現実は直視してナンボです | おはしょり稽古
2005-09-19 15:27:12

現実は直視してナンボです

テーマ:劇評

仏団観音びらき

「女殺駄目男地獄(おんなごろしだめんずじごく)」

作・演出:元木香吏

@新宿タイニィアリス


「こんにちは!爽やかな午前三時、いかがお過ごしでしょうか?」


阿久悠子が司会を務めるだめんず検証番組『目覚めよ』では、

駄目な男にはまった挙句に命を落とした女達を、再現VTRで紹介している。

一本終わるごとに、コメンテーターなかにし礼子が解説と教訓を披露。

ご冥福をお祈りしつつCMに向かい、

途中では宝塚歌劇団のそっくりさんによるパフォーマンスや、

だめんずと対照的な「金持ちイケメン」を捕まえる女の合コン術などミニコーナーも設けている。


駄目な男とそれにハマる女の話を紹介するために、この作品はテレビ番組を作ってしまった。

驚いた。ふつーそこまでやらないからだ。

だいたい芝居の中にテレビ関係を登場させると、

実況インタビューや記者会見で話の序章を作るというパターンが多い。ことにSF系の場合はとても多くなる。

テレビから流れてくるニュースなら、話題や伏線。テレビ番組そのものが話の軸でない限り、番組の世界観をそのまま持ってくることはほとんど無い。

テレビのノリがそのまま再現されていたので、妙なところで嘘を感じずに済むのが見ていて好もしかった。

大笑いのギャグ芝居なのだが、CMもちゃんとあってとても丁寧に作りこんである。


話のメインである再現VTRは、芝居と歌・ダンスが半々ぐらい。

ピンクレディーの曲が掛かるたびに、ちゃんと衣装に着替えて役者が出てくる。

男も海パンシュノーケルで、ただ踊るためだけに出てきたりする。いいなぁ。フェミニズム団体のスピーチよりずっと男女平等を感じる。


浮気性で無職の男のために体を売って、梅毒で死んだ女の話を笑いながら見た。

「あんな女でもオレは愛している」と夕日の中を去る男に対して「バーカ」と笑うように、借金魔の親子に殴られてふっ飛ぶ女を笑った。

男女を逆転させてみればありがちな話なのだが、たくさんのダンスとオーバーな芝居のために、女達の不幸が女々しさや哀愁を突き抜けてしまっている。某歌劇団の芝居に近いかもしれない。


結婚前にヤク中の男に惚れて自分もドラッグにはまってしまった女の話になると、突き抜けすぎて逆に笑えなくなってくる。

男はなかなかそんなことはできない。ドラッグにはまる、っていうのは割と、

「かっこいい」

感じに描かれることが多かったからだ。

男の書いた芝居だったら、男は愛する人を殺した後にはなぜか自分で正気に戻って泣くだろう。ドラッグに溺れた自分の弱さを訴えるかもしれない。

この芝居の女はそんなことしない。一度は正気に戻って婚約者の元に戻ろうとするも、

「ウェディングケーキだー!」

と彼を包丁でメッタ刺しにしてしまう。彼女はラリったまま港でマフィアに撃ち殺される。


それにしても皆綺麗にふっ飛ぶなぁ。

暴力のシーンがすごく上手で、それが余計に面白かった。


エンディングテーマは「恋の奴隷」。

芝居のラストは『目覚めよ』の楽屋裏で、ありがちだけど悲惨なオチを迎える。

実際ダメな男にはまってたら、大笑いしつつも泣いちゃうなぁ。

今回が第五回公演という新進の関西の劇団だが、これからもがんばっていってほしい。

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