


あらかじめ熱収縮チューブを適当な長さに切ってハンダ付けするケーブルの1本に差し込んでおいてから、ケーブルをスイッチの端子にハンダ付けします。その後、熱収縮チューブをハンダ付けした部分を覆うように被せ、ハンダごての熱でチューブを収縮させます。

スイッチにハンダ付け チューブを収縮させる


ここで、プラグをハンダ付けする前にケーブルをボトルとキャップに通します。

あまりテキパキとハンダ付け作業をしているとプラグをハンダ付けした後にケーブルをボトルに差し込むのを忘れていることに気が付くことがありますので、先々の作業をにらみながら落ち着いて作業することが重要です。

ボトルにケーブルを通す


次は3.5mmのモノラルプラグにケーブルをハンダ付けします。

ここでも、まずプラグのスリーブなどをあらかじめケーブルに通しておきます。

スリーブを通す


ケーブルの長さをプラグの端子の位置に合わせて切断してから必要な長さ被覆を剥きます。この時、プラグの中心の端子は少し内側に曲げておくとハンダ付け作業が楽になります。ケーブルの被覆を剥いた部分が適切な長さかどうかを端子にケーブルを差し込んで確認します。

私は習慣として色付きのケーブルと白いケーブルの場合は、白いケーブルをプラグの側面の端子にハンダ付けするようにしています。電池ケースの配線のようにあらかじめ赤と黒のケーブルが配線されている製品は、黒が電池のマイナスに接続されています。ここではプラグの側面の端子は電気配線上はマイナス端子に接続するので、白いケーブルを接続しています。

プラグのハンダ付け準備


ここでもあらかじめプラグの端子とケーブルにそれぞれ予備ハンダをしておきますが、プラグの端子の穴をハンダが覆ってしまわないように少し穴から離して予備ハンダします。側面の端子の1つと白いケーブルをハンダ付けします。

プラグにハンダ付け1


プラグの中心の端子をもう片方の青いケーブルとハンダ付けします。

プラグにハンダ付け2


プラグとケーブルのハンダ付けが完了したら、金具を曲げてケーブルをプラグにしっかりと固定します。この時、金具がケーブルの被覆を破って中の銅線に接触しないように注意します。

プラグの金具を曲げる


プラグの樹脂スリーブを元に戻し、プラグのネジを完全に締め込みます。

スリーブを戻す ネジを完全に締める


ここまでで、配線は完了です。電気的に正常に接続されているか、ブザーをつないでスイッチの動作確認を行います。

導通チェック


次にケーブルをボトルのキャップの内側からホットボンドで固定します。

ケーブルをボトルの中で縛ってボトルから抜けないようにする方法もありますが、使っているうちにケーブルがねじれてショートしたり、縛った部分でケーブルが断線する恐れがありますので、ボトル内でケーブルに若干の余裕を持たせた位置でホットボンドでケーブルをキャップに固定します。

ホットボンドガン キャップにケーブルを固定


キャップを締めてからスイッチも少しホットボンドを付けてスイッチが空回りしない程度に固定します。

スイッチを固定


スイッチ部分はこれで完成です。

スイッチの完成


★おまけ★

押しボタンスイッチのハンダ付けの様子を説明したYouTubeの動画がありましたので、紹介します。

【半田ごて】スイッチ・コネクタ等への線材の半田付け