こんばんは、おぎのあずさ(荻野梓)です。

 

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今日は、都内で開催された、(仮)親子・子育て応援ラボの、第1回勉強会に参加しました。(ラボ名がまだ正式ではないそう)

3名のゲストスピーカーが各20分お話してくださった後、質疑応答兼パネルディスカッションという流れでした。

 

今回は、黒田邦夫氏(愛恵会乳児院施設長)の社会的養育に関するお話を共有します。

いただいた資料。パワポ資料もQRコードで配布されました。

 

▼ 社会的養育について

 

1. 東京都の児童相談体制について

 

東京都23区では現在、各々、児童相談所の設置を目指している。

 

これまでは、各地域にある子ども家庭支援センターから、上位の児童相談所へ、さらに上位の児童相談センターへ、という流れで児童相談体制が組まれていた。


これからは、区が独自に地域の実情に合わせた児童相談所を設置することになる。当然、区によってやり方が違う。

  • A区:区内に複数の子ども家庭支援センターがあり、区の児童相談所が上位。(1:N型)
  • B区:介入を区の児童相談所がやり、支援を子ども家庭支援センターがやる。(1:1型)
  • C区:子ども家庭支援センターと区児童相談所が一緒である。(一体型)
 
2. 子ども家庭支援センターと児童相談所の一元的な運用

今までは虐待通告があれば東京都が責任を持って行っていた。
(一時保護・施設入所、在宅指導、虐待通告対応)
 
児童相談所は、起きたことへの相談・指導であり、予防はこまめにはやっていない。
だから、児相を作れば虐待問題が解決できるわけではない

予防は地域での家庭支援であり、子育て支援である。
児相が出来れば何とかできそうかと言えば、そうではない。

3. 入所率の分析

(23区の施設入所者数一覧が示される)
足立区:245人に対し、千代田区:15人。
地域によって人数は異なり、少ないほうが手厚く支援できる。

入所率は、区の生活保護率、教育扶助率、児童相談件数率と比例し、年収と逆比例している。
裕福な区のほうが相談件数も少なく措置費も少なく済む。

また、乳児院に入っている子のうち16%が、両親または片親が外国人。
(東京都全体では、3%?が外国人。)
川口乳児院を見学した際も、同じことを聞きました)

4. 児童虐待相談の社会的養護への委託率について

虐待は、児相に相談したら解決するわけではない。
地域での子育て支援、家庭支援に委ねられていく。
 
平成27年度:
里親委託24人+施設措置委託436人=委託児童数460人
被虐待相談件数9909件⇒委託率4.64% ※個人的にはこの求め方は『?』
 
平成28年度:
里親委託14人+施設措置委託402人=委託児童数415人
被虐待相談件数12934件⇒委託率3.21%
 
平成29年度:
里親委託16人+施設措置委託417人=委託児童数433人
被虐待相談件数14207件⇒委託率3.05%
 
平成30年度:
里親委託27人+施設措置委託405人=委託児童数432人
被虐待相談件数16967件⇒委託率2.54%
 
95%以上の子が、保護されず返されている。
また、里親委託は5%、施設措置委託は95%となっている。
 
5. 里母の1/3が最初の子を受託した際に「心身上の問題があった」

厚生労働省の平成27年度調査報告書(pdfが開きます)によると、受託時の里親の心身上の問題について、「問題があった」と回答した里親が28.8%(里父20.1%、里母32.1%)おり、約3割の里親が何らかの心身上の問題があったと答えている。
 
心身上の問題:体調不良(46.0%)、その他(35.6%)、睡眠障害(28.2%)、不安症状(25.4%)、鬱症状(14.5%)、無気力状態(9.6%)、神経症(6.8%)、パニック障害(6.4%)、摂食障害(4.3%)、引きこもり(3.4%)、過呼吸症状(3.2%)
医療機関への通院状況:通院をした(37.5%)
服薬の有無:服薬をした(31.6%)

なお、措置変更は、受託1年目と、思春期に多い。

6. 養育家庭委託解除理由別内訳について
 
平成30年度は、満年齢(18歳):23、その他(家庭引取):21、措置変更:29と、措置変更がやや多め。
黒田氏のお話の中では、平成26~30年度の5年間の数値を出して、満年齢:家庭引取:措置変更+就職=1:1:2=「満年齢での委託解除は約1/4だが、措置変更などはその2倍」と言われていたが、これも少し疑問なので、ここでは平成30年度のみを取り上げる。

7. 乳児院の現状について
 
東京都社会福祉協議会・乳児部会の入所状況調査より、以下の説明がありました。
 1)入所状況
 2)入所理由別入所児童
 3)入所理由・年齢・期間別入所児童数
 4)退所理由・年齢・在院期間別退所児童数
 5)入所理由別他施設等への措置変更児童数
 
この中で気になったものを抜粋すると、
 
2)入所理由別入所児童
         一時保護→措置入所
 身体的虐待:44→36(0.8倍)
 心理的虐待:41→24(0.6倍)
 ネグレクト:69→77(1.1倍)
 養育拒否:1→24(24倍)
 母疾病:12→21(1.8倍)
 母精神疾患:20→44(2.2倍)
 
身体的虐待・心理的虐待は一時保護を経ての入所が多く、ネグレクト・養育拒否・母疾病・母精神疾患は一時保護を経ずに入所する子どもが多い。
 
5)入所理由別他施設等への措置変更児童数
入所理由がネグレクトでは、短期間の家庭引取になりにくく、入所理由が母疾病・母精神疾患では、症状が改善されると家庭引き取りになる割合が高い。
 
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数字が多く参考になったのと、児童相談所は事件が起きてから動くことが多く、事件が起きる前の、家庭支援・子育て相談が大切、ということと、里親の難しさが分かったような気がします。
 
明日は、辻由紀子氏のお話をブログに載せます。