iPadタッチャーのようなものを作ってみました | スイッチ工作室

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意思伝達装置に使うスイッチのあれこれ

知人からi+Padタッチャーを使ってiPadの操作を練習中とのメールをいただいたので、同じようなものを作ってみました。i+Padタッチャーは、上肢麻痺などでiPadの画面を指で操作することが難しい人がスイッチのみでiPadを操作できるようにした装置です。最近では、iOS7でスイッチコントロールがサポートされたことで、iPad上のほとんどの操作をスイッチ1つで行えるようになりました。

iPadタッチャー完成品


材料は以下のようなものです。小型のDC3Vのリレーと2cm角程度の銅箔、3.5mmのジャック、プリント基板を少々、単4電池3本用のスイッチ付きケース、ケーブルです。

iPadタッチャー材料


動作原理は、スイッチでリレーをON/OFFして銅箔のみがタッチパネルに接触している状態とリレーのコイルを含めたケーブル全体が銅箔に接続された状態とを切り替えることで、指がタッチパネルに触れたのと同じ効果を再現しています。このような簡便な方法を見つけていただき、開発にかかわられた皆様ありがとうございます。

私自身はi+Padタッチャーを持っていないので具体的な構造は知りませんが、こんな感じかなということでiPadタッチャーのようなものを作ってみました。

スイッチ付きの電池ケースを分解します。

電池ボックスの分解1


スイッチから遠い電池フォルダーに電気部品を入れるためのスペースが欲しいので、不要な2連の電極を取り外して赤いケーブルの付いた電極と入れ替えます。

電池ケースの分解2


空いたスペースに3.5mmのジャックを取り付けた基板を入れて、あらかじめ電池ケースに穴を空けておいてジャックの頭が電池ケースから出るようにしておきます。

電池ケースの分解3


ここからはリレー基板の加工です。

リレーを取り付けるリレー基板の部品面に銅箔を貼り付けます。この銅箔はあらかじめ片側に粘着材が付いたものを入手しましたので、裏紙をはがして基板の表面に貼り付けました。

リレー基板の加工1


今回のリレーはDC3Vで動作する表面実装タイプのものを使いましたので、通常の基板の部品面側ではなく配線面側(銅箔のプリントがある面)に部品を半田付けします。

リレー基板の加工2


次にリレー基板にケーブルを半田付けします。下の写真でリレーの右側はコイル端子側で、リレーの左側は開閉端子側です。ここではケーブルとして赤と黒の細い平行線を使いました。赤い線はリレーのコイルの片方の端子(写真の右上)に接続し、黒い線はリレーの開閉スイッチの一方の端子(写真の左下)に接続していますが、同時にもう一方のコイル端子(写真の右下)にも接続しています。下の写真では赤い線の下になって確認できません。リレーの開閉スイッチのもう一方の端子(写真の左上)は銅箔に接続しています。

リレー基板の加工3


この後は、リレー基板からつながっているケーブルの反対側の端子を電池ケース内の基板に接続して完成です。

リレー基板の接続.


実際の使用にあたっては銅箔部分をiPadのタッチパネルに固定するためにリレー基板を上からテープで固定するか、低周波治療器で使われている導電性のジェルシートを銅箔に貼って固定する方法があります。

製作したiPadタッチャーを持って、あるお家を訪問してiPadのスイッチコントロールの設定をして介助者の方に使い方の説明をしたのですが、このスイッチコントロールによるiPadの操作はけっこう複雑で、まずは介助者がかなり熟達しないと実際に使ってもらうことができないと感じました。

●関連URL

ipadタッチャーの使い方