9/29(火)
秋晴れの朝、いつものようにダンスミュージックを聞きながら自宅を出る。
今の現場は自宅から歩いて20分くらいの場所だった。
一番出勤はいつも最年長の自分だった。トイレとフロアを掃除してごみを出す。
次々とスタッフが出勤してくる。
現場所長が出勤してきた。
開口一番
「大丈夫ですか?痛みとか?」
私はレントゲン写真を見せながら説明した。
「見てわかる通り右肺の下が胸水が溜まっていてつぶれています。」
一同
「ほんとだーつぶれてますねー」
驚きの声をあげる。
「痛いとか息切れとかないんですか?」
若い女性スタッフが聞いてくる。
「そう反対のは肺がカバーしているから激しい運動しない限りは
そんなに問題ないんだ。」
「1日に入院で2日に生検手術なんです。○○○○病院です。一週間だと思います。」
病院名を言うと所長が眼鏡の奥の目を光らせて話す。
「その病院、父親も妹もかかりつけになっていて、父親はその病院でガンで死んだのだけれど
妹は腹痛を2か月検査検査でたらいまわしにされて結果虫垂炎だったんだよね。
人体実験に...」
最後のところで口をつぐんだ。
所長の言わんとしてることは解った。
とんとん拍子に進むので人体実験というベルとコンベアーに乗っている気がしていたから。
いろいろな考え方があると思う。
早期発見できたから早めに芽を摘んでしまえる良かったとも思えるし
自覚症状もないし、血液検査も腫瘍マーカーもしてないしいろいろ早いんじゃないかとも思う。
所属会社の社長から着信が入る。昨日病院から電話した折り返しの電話だ。
「ご苦労様です。病院はどうでしたか?」
「胸水の原因は悪性の疑いが強いです。それで1日に入院で2日に生検手術をします。」
「あーやっぱりなかなか原因がわからないんだね、知り合いにもいますよ。
もう明日から休んで備えてください。色々疲れているんですよ。」
「ありがとうございます。退院したらまた連絡します。」
所長も申し伝えが終わり次第あがるように言ってくれた。
帰宅してダンスパートナーの恋人に連絡をする。
入院当日車で送ってくれると言ってくれたがそんなに大げさな手術ではないしやんわり断り、
コロナで面会もできないのでこちらからメール、できたら電話するという話をした。
ひと月半前は元気に二人で北海道旅行も行っていたのにあっという間に手術ということになったので私以上に面食らったであろう。
私も逆の立場なら何もできなくて歯がゆい思いをしただろう。
思いは廻った。