10/20(金)

朝6:00ipadをつかみながら目が覚める。

動画を見ながら寝落ちしたようだ。

 

看護士さんに言われた通り朝一で身長体重を測った。

ベッドに戻ると検温血圧を測定をしに看護士さんが巡回してきた。

 

「おはようございます、大丈夫ですか?」

私の顔を覗き込むようにして声をかけてきた。

 

「大丈夫ですよ。」

 

昨夜涙したのを見られていたので少し照れくさかった。

 

「私がオペ室まで付き添う予定だったんですけど担当が変わりますね。」

 

「わかりました。」

 

明るい感じではなかったので昨夜のことで何か伝わってしまったのかなと思った。

 

朝食タイムが終わると検診が廻ってきた。

おお、あの白い巨塔でも見た偉い先生が若い医師を従えてくるやつだ。

 

「〇〇さん、体調は大丈夫ですね、それでは今日昼くらいから

生検手術を予定通り行います。」

 

手術前に主治医に会えてほっとした。

 

トイレから戻ってくると

隣のベッドに患者さんが戻っていた。

 

「手術が終わってICUから戻ってきました。よろしくお願いします。」

 

「よろしくお願いします。」

 

「私はコロナのPCR検査で異常が見つかり肺がんと診断されて

一部切除したんです。」

 

「あーそーなんですね。私は健康診断のレントゲンで胸水が見つかり

PETCTで悪性の疑いが強いということで生検手術を今日するんです。」

 

「肺がんですか?」

 

「いやどうも私はアスベストによる胸膜中皮腫のようです。」

 

「あー、最近多いようですね今日の手術頑張ってください。」

 

「ありがとうございます。」

 

白髪の温厚な60代後半の男性だ。

しばらくすると寝入ってしまったようだ。軽いいびきが聞こえた。

隣の方が良い人だったのでほっとする。

ずっと他人との会話もなかったので気分がほぐれた。

 

看護士が言っていった手術予定は11時以降だったが

11時を回っても迎えが来ない。

11時半を過ぎてやっと看護士が来た。

 

「遅くなりました、私がオペ室まで付き添うことになりました。」

 

「よろしくお願いします。」

 

「予定表通り昨夜0時から食事も水分も取ってないですね?」

 

「はい、大丈夫です。」

 

「それでは行きましょう、貴重品入れのカギはこちらでお預かりします。」

 

明るい若い女性だった。

まるっきり手術のこととは関係ない住んでいるところの話とか

世間話を明るくしていた。

手術のことは考えずにオペ室まで行けた。

 

オペ室の自動ドアが開くと

ドラマのような光景が広がった。

 

数人の若い医師?看護士?

 

「お名前フルネームでお願いします。」

 

私が名前を告げると一人一人が自己紹介してくれた。

 

「それでは仰向けに横になってください。」

 

手術台に横になる。

無影灯が目の前にあるがまだ点灯していない。

 

まな板の上のコイとはこのことだなと思った。

 

麻酔士が説明する。

 

「すぐに眠くなりますから。」

 

酸素マスクをあてがれてそこから意識がなくなった。