台湾総統選から日本が学ぶ教訓 | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

尾張エクセルの「日々精進ブログ」

木曽の清流に映え、心触れ合う躍動都市;愛知県一宮市に活動拠点を置く、尾張エクセルです。保守政権を応援しつつ、経済・社会・軍事防衛まで、地域や国内、海外の気になる出来事や話題を、独断と偏見溢れる一味違った目線でブログ提供します。

小生も正会員である公益財団法人「国基研:国家基本問題研究所」の「今週の直言」に
去る1月15日に、国基研評議員兼企画委員で元防衛庁情報本部長である太田文雄氏が
以下の論文を掲載されたので、一部加筆の上で、今回のブログにて紹介する。
1月13日に実施された台湾総統選の選挙戦で、中華人民共和国(中共)は、結果が自
国に有利になるよう台湾に様々な手段で影響力の行使を試みた。その教訓は、日本への
教訓でもある。
それを二つ挙げるとすれば、一つは「アメとムチに対する強靭性」を培うことであって、
もう一つは「偽情報による認知戦への対策」を講じることである。
<中共のアメとムチ>
「アメ」に関しては、「台湾の町内会長を中共に有利な条件で招待して、中共に融和的な
国民党に投票するように仕向け」たり、「台湾産農水産物の禁輸解除を、国民党支持者
だけに行った」りしてきた。
「ムチ」に関しては、1月9日のように台湾上空を通過するような形で衛星を打ち上げた
り、無人機を台湾近くに頻繁に飛来させたり、「バルーン(気球)」を 台湾上空に飛ば
したりする心理的圧力作戦を昨年来続けてきた。
「中共のそうした露骨な介入は、日本に対しては行わない」と 考えている人たちもいる
ようだが、自民党と連立政権を組む公明党への影響力行使は事例がある。
昨年末に山口那津男公明党代表が訪中した直後、公明党は それまで実務レベルで了承し
ていた日英伊3か国共同開発の次期戦闘機の第三国への輸出について、反対に転じた。
また、沖縄県など地方自治体の選挙への介入も、将来行われる可能性が高い。2年後の
沖縄県知事選の直前に、中共が沖縄に向けて無人機やバルーンを飛ばしたり、衛星を打
ち上げたりしたら、対中融和策を主張する候補者に有利に働くだろう。
<偽情報への対策>
その一方、我が国でも中共の官製偽情報流布が過去にあった。2012年9月17日に、
中国共産党機関紙 人民日報系の国際情報紙;「環球時報」は、「2006年3月4日に
沖縄で住民投票が行われ、75%が日本からの独立を求めた。残りの25%は 日本への
帰属を求めたものの、自治を要求した」と報じたが、2006年3月4日に沖縄で住民
投票が実施された事実はない。
このような偽情報に 日本人は騙されないかもしれないが、環球時報は5か国語に翻訳さ
れているので、何も知らない外国人は沖縄県民の75%が日本からの独立を要求している
と誤解してしまう。
また2016年12月に、中共国防省は「航空自衛隊のF15戦闘機が 中国軍機にデコ
イ・フレア(おとりの小型火炎弾)を撃った」と主張して、「こうした行動は 中国機と
乗組員の安全を危険にさらし、危険かつプロらしくない」と非難した。しかし、中国が
証拠として示した写真のF15機は、当日飛行任務に就いていなかった。
こうした偽情報に接したら、公的機関が時機を失することなく、それを打消して 真実を
世界に発信するメカニズムを構築しておく必要がある。