荻島動物病院 院長の日記 -4ページ目

「子宮蓄膿症について」

12月3日 7歳のゴールデンリトリバーのメルちゃんの子宮蓄膿症の手術をし、今日退院できましたので今回はこの事について書きます。
子宮蓄膿症はホルモンの影響で抵抗力が弱まった時、子宮に細菌感染をおこし子宮内に膿が溜まる病気です。未経産の中年以降の犬が多く、又発情終了数週間で発病します。

症状としては食欲減退や多量な飲水・元気消失・発熱・嘔吐などがみられます。膣から排膿する事もあります。根治療法としては一般的に外科療法で卵巣子宮摘出手術を行います。
今回のケースでは腎機能低下、尿毒症と腹膜炎を併発しており手術後も深刻な状態が続き抗生剤や点滴を1週間継続し、やっと食欲・元気がでてきました。
獣医師として、重症で手間がかかった動物ほど救命治療できた時の満足感、喜びも大きく飼い主の喜んだ顔を拝見する時に獣医師であってよかったなあと思う事はありません。

「胃捻転について」

18日の夜にミニチュアダックスの胃捻転の手術を行いましたので胃捻転について少しお話しします。

 原因は不明ですが健康そうな犬が突然おこし、生命を脅かす危険がある病気で早急に手術を要します。

この病気の特徴はガスや泡状の物質で一杯になった胃が風船のようにふくらみ、ねじれて胃の入り口出口がふさがれてしまい血液の循環不全によりショックをおこし、8時間以上経過すると助ける事が難しい病気です。

初期症状としては犬の落ち着きがなく、楽にしていられなかったり、何回も吐こうとしたり、げっぷがうまくいかなかったり、腹部がふくらんできたり、異常に固くなっている等 このような症状をおこした時は一刻も早く病院で診察をお受け下さい。

「市川八幡神社創建170年祭礼」

市川八幡神社の20年ぶりの大祭が11日と12日にありました。

地元真間1丁目の氏神様であり神社役員をひきうけ創建170年祭実行委員でもある私は大忙しでした。

11日には菅野白幡天神社から神官さんにお越しいただき厳粛に神事がとり行われました。

夜7時から11日・12日両日楽しい宵祭りの演芸がありました。

12日は大祭ならではの大人神輿や可愛らしい子ども神輿の渡御があり太鼓の山車もでました。

市川1丁目第1・第2町会、真間1丁目自治会役員さんの皆様の協力のもと盛大な祭礼が無事終了した事に感謝しています。

「学校飼育動物指導について」

 今日は市川獣医師会の社会活動として行われている学校飼育動物指導に我々グループ5人の獣医師で市立宮田小学校を訪問しました。 

ここでは7羽のウサギが飼育されていました。

多少の問題はあるにしても以前訪問した学校と比較するとこじんまりしていますが飼育環境状況は良好と思われました。

5・6年生の飼育委員から受けていた質問に回答した後、校長室で教育委員会、担当の先生方とお話し合いをさせていただきました。 

文部省先導により生活科の教育の一環として位置づけられてしまった学校飼育動物は生き物、生命ある動物が教材であるため現場を担当される先生方の負担、悩み、面倒な問題も多々あると思います。

しかし現状として飼育されている学校飼育動物を情操教育の教材として生かす事ができるかどうかも(優しい心や気持ちが無理なく自然に植えつけられ、力弱き者を助け面倒を見、助け合える人間として成長させる)現場で先頭に立つ教育者の考え方ひとつで変わると思います。
宮田小学校では校長先生はじめ担当の先生方は学校飼育動物に対し熱心で真剣に考えていらっしゃいますので、本当の意味ではスタートしたばかりの学校飼育動物に対し今後も獣医師として精一杯協力していきたいと思いました。

