著者の名前を知ったのは、白井聡の対談集である。
米騒動に興奮する大杉栄。この時33歳。関東大震災の混乱の中、甘粕正彦に虐殺されるまで、あと5年。
栗原は、あたかも自らの心情を吐露するような共感をもって、大杉栄を語る。その語り口は、学者とも小説家とも違う。例を挙げよう。
「大杉と伊藤野枝とのあいだに子供が生まれた。女の子だ。このころの心情をものがたろうとするかのように、二人は、この子を魔子と名づけた。もはや大杉と伊藤に躊躇はない。社会なんていらない。道徳なんてくそくらえ。なにをやってもうまくはいかないのならば、なにをやってもいいはずだ。秩序紊乱。あれもいい、これもいい。全部いい。自由をむさぼれ。」
著者もそうとうに金には困っていたらしい。大杉も同じ。強烈な人生を垣間見る。
