遺言執行者は遺言の財産管理口座をつくれるか
遺言執行者は「遺言に基づく財産管理口座(遺言執行口座)」を開設することが可能です。
ただし、いくつかの条件と実務上の注意点があります。
1. 遺言執行者の権限の根拠
民法第1012条・第1013条により、遺言執行者は次のような権限を持ちます。
民法第1012条
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権利義務を有する。
したがって、遺言に記載された財産を管理・処分するための口座を開設する行為は、遺言執行者の職務に含まれます。
2. 銀行での実務対応(遺言執行口座)
銀行では、一般的に「遺言執行者名義の口座」を次のように取り扱います。
【口座名義例】
遺言執行者 ○○○○○(被相続人○○○○遺産管理口)
または
被相続人○○○○遺産 遺言執行者 ○○○○○
「遺言執行者としての職務上の名義」で口座を開設できます。
3. 銀行で求められる主な書類
金融機関によって異なりますが、一般的には以下が必要です。
| 書類名 | 内容 |
|---|---|
| 遺言書(公正証書または検認済み自筆証書) | 遺言執行者の指定があることを確認 |
| 被相続人の死亡を証する書面 | 戸籍謄本または除籍謄本等 |
| 遺言執行者の本人確認書類 | 運転免許証等 |
| 遺言執行者の印鑑登録証明書 | 実印が必要な場合あり |
| 銀行所定の申込書類 | 財産管理口座開設申込書など |
4. 注意点(弁護士法との関係)は
行政書士や第三者が遺言執行者でないのに相続財産を預かると、
弁護士法72条(非弁行為)の問題が生じます。
しかし、遺言執行者として正式に指定されている場合は、
民法上の権限に基づくため、違法ではありません。
✅「遺言執行者=法律上の財産管理権限を持つ者」
❌「単なる行政書士・代理人名義で預かる」は違法のおそれ