「熱中症に注意してください」

 暑いこの時期になると以前学生さんが飼い犬を木陰においた車に置き授業にでて戻ると日が移動し逃げたり連れ去られないように窓が少ししかあけられていなかったペキニーズが熱射病にかかってしまった事を思い出します。
8月の日記は熱射病について書きます。
今年の夏のように急に暑くなるような時は熱射病に注意が必要です。高温の場所や車に閉じ込められたり、放置されておこります。環境温度が体温より高く、しかも熱の放散が制限されると体温は正常な身体の機能を維持できるレベル以上に上昇します。誘因としては換気不良・水の有無・食餌後の代謝熱・犬の不安や興奮により吠えたりする事・犬種(短頭種パグやシーズーなど鼻の短い犬)があります。猫は砂漠起源なので熱射病にはかかりにくいようです。
初期症状として過呼吸(喘ぎ)になり軟便・血液便になったり嘔吐し、更に進むと中枢神経症状や循環器障害をおこし処置治療が遅れると死に至ります。熱射病の犬は早急に強力な看護が必要です。高温時は体温を下げるため、水をかけたり冷水につけたりし病院に搬送されると良いと思います。
これからも暑い日もあると思いますのでワンちゃんの管理に気を配ってあげて下さい。

「ノミ駆除について」

今回、ノミアレルギーのワンちゃんが来院しましたので今月の院長日記はノミ駆除等について書きます。
皮膚病の原因は細菌や真菌(カビ)感染や様々なアレルギー反応又ホルモン異常の要因でおこります。

ノミ駆除方法は昔とだいぶ変わってきました。

以前はノミ取り粉やノミ取り首輪の時代そして現在は簡便な滴下型駆除剤が主流になっています。

病院には犬用・猫用のものがあり1~2ヶ月に一度頚から肩甲部皮膚に滴下するだけで安全性も高く十分な効果が得られます。

又、ノミは条虫感染の原因にもなります。最近一般市販されている滴下剤がありますが成分が病院で処方されているものと違い十分な効果がないようです。
皮膚炎予防策として高温多湿なこの時期は2~3週間に1度位はシャンプーをして皮膚を清潔に保つように心がけて下さい。

「フィラリア予防治療について」

梅雨に入り蒸し暑い日が多くなり気温の上昇とともに蚊も元気に活動し始めました。
いよいよフィラリア予防剤開始の時期です。開業して30数年になりますが蚊に付随するフィラリアの治療予防もずいぶんかわってきたと思います。30数年前はフィラリアに関して成虫を殺す砒素剤の注射が主流で副作用等に悩まされ喀血したり腹水が貯留する犬が多く見られました。その後は毎日投与しなければならないジエチルカルバマジン製剤が多く使われました。現在はイべルメクチンという1ヶ月に1度投与すればすむ製剤になり簡易で安全に発症予防駆虫処置ができるようになりました。この薬のおかげで外飼犬も寿命をまっとうすることができるようになりました。
昨年6ヶ月間効果のある注射剤が開発されましたが日本では副作用や注射後の死亡例が報告されており使うかどうかは獣医師・飼主の判断に委ねられています。当院では現在注射は致しておりません。今年は内服薬と同成分の滴下スポットタイプの製剤も出ております。
イベルメクチン製剤について重要な事は蚊の媒介で感染したフィラリアの1~2ヶ月の仔虫に作用し予防効果を発揮するという事です。病院によって投与期間の差はあるようですが当院近辺では5月から蚊が出始める事から7月初旬~12月初旬投与していただいております。これを守っていただいて投与し、フィラリア感染をおこした犬は皆無です。特に蚊のいなくなった10月・11月・12月の投与を忘れる方がいますが要注意だと思います。

オス猫のドライフードにご注意!!

