相撲甚句 すもうじんく
幕末に発祥した都々逸と同じ二十六字構成の俗謡。ただし〈相撲甚句〉とは名ばかりで、実体は相撲とは関係のない卑猥なものが目立つ。それでいて庶民にとっては人気唄定番筋であった。

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【例歌】
相撲甚句 すもうじんく  
〽アヽエー腹が立つなら如何なとさんせ、お前に任せた此からだ
〽アヽエー夫婦喧嘩と三日月様は、いつの間にやら丸くなる
〽アヽエー日蔭住居は身を落たれど、解ぬ思ひも雪だるま
〽アヽエー素根て見すれば心を添て、機嫌取る気の愛らしき
〽アヽエー色の恋のと言ふでは無いが、なぜか妾しの虫が好く
──俗謡、慶応二年頃流行、『日本近代歌謡史』上
角力ぢんく すもうじんく
♪拙者この町(ちやう)に用事はないが、貴殿見たさにまかり来す、ヨイヨイヨイヤサ、アリヤリヤコリヤリヤコロリトセ
♪芝で神明湯島に杉の森、ここは両国はれの場所、アリヤリヤ、アリヤリヤセ
♪櫓(やぐら)太鼓(だいこ)にふと眼を覚し、明日はどの手で投げてやろ、アリヤリヤ、アリヤリヤセ
♪角力に負けてもけがさへなけりや、晩に私がまけてやる、アリヤリヤ、アリヤリヤセ
♪櫓太鼓にふと眼を覚し、今日は初日でまけられぬ、アリヤリヤ、アリヤリヤセ
♪西は富士がね東は筑波、中を流るる角田(すみだ)川、アリヤリヤ、アリヤリヤセ
♪僅(わづか)三巾(みはば)の布団の上で、ぬ死の生くるのちわ狂ひ、アリヤリヤ、アリヤリヤセ
♪破れかぶれだかうなるからは、独を喰はば皿までも、アリヤリヤ、アリヤリヤセ
♪べつちよしよべつちよしよ夜となく鳥は、頭歪(ゆが)んで耳なしよ、アリヤリヤ、アリヤリヤセ
♪京で島原お江戸でよし原よ、うはきするがの二丁まち、アリヤリヤ、アリヤリヤセ
──俗謡、明治六年頃流行、『二上り角力ぢんく』
相撲甚句〔再〕 すもうじんく
♪相撲にや投げられお山さんには振られヨウ、投げたよう、枕にサソ咎(とが)はないヨウ。
♪相撲は取りたし関取戻るヨウ、あとにヨウ、残りしサソ四本柱に土俵の相撲ヨウ。
♪うちのかかアは火燵(こたつ)やぐらの四本の柱ヨウ、なけりやヨウ、ならない、サソあれば邪魔ヨウ。
──俗謡、明治中期流行、『明治年間流行唄』
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相撲甚句