昔、児童虐待の研修会でこんな話を聞きました。
アメリカでは、虐待を受けた子どもたちは、養護施設ではなく里親さんの下で育ちます。ところが性虐待を受けた子を預けると、そこでまた性虐待を受けるという例が何件もおきました。それまではとても素晴らしい里親さんで、何人もの里子を育て上げていたにも関わらず。
またこんな研究があります。これもアメリカです。性被害を受けた女性は、その後、二度三度と性被害にあいやすい。なぜなら、彼女たちは、性被害に一度あうと、あいそうな場所に行ってしまうから。
またこんな話も。これは日本です。被虐待児の専門家の先生が某学校に行くと、養護教諭が「先生、あの子が虐待にあうのか分かる気がするわ。だって、本当に嫌なこと、言うのよね」と言ったとか。
これらの話は共通しています。被害にあった人は、再被害にあいやすい。そして被害を誘発しやすい。これは特に性虐待に多く起きると言われています。
なぜ、こんなことが起きるのでしょう。被害にあった人が、その被害体験を自分の中に収めていくには、それ相応のプロセスがあります。それが出来ていないと(それは簡単なことではありません)、繰り返すことで、自分の中に収めようとしてしまうのです。
直後に被害をきちんと受け止めてもらう体験をしていれば、こんなことにはなりません。どんな人も被害にあいたくないと思っています。なのに、無意識に被害にあうような行動をしてしまうのです。
逆に言うと、カウンセラーで被害者カウンセリングをしている人たちは、このことをよく分かっている必要があります。なんとなく、支配的になりたくなったり、無性に腹が立ったりしたら、それは被害者のありように巻き込まれているのかもしれません。
今、多くのトラウマカウンセリングがあります。それらは技法を学べばできるというものではありません。被害者心理や、被害者にあった時に浮上しがちなカウンセラー側の心理についても、よく知り、それを意識しながら行う必要があります。