今日はチマちゃんというオス猫の会陰部尿道造瘻術(我々獣医師は俗にオカマ手術といっている)を行いました。
市販されているドライフードは嗜好性を高めるため無機塩類・マグネシウムが多く含まれており、これを主食にしていると砂漠を起源とする猫はあまり水を飲む習性がないので膀胱内にストルバイトという砂粒状の結晶が形成され尿道閉塞をおこし時として腎不全になり死にいたることになります。
人間でも高脂血漿・糖尿病・高血圧症等食生活を起因とする病気が多くあります。
オス猫でも昔ながらのオカカご飯や魚などの自然食品をとっている猫に尿閉はほとんどありません。食生活を見直すことは猫の健康を守る上で重要な要素と思います。
とりあえずチマちゃんの手術はうまくいきました。
性格のとても優しくておとなしい猫ちゃんですのでオカマ猫として第2の人生いや猫生をがんばっていくことでしょう。

「平和な社会になりますように」

 やっと春らしくなって参りました。 今日は真間の桜土手公園の桜も満開です。
世界的には不安な情勢事態がおこっています。 
一つはイラク戦争です。フセイン大統領の独裁国家、イラクへの大量破壊兵器を放棄させ又テロ対策として尊い生命が犠牲になり家族の事を考えると胸が痛くなります。 
もう一つは人類と病原菌との戦争です。SARS(重症急性呼吸器症候群)はコロナウイルスの変異株が原因といわれ、現在は適切な治療薬がなく拡大感染をおこす危険性を持っています。ウイルスの変異は自然を冒涜する人間と病原菌との戦い(戦争)だと思います。 マクロな眼でみると生物学的には世界人口の増大が食量不足をおこす時、戦争・病気がおこり人口調節がおこなわれることが自然の摂理かもしれません。 人類の英知で解決し戦争は早く終結して欲しいものです。
4月は狂犬病集合予防注射の時期です。人と動物の共通感染症としては狂犬病は最も恐ろしい病気であり、感染発症した場合はほぼ死亡します。日本では法律で生後90日以上の犬は登録し1年に1回予防注射をすることが義務づけられ防疫が徹底され何十年も発症がありませんが、世界的にはいまだ何人もの人が毎年死亡しています。 日本でも油断は禁物です。どんな小さな家庭犬でも予防注射は必要です。
2つの戦争が解決し1日でも早く平和な社会がおとずれることを祈ってやみません。

「中学生の動物病院職場体験」

今日は午後、下貝塚中学校の1年生5人が職場訪問に来ました。

動物病院の仕事の内容や獣医師や動物看護士について今まで疑問に思っていた事などについて質問がありました。

これは2年生で実施される職場体験に向けての下調べが目的です。

今回は太田班長さんはじめ5人ともたいへん礼儀正しく感じました。

この生徒さん達をみるかぎり日本の将来は明るく感じられました。
質問事項の1つを紹介致しますと「獣医師になるきっかけは?」との質問がありました。

「私の場合は小学生の頃飼い猫が殺鼠剤(燐製剤毒物)を食べ中毒を起こし夜間近所の動物病院の先生に助けられた事がきっかけでした」と答えました。

こんな話をしていても時代の違いを感じます。

飼い猫がネコイラズを食べたあと黒いゴミ箱の所まで戻ってきたと話しをしても今は各家庭にゴミ箱はありません。
生活環境的に動物を飼育できない御家庭も増加している今日こそ心の癒しとしてのペットコンパニオンアニマルが必要なのではないでしょうか。

犬猫でなくてもハムスターなど小さな動物を飼育する事によって気持ちのやさしい弱い者を助けるという気持ちをもつ本当の意味の情操教育も可能と思います。
いじめなど殺伐とした時代だからこそと小学校教育に学校飼育動物が取り入れられ各小学校でウサギなどが飼育されています。
仏つくって魂いれずではなく教材なのか生き物なのか教育関係者もお考えいただきたく思います。
ただ飼うだけでなくて責任を持ち又かわいがるだけでなく正しい知識を持ち正しく飼ってこそ動物達が健康で幸福になるとおもいます。